食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

紅麹を含む食品サプリメント:摂取する前に医療専門家に尋ねよう

Food supplements containing red yeast rice: before consumption, ask a healthcare professional
18/03/2014
http://www.anses.fr/en/content/food-supplements-containing-red-yeast-rice-consumption-ask-healthcare-professional
「紅麹」は「正常コレステロール値を維持する」と謳う多くの食品サプリメントに使用されるコメにつく赤カビである。ANSESは紅麹を含む食品サプリメントの摂取に関連すると思われる25の有害作用報告(主に筋肉と肝臓の傷害)を受けた。現状では、ANSESはモナコリンを含む紅麹食品サプリメントの摂取が、遺伝的素因を持つ、病状がある、治療中であるなどの感受性の高い人たちにはとりわけ、消費者に健康リスクを引き起こす恐れがあると考えている。ANSESはこの製品を摂取する前に、これらの感受性の高い人には医学的助言を求めるよう推奨している。このサプリメントはスタチンベースの薬を使用している患者や、副作用によりスタチンベースの薬の使用を止められている患者(「スタチン不耐性」患者)に使用してはならないと強調している。感受性の高い人(妊婦、授乳中の女性、子供、青年、70歳以上の人、グレープフルーツを多量摂取する人など)も紅麹サプリメントの使用を避けるべきである。

「紅麹」はコレステロールの正常レベルを維持すると謳う多くの食品サプリメントに使用されるコメにつく赤カビである。
消費者は医学的助言の有無にかかわらず、コレステロールを下げる治療の代わりとして、また薬に加えて、これらの食品サプリメントを使用する。実際、紅麹はモナコリンとして知られるいくつかの化合物を製品により大きく異なる濃度で含む。この物質の一つであるモナコリンKは、スタチンの薬理学的性質を持ち、つまりコレステロール合成経路に関与する酵素(HMG-CoAレダクターゼ)を抑制する可能性を持つ。そのためモナコリンKは米国・カナダ・オーストリア・スペイン・ポルトガルギリシャでは「ロバスタチン」という名の国際商標で薬として市販されているが、フランスではそうではない。

ANSESに報告された有害影響
ニュートリビジランスシステムの創設により、ANSESは紅麹を含む食品サプリメントの摂取に関連する可能性のある有害影響についての、詳細な25件の報告を受けた。
因果関係が「可能性が高い」または「可能性がある」の12事例:
・事例の大半は筋肉の傷害(多くは激しい筋肉痛)
・肝臓障害3例、単独のものと筋肉損傷を伴うもの両方
この件に関する情報を共有しているフランスや他国で報告されたニュートリビジランス事例は、科学的文献で詳細に記述されているロバスタチンの臨床事例ととても似ている。それゆえ評価では、モナコリンを含む紅麹由来食品サプリメントの現在の使用状況では、遺伝的素因を持つ、病状がある、治療中であるなどの感受性の高い人たちにはとりわけ、消費者の健康リスクを引き起こす可能性があると結論した。摂取には医学的助言、肝機能検査を含む管理、使用を警戒する注意、有害影響の監視と組み合わせなければ、この健康リスクはさらに高いだろう。
評価を精細化するために可能な限り多くのデータを集めるために、ANSESは様々な関係者(消費者団体、製造業者など)、当局(国際的な機関など)に意見募集のための意見案を2013年12月15日に提出した。この意見募集で集められた情報はANSESの機関の最終意見に組み込まれた。

医学的な監視、情報、状況説明が必要とされる
この評価で、ANSESは紅麹食品サプリメントの消費には以下を推奨している:
・それらの製品を摂取する前の肝機能検査とスタチンに関連する肝臓と筋肉の毒性のモニタリングを含む医学的な監視。
・リスクのあるグループ(特に妊婦と肝機能障害者)及びリスク状況(薬や食品との相互作用の可能性)に関する使用警告とスタチン禁忌症に関する情報提供。
ANSESはこれらの製品の分類をEUレベルで明確にするべきであることやその販売ネットワークがこれらの助言に従っていることを確実にすべきだと考えている。
ANSESは、血中高コレステロールは病気ではなく、むしろ心血管疾患のリスクを高める要因であり、予防には、多様な食事と定期的運動を含む健康的で座っているだけではないライフスタイルが最優先されるべきだということを強調した。

ANSESの助言
ANSESが消費者に推奨するのは:
・紅麹を含む食品サプリメントを摂取する前に医者に助言を求めること
・次の集団に属する場合は紅麹食品サプリメントを避けること
・妊婦と授乳中の女性
・子どもと青年
・70歳以上の人
・腎不全、筋肉の病気、未治療の甲状腺機能低下症、進行性肝疾患などの病気がある人
・グレープフルーツ(ジュースや果物)またはアルコールの多量摂取者
・スタチンベースのコレステロール低下薬品を使用していたり、副作用によるスタチンベースの薬の服用が止められている場合(「スタチン不耐性」患者)、医師の助言がない限り、紅麹食品サプリメントの摂取を避けること。

ANSESは医療専門家向けに次のような点を強調した:
・紅麹を含む食品サプリメントコレステロール低下薬品の代わりに使用してはならない:
・スタチンや脂質代謝に影響する薬を使用している人は紅麹を含む食品サプリメントを使用するべきではない;
・紅麹を含む食品サプリメント使用後に生じた全ての副作用はANSESに報告しなければならない。

追加情報
・食品サプリメント中の「紅麹」の存在に関するリスクについての意見参照(フランス語)