食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

BfRは消費者製品中の発がん性多環芳香族炭化水素を欧州全体で制限するよう導く

BfR recommendation leads to the Europe-wide restriction of carcinogenic PAHs in consumer products
28.01.2014
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2014/04/bfr_recommendation_leads_to_the_europe_wide_restriction_of_carcinogenic_pahs_in_consumer_products-189229.html
欧州委員会はドイツの提案を実施する
2013年12月7日、欧州委員会は、ドイツが始めた消費者製品中の発がん性多環芳香族炭化水素(PAHs)の制限を、拘束力のある法的基準で実施した。EU規制1272/2013により、通常の使用で肌や口腔と接触する成分を含み、所定の制限値を超えた発がん性がある特定のPAHsを含む消費者製品は2015年12月以降市場に出してはいけない。「これは欧州の消費者保護にとって大成功である。」とBfR長官Dr. Andreas Henselは述べた。「規制により、これらの発がん性物質と消費者との接触は相当減らせるだろう。」
スポーツ用品・家庭用品・工具・洋服・リストバンドのような製品の規制値は各PAHについて1 mg/kgである。動くおもちゃ・保育用品を含むおもちゃには、0.5 mg/kgの低い規制値が設定された。これらの規制値は将来EU市場の全ての消費者製品に必須となるだろう。
消費者製品のPAHs制限は、欧州連合の化学物質の登録・評価・認可を統治する欧州規制“REACH”の大成功である。REACHは、化学物質の製造業者と使用者が製造し流通させる物質はヒトの健康や環境にとって有害ではないことを保証しなくてはならないという原則に基づいている。
2010年に行われたリスク評価で、BfRは多くの消費者製品からヒトの健康に対して危険な量の発がん性PAHsを実証した。同時に市場の多くの製品が比較的低いPAH 含有量であることも示した。これは消費者製品に低PAH量素材を使うことが原則として可能だということを示唆している。PAHsの発がん性に安全な量が設定できないことから、BfRはPAHsの消費者暴露量は合理的に達成可能な限り低くするべきだと主張した。ドイツ政府(連邦労働安全衛生研究所(BAuA)、連邦環境庁(UBA) 及びBfR)は欧州委員会に対してREACHのもとで合同の制限案を提出した。
欧州委員会の決定はドイツの提案を完全に取り入れたものではないが、BfRはおもちゃと保育用品に他の消費者製品と比べて低い規制値が設定されたことを歓迎している。欧州委員会は規制値を4年以内にレビューする予定である。