食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 放射線誘発がんリスクに対して差し迫った健康リスクは重み付けされなければならない

Immediate health risk must be weighed against radiation-induced cancer risk
18-Dec-2012
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2012-12/rson-ihr121212.php
Radiologyにオンライン発表された新しい研究によると、医療用放射線による生涯発がんリスクは、より差し迫った健康リスクに比べて強調されすぎている。
近年CTやその他の医療被ばくにメディアが注目し、しばしば生涯発がんリスク推定が注目される。しかし患者の検査を依頼する場合には、人生の終わりに近いところでおこるリスクと現在直面しているリスクは同じではない。初期の精巣がんの33才男性がCTスクリーニングを受けるとした場合の計算。失われる寿命が放射線誘発のがんより(若年発症の)精巣がんのほうが3倍以上大きいことに注意が必要。
(これは別に放射線に限ったことではなく、がんリスクについては常に問題。損失余命はあまり大きくないのに絶対避けなければならないもののように見なされている。がんを避けようとしてがんになるより大きな損失を被っている場合があったりする。がんのリスク評価に時間のファクターをどう取り入れるか。)

  • 血中カロテノイドと乳がんリスク:8つの前向き研究のプール解析

Circulating Carotenoids and Risk of Breast Cancer: Pooled Analysis of Eight Prospective Studies
A. Heather Eliassen et al.
JNCI J Natl Cancer Inst (2012) 104 (24): 1905-1916. doi: 10.1093/jnci/djs461
http://jnci.oxfordjournals.org/content/104/24/1905
乳がん症例3055と対照3956人についてのデータを解析した。
乳がんと有意な負の関連があったのはアルファカロテン(上位1/5と下位1/5のRR = 0.87, 95% CI = 0.71 to 1.05, Ptrend = .04)、βカロテン(RR = 0.83, 95% CI = 0.70 to 0.98, Ptrend = .02)、ルテインプラスゼアキサンチン(RR = 0.84, 95% CI = 0.70 to 1.01, Ptrend = .05)、リコペン(RR = 0.78, 95% CI = 0.62 to 0.99, Ptrend = .02)、総カロテノイド(RR = 0.81, 95% CI = 0.68 to 0.96, Ptrend = .01)。βクリプトキサンチンについては関連なし。エストロゲン受容体ネガティブな腫瘍の方が関連が強い傾向にあった。
ただし肥満または過体重の場合はカロテノイドの量も乳がんリスクも高い