食品安全情報blog過去記事

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スノースプレーのN-ニトロソモルホリン

N-Nitrosomorpholine in Snow Sprays
12.12.2012
http://www.bfr.bund.de/en/n_nitrosomorpholine_in_snow_sprays-132318.html
グリーンピースが行った検査によると5つの異なるスノースプレーから最大990 mg/kgのN-ニトロソモルホリンが検出された。
動物実験の結果からN-ニトロソモルホリンは1978年にIARCがカテゴリー2B(ヒト発がん性の可能性がある)に分類している。N-ニトロソモルホリンはDNAに傷害をあたえることでがんを誘発するN-ニトロソアミン類に属する。現在の知見ではN-ニトロソアミン類は最も強力な発がん物質および変異原性物質の一種である。遺伝毒性発がん物質には安全な閾値はなく、従って消費者保護のためにN-ニトロソアミンへの暴露は可能な限り少なくしなければならない。
N-ニトロソアミンは意図的に使われたのではなく望ましくない反応や分解で生じることがある。消費者製品では化粧品やゴム製品から検出されている。風船やおしゃぶり、その他のゴム製品製造時のいくつかの加硫促進剤の分解で各種N-ニトロソアミンが生じることが知られている。子どもへの暴露を減らすためにおしゃぶりや風船やおもちゃについては厳しい規制値が存在する。BfRはこれについては包括的評価を発表している。また化粧品への微量存在についても厳しい規制値がある。化粧品1kgあたり0.01 mgである。
グリーンピースが報告した990 mg/kgは極めて高く、消費者の健康保護の観点からは許容できない。子どもたちが雪の泡を舐めて飲み込む可能性がある。また吸入や経皮暴露もあり得る。グリーンピースは一部の業者のスノースプレーからはN-ニトロソモルホリンは検出されていないことも報告しているので、技術的に避けることが可能であることも示されている。製造業者は製造工程を見なおして変更することを強く勧める。

(製品の写真はグリーンピースのサイトにある
http://www.greenpeace.de/themen/chemie/nachrichten/artikel/krebserzeugende_substanzen_in_schneesprays_gefunden/
クリスマスの装飾に使うもののよう)