食品安全情報blog過去記事

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肝障害の急増は補助食品と関連

Spike in harm to liver is tied to dietary aids
NYT
By ANAHAD O’CONNOR
Published: December 21, 2013
http://www.nytimes.com/2013/12/22/us/spike-in-harm-to-liver-is-tied-to-dietary-aids.html?_r=0
17才のChristopher Herreraは昨年のある朝、テキサス子ども病院の救急外来に来たとき、蛍光ペンのような黄疸だった、と彼を治療した小児科の研修医Shreena S. Patelは思い出す。高校生のChristopherは健康食品店で「脂肪燃焼」サプリメントの緑茶抽出物を使用して重症肝炎になった。障害は重く、肝臓移植が必要だった。
新しいデータによるとこれは彼に限ったことではない。専門家ネットワークによるとダイエタリーサプリメントは入院が必要な薬物誘発性肝障害の約20%の原因で、10年前の7%から増加している。この調査では重症肝障害のみが対象で実数ははるかに多いだろう。多くの場合薬物をやめて治療を受ければ回復するが一部は肝移植を必要とし死亡することもある。だまされやすいティーンエージャーだけがリスクに曝されているわけではなく簡単に痩せようとしてサプリメントに手を出すのは多くは中年女性である。
人々がサプリメントを購入するとき、彼らが何を入手しているのかは誰も知らない。Christopherは救われたがスポーツや長時間の戸外活動はできず、毎月肝機能調査のため病院に通わなければならない。
アメリカ人は根拠のない痩せるとか筋肉がつくとか風邪から慢性疾患予防までのあらゆる宣伝に魅せられて毎年320億ドルをサプリメントに使用していると推定されている。アメリカ人の半分がサプリメントを使用しその多くが一度に複数製品を使用している。
多くのサプリメントは一般的には安全であるがその業界は規制がない。近年の批判でいくつかの規制が試みられているが1994年に成立したダイエタリーサプリメント健康教育法はFDAが販売前にサプリメントの評価をすることを妨げている。FDAは商品を排除するためには消費者が傷つくのを待たなければならない。サプリメント市場には安全性を評価されたことのない、異物混入、虚偽表示製品があふれている。
新しい研究によると肝障害と関連が疑われる製品の多くは表示されていないステロイドを含むボディビル用製品、原料用のハーブ錠剤や粉末である。
FDAはダイエタリーサプリメント会社の約70%は基本的品質保証のための水準に達していないと推定している。米国で販売されている約55000のサプリメントのうち、副作用が調べられているのはたった170、0.3%である。
製品が(医薬品のように)規制されていればあなたはリスクとメリットを知った上で選択できる。しかしサプリメントについては有効性のデータも安全性のデータもない。
この新しい研究は先月ワシントンで行われた学会で発表された薬物誘発性肝障害ネットワークによるものである。全国の8つの主要病院の医師が2004-2012年の重症薬物誘発性肝障害患者845人を調査した。2004年は115例中サプリメントが7%だったがその割合は一貫して上昇し2010-2012年は315例中20%になった。その中にはボディビルサプリメントを使用していて病気になった若い男性も数十人含まれる。問題の製品の1/3には表示されていないステロイドが含まれていた。もう一つはハーブで、85人の患者のうち2/3は平均58才の中年女性で減量あるいはエネルギー増加目的でサプリメントを使用している。約1ダースの患者が肝移植、3人が死亡している。患者の多くが複数製品を使用していることもあり原因はわからない。しかし非常に多く使われているのが緑茶抽出物である。濃縮製品が多くカテキンが緑茶の何杯分も含まれている。
ハーブによる肝障害は重症になりやすく移植につながりやすい。ナチュラルだから安全という信仰がある。
Drug-Induced Liver Injury Network
https://dilin.dcri.duke.edu/

(文中の例はこれかなぁ
緑茶抽出物:急性肝不全の原因となる可能性
Green tea extract: a potential cause of acute liver failure.
World J Gastroenterol. 2013 Aug 21;19(31):5174-7. doi: 10.3748/wjg.v19.i31.5174.
Patel SS, Beer S, Kearney DL, Phillips G, Carter BA.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3746392/
症例報告 16才の高校生
製品はApplied Nutrition® Green Tea Fat Burnerでエピガロカテキン3-ガレート(EGCG)400mgを60日間毎日使用。ただし他にもGNC Mega Men® Sportを週3回30前から、Nopal® (Cactus)を毎日1錠60日。そしてもともと肥満だったがこの間に56ポンド痩せた。
(新聞見る限りお母さんも相当ふくよか)

このEGCG 400mgってトクホのカテキン入り飲料並。トクホの試験なんて10人とか20人なのでたまにこういう人がいてもわからないだろう
他にも
Catechins in dietary supplements and hepatotoxicity.
Dig Dis Sci. 2013 Sep;58(9):2682-90. doi: 10.1007/s10620-013-2687-9. Epub 2013 Apr 27.
Navarro VJ, Bonkovsky HL, Hwang SI, Vega M, Barnhart H, Serrano J.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23625293

Review article: herbal and dietary supplement hepatotoxicity.
Aliment Pharmacol Ther. 2013 Jan;37(1):3-17. doi: 10.1111/apt.12109. Epub 2012 Nov 5.
Bunchorntavakul C, Reddy KR.

ついでにこんなのからアクセスがたくさんあったけれど
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/appleflower/20131225/p1
コメントに。
効果があることを証明できていないのに効果があると言っているのがサプリメントの問題なのに、効果が無いことを証明できていないからダメと言っていることに納得してしまったらダメでしょう。立証責任を果たしていない業者が健康被害を出しながら儲ける一方で「悪魔の証明」にどれだけ無駄な研究費を使わされてきたことか。)