食品安全情報blog過去記事

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調理した肉は認知症リスク増加と関連する?

Is cooked meat linked to increased dementia risk?
Tuesday February 25 2014
http://www.nhs.uk/news/2014/02February/Pages/Cooking-meat-could-increase-dementia-risk.aspx
BBCニュースが肉を調理すると認知症になるリスクが増えるかもしれないと報道した。この主張は米国のマウスとヒトで最終糖化産物(AGEs)として知られる物質が認知症やメタボリック症候群に関連するかどうかを調べた研究に基づく。AGEsは「悪い分子」と説明される。これらは酸化により細胞を傷つけ、生体のゴミの一種とよばれる。AGEsは天然に人体で生じるが食品にも存在し、煮たり焼いたりすることで生じる。研究者らはAGEの多い餌を与えた高齢マウスの脳で、アミロイドタンパク質の蓄積などのヒトのアルツハイマー病の特徴的変化を見いだした。また60才以上のヒト93人で血中AGE濃度の高いことと認知機能の低下やインスリン感受性の低下などを観察している。しかしこの人たちにアルツハイマー病やメタボリック症候群と診断された人はいない。全体として、この結果はAGEsと認知症やメタボリック症候群の関連を示唆するが決定的ではない。理想的にはより大規模のコホート研究が必要であろう。

  • 食事と糖尿病と認知症についての専門家の反応

SMC
expert reaction to diet, diabetes and dementia
February 24, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-diet-diabetes-and-dementia/
PNASに発表された研究でAGEsとアミロイドの沈着の関連の可能性が報告された。
アルツハイマー研究UKのSimon Ridley博士
糖尿病と認知症リスクの増加はこれまでも報告されていて、この小規模研究は分子メカニズムについて幾分かの知見を加える。しかしこの研究で調べられている人は認知症ではないことに注意する必要がある。この研究はまだ初期段階でさらなる研究が必要である。認知症は複雑で多数の遺伝的環境的要因があり全てが理解されてはいない。最良の根拠は、運動と禁煙、血圧と体重チェックを含むバランスのとれた食生活がアルツハイマー病リスクを下げることができる、というものである。
アルツハイマー学会研究開発部長Doug Brown博士
ハンバーガーやフライドチキンが悪いという話はよくあり、この研究が初めてではない。しかしこの研究は我々の知識を増やす。マウスで期待できる結果がしめされたことはさらなる研究をすべきである。もちろんマウスの研究から結論を出すことはできない。
認知症リスクを下げる最良の方法は運動と禁煙と健康的食生活である
Exeter大学医学部臨床疫学David Llewellyn博士
この論文はヒトでの因果関係を結論したものではない。この研究は認知症の食事介入戦略のさらなる研究の必要性を示す。
IXICO plcのCEOで医療イメージング科学Derek Hill教授
食事で病気になるとか予防するとかいう話題に一般の関心は高い。悪者とされるものにAGEsがある。この研究は決定的答えではないがアルツハイマー予防のための対策に付け加えるものである
Nottingham大学精神保健研究所認知症研究Tom Dening教授
我々は既に加齢ageが認知症リスクを増やすことは知っている。しかしAGEについてはどうだろうか?この研究は知見をくわえるものではある。我々は食事を心配すべきだろうか?もちろん健康的な食生活は大切である。しかし食事のAGE制限はどのくらい重要かは不明である
King’s College London精神医学研究所Martin Prince疫学教授
糖尿病がアルツハイマー発症リスク増加に関連することは既に説得力のある根拠がある。この新しい研究はメカニズム理解に役立つ