食品安全情報blog過去記事

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食品照射

Food irradiation
(September 2012)
http://www.foodstandards.gov.au/consumerinformation/foodirradiation/
食品照射は食品の安全性、食品の保存あるいは検疫のために50か国以上で使用されている食品をイオン化エネルギー源に暴露する工程である。照射は食品の安全な処理方法の一つである。たとえばハーブやスパイスを照射することで化学物質を使わずに発芽を抑制したり害虫を殺したりできる。あるいは他国から食品と一緒に入ってくる望ましくない害虫を殺すのに照射が使われる。
世界中で何十年にもわたる研究で食品の照射は安全で効果的な食品の殺菌、保管期間を延長できる、昆虫感染を減らす方法であることが示されている。食品照射はJECFAや欧州食品に関する科学委員会、米国FDA、英国貴族院委員会、オーストラリアやニュージーランドの専門家によって厳密に検討されている。
(どのような食品が照射されているかについては次の項目参照)
食品を照射すると何が起こるか?
照射した食品は放射化しない。処置が終わればエネルギーは食品には残らない。ガンマ線または放射性コバルト60は食品を放射化できるほどのエネルギーを持たない。また食品はエネルギー源と直接接触しないため、放射性物質に汚染されることはない。
照射による食品の化学組成の変化は極小である。このような変化の多くはより伝統的な食品の調理や保存でも生じる。特定の食品の照射は特定の目的でのみ認められている。安全でないあるいは食べるのに適さない食品をきれいにするのに使ってはならない。
照射により特有の化合物ができるか?
食品を照射すると多数の化合物ができる。しかしながらそのほとんどは照射に特有ではなく天然に食品に微量含まれたり加熱などの他の処置によっても生じるものである。
たとえば、2-アルキルシクロブタノン(2-ACBs)は脂肪を含む食品を照射したときにできる新しい化合物であると考えられていた。一部の研究者らは標準的でない毒性試験系で2-ACBに影響があると報告した。これにより照射食品の安全性に懸念が引き起こされた。しかしながらFSANZの最近の評価では2-ACBは照射していない一部の食品(たとえばカシューナッツ)に天然に存在する。現在の科学的知見に基づく2-ACBのレビューでは、照射食品に存在する2-ACBは消費者の健康リスクにはならないと結論している。