食品安全情報blog過去記事

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APVMAの科学者はがんへの恐怖が間違って語られていると言う

Cancer fears can be wrongly placed says APVMA science fellow
16 April 2012
http://www.apvma.gov.au/news_media/news/2012/2012-04-16_cancer_fears_can_be_wrongly_placed.php
APVMAの科学フェローで国際的に認められたがんの専門家でオーストラリアの発がん物質専門家の一人であるStewart教授がLancet Oncologyの3月12日号に「がん予防の優先順位:ライフスタイルの選択対避けられない暴露」というタイトルの記事を書いた。
Stewart教授の論文では、我々の食品の残留農薬を定期的に監視しそれらをできる限り減らす対策をとることは良い政策ではあるが、オーストラリアの食品に含まれる残留農薬はがんの負荷には全く寄与しない。
喫煙やアルコールの飲み過ぎや肥満、日光への過剰暴露が証明されている4大がんの原因である。それなのに多くの人々が車内インテリアや食品中の残留農薬や化粧品の汚染物質が原因でがんになることを心配している。
Stewart教授は「現代社会は他のどんな病気よりがんを恐れている。そしてしばしば人々が食品や消費者製品中の化学物質について心配することにより、がんを予防することが証明された対策をとることから遠ざける。」という。
APVMAの科学フェロー計画は、レギュラトリーサイエンスの質を向上させ人々のAPVMAが行っている科学評価への信頼構築に役立てるために2006年に設立された。

  • The Lancet Oncology, Volume 13, Issue 3, Pages e126 - e133, March 2012

Prof Bernard W Stewart
Priorities for cancer prevention: lifestyle choices versus unavoidable exposures
要約のみ
米国やその他の先進国のがん予防は喫煙や飲酒、日光暴露、肥満などのライフスタイル要因に対策の焦点をあてているが、人々は不本意な暴露によりがんになることを心配している。「環境」という用語がライフスタイルと避けられない暴露とを区別する用語として曖昧に使われている。一般の人々は環境汚染や汚染された食品や消費者製品に含まれる発がん物質によりがんになると聞かされている。これらの懸念から特定の化合物の発がん性を評価することはがんの予防にはほとんど役に立たない。広範な、あるいは局地的公害や農薬、内分泌攪乱物質、消費者製品ががんの原因になるかどうかを調べると陽性から陰性まで多様な結果が得られる。未知の発がんリスクについては予防原則は現実的アプローチではない。個人が消費者製品中の発がん物質あるいは発がん疑い物質への暴露を減らそうとする方法はがん予防に効果はない。がんの原因物質に対する不安は根拠のあるがん予防法への注意を逸らす。
(日光暴露はオーストラリアに住む白人にとっては大きいけれど。)