食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

EurekAlert(http://www.eurekalert.org)より

  • 肥満は飲酒と大腸がんリスクの関係を修飾するかもしれない

Obesity may modify the association between alcohol consumption and the risk of colorectal cancer
23-Feb-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/bumc-omm022312.php
飲酒は肥満のヒトの大腸がんリスクを高くするが肥満でないヒトでは高くならない
Zhao J, Zhu Y, Wang PP, et al.
Interaction between alcohol drinking and obesity in relation to colorectal cancer risk: a case-control study in Newfoundland and Labrador, Canada.
BMC Public Health 2012, 12:94 doi:10.1186/1471-2458-12-94

First study to show that bisphenol A exposure increases risk of future onset of heart disease
23-Feb-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/tpco-fst022312.php
Circulationにオンライン発表されたEPICデータを使った研究。EPICの参加者で後に心血管系疾患を発症した758人と病気にならなかった861人の、10年間のフォローアップ開始時点での尿中BPA濃度を比較した。検査は一回のみ。
(タイトルは言い過ぎ)

  • 新しいストリートドラッグ「バスソルト」には二重の打撃

New street drug 'bath salts' packs double punch
23-Feb-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/aiop-nsd022312.php
バスソルト」にはメフェドロンとメチレンジオキシピロバレロンが含まれ、メタンフェタミンとコカインを組み合わせた影響がある
学会発表。

  • フカヒレの神経毒素:ヒト健康への懸念

Neurotoxins in shark fins: A human health concern
23-Feb-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/uomr-nis022312.php
マイアミ大学の研究でフカヒレにBMAAが蓄積することがわかった
144〜 1836 ng/mg の BMAA(β-Methylamino-L-alanine)が検出されている
(ソテツや藍藻に含まれる、アルツハイマールー・ゲーリック病との関連が示唆される毒素。)
フカヒレスープや軟骨サプリメントが脳変性疾患リスクになるかもしれない。

  • ファストフードのメニューのカロリー表示は法律に従っているが期待されるほど消費者の役に立っていない

Fast-food menu calorie counts legally compliant but not as helpful to consumers as they should be
23-Feb-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-02/cumc-fmc022312.php
Journal of Urban Healthの2012年2月16日号に発表された研究。カロリー表示はされているが、特に社会経済的地位の低い人達にとっては計算が難しい。

  • 神経毒素がどうやって生き延びるか

How a Neurotoxin Survives
Michael Adler
Science 24 February 2012: Vol. 335 no. 6071 pp. 928-929
芽胞をつくるグラム陽性細菌Clostridium botulinumが嫌気性条件で分泌するボツリヌス毒素を食べたり吸入したりするとボツリヌス症と呼ばれる神経麻痺疾患になる。アセチルコリンの放出を抑制することによる麻痺と自律神経の機能不全が原因である。これはボツリヌス毒素が神経末端からのアセチルコリンの放出に関与する3つのSNARE(可溶性Nエチルマレイミド感受性因子接着タンパク質受容体)タンパク質のうち1つを分解することによる。この件について今週号のScienceにGuらがボツリヌス毒素がどうやって消化管の中を生き延びて不活性化されずに血流に入ることができるのかについて重要な知見を提供している。
ボツリヌス毒素は150kDのタンパク質で、翻訳後修飾により活性のある2本鎖になる。小さい方のLCがZn2+依存的にSNAREタンパク質を分解する。大きい方の重鎖はコリン作動性神経末端に選択的に結合するHcドメインと細胞内にLCを運ぶトランスロケーションドメインを含む。ボツリヌス毒素はその強力さと兵器として使われた歴史からCDCによりバイオテロカテゴリーに分類されている。この毒素は極めて強い選択性と作用時間の長さをもつため薄めたものは臨床にも使われている。
ボツリヌス毒素は吸入でも経口でも作用があり、消化管の通過の際には胃の低いpHとタンパク質分解酵素に耐えなければならない。その謎を解く鍵はボツリヌス産生細菌が同時に分泌するタンパク質にあった。ボツリヌス毒素は非共有結合するタンパク質(HA17、HA33,、 HA70、NTNHA)と複合体を作り、300-900kDの凝集体として存在する。
Guらはボツリヌス毒素とNTNHAの複合体を調べ、これが消化管での耐性をもつことを示した。
Botulinum Neurotoxin Is Shielded by NTNHA in an Interlocked Complex
Shenyan Gu et al.,
Science 24 February 2012: Vol. 335 no. 6071 pp. 977-981