食品安全情報blog過去記事

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種子、正しく食べると薬!間違って食べると毒! - 種子の種類別安全な摂取のためのガイドライン提供 –

2012-09-10
http://www.kfda.go.kr/index.kfda?mid=56&pageNo=2&seq=18555&cmd=v
食品医薬品安全庁は最近堅果類など植物の種子が健康に良いとされて人気が出ているが、一部の種子には毒性があり注意が必要だと発表した。
・ 植物種子は脂肪(不飽和脂肪酸)、 タンパク質、炭水化物、ビタミン、 無機質など栄養豊富だが、 一部の種子は自分を守るために青酸配糖体などの自然毒素を含むので正しい摂取方法が重要である。
〈毒性があるため注意が必要な種子〉
・ 青梅(果肉含む)はシアン(青酸)配糖体を含むため酒につけたり砂糖に漬けるなど自己消化によりシアン配糖体を分解させた後で摂取しなければならない。
※ シアン(青酸)配糖体 : そのものは有害ではないが, 酵素によって分解されてシアン化物を生成して過剰摂取では死亡することもある(加熱すれば酵素が不活性化されるため毒物が生成できない)
・銀杏はシアン配糖体と同時にメチルピリドキシンという毒性物質を含むため必ず加熱して食べなければならないし, 大人は一日 10個未満, 子供は 2~3個以内にしなければならない。
※ メチルピリドキシン : 一度に大量を食べれば意識喪失等発作を起こしひどい場合死亡することもある(加熱しても毒性は残る)
○ 亜麻仁もシアン配糖体を持つので摂取前には水に長期間つけてから何回も洗ったり炒めて(200℃, 約 20分) 毒素をとり除いてから食べなければならないし, 1回 4g, 一日 16g(約 2さじ) 以上取らないほうが良い
<食用可能な種子の攝取時注意事項>
・一般的に摂取制限がない種子にはピーナッツなど堅果類や胡麻、コーヒーなどがある.
ピーナッツは高脂肪低タンパク高カロリー食品で夏季にはかび毒素(アフラトキシン)が生じやすいので冷たく乾燥した所に保管しなければならない。代表的なアレルギー誘発食品なのでアレルギー反応のある人は注意しなければならない.
・くるみは不飽和脂肪酸(特にオメガ-3), ビタミンB1が豊富な高カロリー食品で、皮を剥いたくるみは酸敗しやすいので冷蔵保管した方が良く、 酸敗臭がするものは食べないほうが良い.
・またアーモンド品種の中でも野生アーモンド(bitter almond)はシアン配糖体含量が非常に高いので苦い味のするアーモンドは食べないほうが良い.
※ 国内流通アーモンドはシアン配糖体がない sweet almond 品種
・小豆はサポニン成分を含むので料理時には水に浸した後最初のゆで水は捨ててまた水を注いで煮た方が良い.
・果物では思わず種子を一緒にたべてしまう場合があるが、食べることができる実でもその種子は毒性があり得るので食用可能可否が分からない時は食べてはいけない.
・杏、桃、梅などの種子にはシアン配糖体含量が高いので食べてはいけない.
<家庭で直接採油が不可能な種子>
※ 採油: 種子から油を絞る過程
・在来種ナタネには心臓疾患を起こす毒性物質であるエルカ酸(erucic acid)と甲状腺障害を起こすグルコシノレートが入っているため家庭では食用及び食用油を採油する目的に使ってはいけない.
※ 流通する菜の花油(菜種油)は毒性物質をとり除いた品種(キャノーラ)を利用して別途精製工程を経て生産されるので安全
トウゴマ リシンという毒物を含むため食用及び採油目的に使ってはならない
※ リシン : 嘔吐, 溶血性胃腸炎, 腎障害, 血圧及び呼吸低下などを起こして重症では死亡することもある
食品添加物及び医薬用ひまし油は精製により毒物をとり除いたものである

食品医薬品安全庁はこの情報提供により消費者がより元気で安全に種子類を取ることを期待する。 食べられる種子でも正しい摂取方法で適正量を食べ、食用可能かどうかよく分からない場合には食べないほうが良い。