食品安全情報blog過去記事

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論文

Beetles that taste like mustard
May 8, 2014 No. 6/2014 (126)
http://www.ice.mpg.de/ext/1105.html?&L=0
キャベツや菜種などのアブラナ科の植物の害虫であるキスジノミハムシ(Phyllotreta striolata)には、植物が虫を駆除するために作るグルコシノレートがミロシナーゼに触媒されて作る「マスタードオイル爆弾」が効かない。それだけではなく植物が作るグルコシノレートを隔離して貯蔵し自分のミロシナーゼを使って武器とする。
Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA, May 2014, doi: 10.1073/pnas.1321781111

ScienceNOW
Polar Bear Evolution Was Fast and Furious
8 May 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/05/polar-bear-evolution-was-fast-and-furious
ホッキョクグマにとっては太ることが生きることだ。体重の50%が脂肪であり、餌のアシカは脂肪が多い。ホッキョクグマとその最も近縁種のヒグマのゲノムを比較したところホッキョクグマがどうやってそんな食生活に適応したのかが明らかになった。しかもその進化は比較的早いこともわかった。
ホッキョクグマとヒグマが別れた時期についてはこれまで約60万年前から500万年前と幅のある推定がなされていたが、Cellに発表された最新の研究では343000年前から479000年前と結論された。ヒグマとホッキョクグマで最も違いの大きい遺伝子は脂肪の処理と心血管系に関するもので、最も違いのある16の遺伝子のうち9つはヒトで心疾患と関連するものであった。

  • ストレスの多い社会関係と死亡率:前向きコホート研究

Stressful social relations and mortality: a prospective cohort study
Rikke Lund et al.,
J Epidemiol Community Health doi:10.1136/jech-2013-203675
http://jech.bmj.com/content/early/2014/04/02/jech-2013-203675.abstract
36-52才の9875人の男女を含むデンマーク労働非雇用健康縦断研究のデータとデンマーク死亡登録データを用いて配偶者、子ども、その他の家族、友人や近所の人とのストレスの多い社会関係と全ての原因による死亡との関連を調べた。配偶者や子どもからの頻繁な悩み/要求は死亡率の50-100%の増加と関連する。どんな種類の社会関係であっても喧嘩が多いことは死亡率の2-3倍の高さと関連する。男性で配偶者から頻繁に悩み/要求を経験している場合10万人年あたり135の余剰死亡になる。
(おうちで妻子に文句ばかり言われている男の人が特にリスクが高いんだって。)

  • セリアック病ではないがグルテン過敏症だと自己診断している成人の特徴

Characterization of Adults With a Self-Diagnosis of Nonceliac Gluten Sensitivity
Jessica R. Biesiekierski, et al.,
http://ncp.sagepub.com/content/early/2014/04/15/0884533614529163.abstract
セリアック病ではないがグルテンフリーの食事(GFD)をするとおなかの調子が良くなるという非セリアック病グルテン過敏症(NCGS)は、主に自己診断されていて非常に良くあるように見える。自分はNCGSだと信じる人にアンケートを行った。調査を完了できたのは147人で平均年齢43.5才、女性が130人。72%はNCGSの定義にあわない。理由はセリアック病を除外できていない、GFDでも症状はコントロールできない、GFDにはしていない、など。44%は自分でGFDを始めていて21%は代替医療施術者から、19%は栄養士から、16%は家庭医から薦められて始めていた。NCGSの定義にあう40人については知識やGFD遵守は素晴らしく65%は他の食品にも不耐がある。
オーストラリア。