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食品と飲料水中のクロムの存在に関する公衆衛生リスクについての科学的意見

Scientific Opinion on the risks to public health related to the presence of chromium in food and drinking water
EFSA Journal 2014;12(3):3595 [261 pp.]. 13 March 2014
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/3595.htm
EFSAは、食品中、特に野菜のクロム(Cr)とボトルドウォーターのクロム(VI)のヒトの健康へのリスク評価に関する科学的意見をギリシャ食品機関から要請された。CONTAMパネルはラットのNTPの慢性毒性試験で確認された最も低いNOAELから、Cr(III)のTDIを一日当たり0.3 mg/kg b.w.とした。食品内の全てのクロムがCr(III)だと仮定すると、全ての年齢集団の平均及び95パーセンタイル食事暴露はTDIよりかなり低いので公衆衛生上の懸念はない。飲料水の場合は、パネルは水中の全てのクロムをCr(VI)とみなした。非腫瘍性の影響として、雌のマウスの十二指腸の広範性上皮過形成の最小のBMDL10と2年間のNTP試験での雄のラットの血液毒性の最小のBMDL05が基準点として選ばれた。飲料水経由のCr(VI)の現在の暴露量での非腫瘍性の影響についてのMOEsは公衆衛生上の懸念とはならない。腫瘍影響については、CONTAMパネルは基準点としてマウス小腸の腺腫とがんの合計の最小BMDL10を選んだ。全体として、暴露推定の上限での乳児を除き、平均クロム慢性暴露量を考慮した時、全ての年齢集団にとって飲料水(人の消費を目的とした水及び天然ミネラル水)経由のCr(VI)摂取に関しては、計算されたMOE値は、懸念が低いことを示した(maximum UB - minimum LB, 6300 - 71000)。上限95パーセンタイル暴露推定で10000以下のMOEsになるのは、上限推定条件で比較的高い値がでると影響を受けやすい、特に「乳児」(maximum UB - minimum LB, 3100 - 21000)、「幼児」(maximum UB - minimum LB, 3100 - 21000)、「その他の子供」(maximum UB - minimum LB, 6600 - 360000)である。リスク評価を改善するために、食品と飲料水のCr(III)と Cr(VI)の含有量のデータが必要である。