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大気中の花粉への公衆の暴露:ANSES更新情報

Exposure of the general public to pollen in ambient air: an ANSES update
19/03/2014
http://www.anses.fr/en/content/exposure-general-public-pollen-ambient-air-anses-update
ある推定によると、季節性鼻炎やぜんそくのような呼吸アレルギーの人数は、先進国ではこの20年間で2倍になっている。しかしながら、花粉アレルギーの実数を正確に測るのは今のところ難しい。これは、現在利用できる疫学研究は主にアレルギー性鼻炎の人数を評価しており、原因が花粉とは限らず、非アレルギー性鼻炎と類似の症状の人は含まれない。また、研究の多くは基本的にアンケートに基づいているため、アレルギー検査を除くと過大評価のバイアスが大きくなる。この理由から、PNSE 2の枠組みで、ANSESは大気中の花粉への公衆暴露の健康影響に関する現在の知見の包括的レビューの提供と、健康リスクの効果的な管理のためのアイデアの提案を求められた。
花粉症:定義と頻度
花粉はほとんどの植物の生殖に重要な役割を果たしている。種によるが、昆虫(虫媒性植物)や空気(風媒植物)によって運ばれる。花粉は花粉症として知られるアレルギー反応の原因で、主に鼻炎や鼻結膜炎、まれに喘息として表れる。アレルギーを引き起こす風媒花粉は大量に空気中に放出され、そのサイズが小さいため必然的に呼吸粘膜と眼球粘膜に接触する。花粉アレルギーの頻度は年齢によって異なる。子供と高齢者よりも若い成人の方が高い。
1994年‐2006年にフランスで行われた調査に基づく最大推定量
・子供の7-20%、
・成人のおよそ30%
頻度は地方により異なり、花粉密度の季節による違いに加え、地域ごとに植物のタイプが異なることに関連している。アレルギーの遺伝的素質は花粉症のリスク要因だが、それとは別に、長期大量暴露で誰にでも発症する可能性がある。
大気汚染物質 / 花粉と気候 / 花粉の相互作用
大気汚染物質 / 花粉の相互作用とアレルギー反応
ある種の化学汚染物質は、気管支反応性の閾値を低くしたり、感受性の高い人の鼻粘膜や眼球粘膜の刺激を強くしたり、花粉粒子の修飾する花粉のアレルゲン活性を修正することなど、様々な方法でアレルギー反応を修飾する。
花粉と気候変動
近年発表された研究では、気候の変化が花粉の生産に影響することを示している。
アレルギーを起こす植物の発育を防ぐ
都市環境では特に、アレルギーを起こす植物を管理(これらの植物の根絶、分散の管理、数の限定、モニタリング計画の設定など)することで花粉の暴露を減らすことができる。植物のタイプと育つ環境によって様々な管理方法があるが、生物多様性の保護のため、植物の根絶はフランス原産ではない植物と外来植物にのみ考慮できる。農作物種についても同様である。
ANSESの勧告
この包括的レビューに従い、経時的及び地理的な病状の変化と、この病気の管理政策の有効性を評価するために、様々な花粉に対するアレルギー頻度の知見が定期的に更新されるようANSESは提案した。特に都市部において、アレルギーを起こす花粉をまき散らす植物の発育の管理が改善されるべきである。
ANSESはまた、花粉モニタリングを継続し、花粉の分散のリアルタイムモニタリングシステムと時空間モデルを完成させることも推奨した。これは、アレルギー患者と医療従事者への情報提供を改善することを目的としている。
ANSESは又、花粉と大気汚染(オゾン・二酸化炭素・微粒子)の相互作用の影響、そして最後に、花粉中のアレルゲンの生産や量に与える気候要因の影響についての研究を推奨している。