食品安全情報blog過去記事

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DDT暴露とアルツハイマー 専門家の反応

DDT exposure and Alzheimers – experts respond
January 30th, 2014.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2014/01/30/ddt-exposure-and-alzheimers-experts-respond/
英国SMCより
Southampton大学のDavid Coggon職業環境医学教授
症例と対照をどう集めたかが記載されていない残念な疫学研究である。暴露量や集団の代表性が評価できない。アルツハイマーになった結果体重が減ることが患者のDDE濃度を変える可能性がある。
Open大学応用統計学Kevin McConway教授
この論文は結果の解釈に大きな問題があると指摘しているエディトリアルと一緒に読むべきだ。サンプルサイズの小ささと、差が出た理由がテキサスのデータのせいで他の地域では差がない
FSAからの情報
DDTは英国では1986年から禁止されている。ストックホルム条約で世界的に農業での使用を2000年代にやめることに合意しており英国に輸入される食品に使われている可能性は低い。人体の脂肪組織中のDDT濃度は1960年代から減り続けており、DDEの濃度も1970年代後半以降減っている。
London大学毒性学名誉教授Tony Dayan教授
エディトリアルで多くの不確実性を指摘している。アルツハイマー病はDDTが最初に合成された時には既に知られていてDDTが原因でアルツハイマーになることが重要な要因だとは考えにくい
Imperial College London生化学薬理 Alan Boobis教授
この研究の欠点についてはエディトリアルで記されている。多くの国でDDTはもう使われていない。
Cambridge大学公衆衛生医学Carol Brayne教授
症例対照研究は対象者をどうやって集めたかによって影響される。結果の解釈は難しい
‘Elevated serum pesticide levels and risk for Alzheimer disease’ by Jason R. Richardson et al. was published in JAMA Neurology at 21:00 UK time on Monday 27 January 2014