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WHOが新しい糖ガイドラインにパブリックコメント募集、についての専門家の反応

SMC UK
expert reaction to new WHO sugars guideline to undergo public consultation
March 5, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-who-sugars-guideline-to-undergo-public-consultation/
WHOが肥満や虫歯などの公衆衛生問題を減らすための糖の新しいガイドライン案に意見募集を開始した
オックスフォード大学プライマリーケアヘルスサイエンス学科Susan Jebb教授
WHOの糖の摂取量を減らす助言についての意見募集は、消費者にリスクについての明確なメッセージを送るが、健康改善のために糖の摂取量を変えるだけでは必ずしも十分ではない。砂糖についての主な課題はこれが人々の食生活を変えるのにどう役立つか、である。WHOが言及しているように、砂糖を減らすことは肥満対策のために総エネルギー摂取量を減らす重要な要素である。砂糖を減らすその結果としてエネルギー摂取量を減らすために食品の組成を変更することは重要な戦略ではあるが、同時に消費者の食習慣を変えるのにどうすればよいかを考える必要がある。
King’s College London医学部糖尿病栄養科学部門長Tom Sanders教授
根拠は、砂糖入り飲料の多量摂取と肥満の関連および砂糖摂取と虫歯についてのよく知られた因果関係、である。提案の目的は添加された糖の摂取量をエネルギーの10%に減らすことで、これは現在の英国のガイドライン、ミルク以外の外来性の糖を11%以内に、とあまり変わらない。現在の英国人のミルク以外の外来の糖の摂取量は11-12%で、10%にするのはそれほど難しいことではない。しかし摂取量には大きな分布の幅があり、一部の人は非常に多く摂っている。虫歯に関しては総摂取量より頻度の方が重要である。5%という上限は達成するのが非常に困難なもので私の知る限りこれが達成可能であることを示した試験はない。5%は試験されていない、10%は一緒に生きていける。
我々の調査では伝統的英国風食生活の健康成人は総エネルギー摂取量の25%を糖から摂っており、ミルク以外の外因性糖は約11%である。
消費者にとって混乱するのは「糖」の用語の異なる使い方であろう。新しい助言では添加されたものだけではなくハチミツやフルーツジュースなどの「遊離の糖」も含む。果物やミルクに含まれる糖は含まないようで、例えばバナナ1本リンゴ1個ミカン1個ミルク半パイント(250ccくらい)で合計約60gの糖を摂ることになるがそれは問題ない。欧州栄養指令では総糖含量のみの表示である。したがって朝食用シリアルのような食品では糖を添加していてもしていなくても糖の総量が同じになることがあり混乱する。炭酸飲料やフルーツジュースは糖を減らすには簡単な標的である。
ケンブリッジ大学医学研究部疫学ユニットプログラムリーダーNita Forouhi博士
WHOが「遊離の糖」は1日の総カロリー摂取量の10%以下にすべきというこれまでの助言を維持したのは適切であり歓迎する。肥満や虫歯のため5%にさらに削減する勧めは野心的でチャレンジングである。添加される遊離の糖を10%以下にするというのは現実的目標である。重要なメッセージは(1)炭酸飲料のような砂糖入り飲料にはたくさんの砂糖が含まれ簡単に代用できる、(2)甘いお菓子やデザートは毎日習慣的に食べるものではなく時々のごちそうとみなすべき、というものである。添加された糖は虫歯や肥満以外にも2型糖尿病や心疾患に寄与する。砂糖は他の多くの成分同様食事の市瀬異聞であることを忘れるべきではない。添加された糖の摂取を減らすのは正しいが全体的に健康的なライフスタイルを続けることと一緒に伝える必要がある。