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  • ハーバード病院がアスパルテームについての根拠薄弱な科学を宣伝したことを認める

Harvard hospital admits it promoted weak science on aspartame
By Robert Bazell, NBC News
http://vitals.nbcnews.com/_news/2012/10/24/14674053-harvard-hospital-admits-it-promoted-weak-science-on-aspartame?lite?ocid=twitter
人工甘味料アスパルテームによるがんリスクの可能性についての新しい研究知見は根拠として弱いためハーバードの教育施設であるBrigham and Women’s Hospitalがそのような研究を宣伝したことを謝罪している。つまり、もしあなたが「アスパルテームはがんと関連する」と叫ぶ見出しをみたら、信じるな。しかし多分遅すぎる。この事態は何故一般の人々が科学は混乱していていらいらさせるものであると思うのかについての例である。
今週初め、病院はこの研究について「人工甘味料についての真実はそれほど甘くない」という見出しのプレスリリースを発表した。いくつかの質問を受け、そして論文が発表される直前に、病院はその調子を変え、「知見をレビューしたところ、我々の科学主導者たちのコンセンサスはこのデータは根拠としては弱く、BWHのこの研究の宣伝についてのメディア広報は未熟だった。我々はあなた方がこの話に費やした時間について謝罪する。」という声明を発表した。
アスパルテームは最も良く研究されている食品添加物の一つで、6000あまりの製品に使用されているが主な用途はダイエットソーダである。アメリカ人は恐ろしく大量のダイエットソーダを飲み、年に12オンスの缶を430億本飲む。
ほとんどの動物実験やヒト試験では健康への悪影響はない。しかし2005年のイタリアの研究がラットに危険な可能性があることを示し(注:悪評高いRamazziniの報告)、それによりBWHの疫学者Eva Schernhammer博士がナースと医療従事者の研究データの77000人の女性と47000人の男性のデータを調査した。彼らはアスパルテームを使ったダイエットソーダを毎日飲むと白血病とリンパ腫または非保持金リンパ腫リスクがあがる可能性があると結論した。しかし注意すべきことがあった:その結果は男女で違っていて、最も砂糖入りソーダを飲んでいる人々の間でリスクがあるようにも見えた。それはさらなる研究が必要だという以上のことは言えないものだった。
主著者であるSchernhammerにこの研究はアスパルテームが危険だということを証明したものなのかと尋ねたら、彼女はきっぱりとノーと答えた。
すべての科学が報道に値するわけではない。あるものはうまくいかなかったものだしあるものはさらなる研究が必要である。水曜日のアスパルテームの研究はさらなる研究が必要なものに分類される。そのような研究が広報されると、しばしば人々を混乱させ科学一般に対する怒りを感じさせる。特に我々の食べるもののリスクやメリットについての研究はそうである。
結論はとても弱く、研究者らは6つの雑誌から却下されて7番目のAmerican Journal of Clinical Nutritionに受理された。その雑誌を読んだことのある記者はほとんどいないだろう。恐ろしい見出しがなければ、誰もこの研究に気がつかなかっただろう。
クリーブランド病院のSteven Nissen博士が言うように、「著者自身が決定的でもなく結論が出せず一般の人々にとって役に立つとも思えないと言っている研究を宣伝することが公衆衛生上の利益になることはない」。