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ANSESはp-シネフリンを含む減量用のダイエタリーサプリメントに関する勧告を発表

Today ANSES publishes its recommendations on dietary supplements for weight-loss containing p-synephrine
05/05/2014
http://www.anses.fr/en/content/today-anses-publishes-its-recommendations-dietary-supplements-weight-loss-containing-p
p-シネフリンはビターオレンジの皮にある物質で、多くの「減量用」といわれるダイエタリーサプリメントの成分として使用される。ANSESはp-シネフリンを含むダイエタリーサプリメントの消費に関すると思われる有害作用の報告を18件受け取っている。評価を行い、ANSESはダイエタリーサプリメントによるp-シネフリンの摂取濃度は20 mg/日以下にするべきであると考えており、カフェインと一緒にp-シネフリンを取ってはならないと勧告する。また、運動中にはp-シネフリンを含む製品の使用を避けるよう、感受性の高い人(治療中の人、妊婦と授乳中の女性、子供と青年)は使用しないように勧告している。
p-シネフリンはビターオレンジ(Citrus aurantium ssp. aurantium)と柑橘系の他種の皮に見出される。p-シネフリンは柑橘類の果物から得られる他の成分と同様、体脂肪を減らしたり体の組成を変えたりするといわれる多くのダイエタリーサプリメントに見られる。
体重問題は、客観的だろうと主観的だろうと、単独で、または食事や運動と組み合わせてこれらの種類の製品を使用する環境を作り出す。
ニュートリビジランス:ANSESが受けた18の有害作用報告
2009年にニュートリビジランスシステムができてから、ANSESはp-シネフリンの原料となる柑橘系果物から得た成分を含むダイエタリーサプリメントの消費に関係する可能性のある、十分に記載された18の有害作用の報告を受けている。
13の事例は、心血管の影響、肝臓障害、高リン血症、神経障害などとの因果関係の可能性がある、あるいは可能性が非常に高い。
重大な有害作用の事例は、主に本質的に心血管であり、文献でも報告されている。これらの事例では、他の病因・合併症・特に複雑な関連のため、報告された有害作用の原因が明白に柑橘類によるとすることはできない。
ダイエタリーサプリメントからの摂取は、特に柑橘系のジュースの消費による日常の食物からのp-シネフリンの摂取と区別するべきである。食物による摂取は広範で、最大20 mg/日のp-シネフリンを含むバランスのとれた食事は、一般人をこの物質の存在によるあらゆるリスクに曝さないと思われる。ニュートリビジランス計画において心血管の影響を表示しなければならない柑橘類抽出物を含むダイエタリーサプリメントは、製造者の推奨では一日当たりのp-シネフリンを1〜72mgの間で提供し、全てカフェインを含む。
ANSESの結論と勧告
評価に基づき、ANSESは:
 柑橘類を大量に摂取する消費者が摂取する量に相当する20 mg/日の用量は、ダイエタリーサプリメントとして超えるべきではないp-シネフリン摂取用量の参照値と考えられるだろう(厳密にいえばこの値は安全性基準ではない)。
 現在市場にあるダイエタリーサプリメントの多くは上述の参照量基準を上回るこの物質の一日摂取量を提供していることに注意する:それゆえこれらのダイエタリーサプリメントは消費者にとって入手しやすいものとなってはならない。
 累積、相乗効果の可能性により、p-シネフリンをカフェインやカフェイン含有製剤、カフェインに類似した心血管の影響を持つあらゆる物質と同時に摂らないよう勧告する。これらの理由から、シネフリンとカフェインは一つのダイエタリーサプリメントに組み合わせて入れてはならない。
 有害作用のリスクの高い人(高血圧の治療中の人、特に心臓病やうつ病の人)、妊婦や授乳中の女性、子供と青年のp-シネフリンの摂取には強く反対する。この情報は消費者に対し明確に示すべきである。
 血圧に関する影響の可能性により、運動中のp-シネフリンを含むダイエタリーサプリメントの摂取には強く反対する。これらの影響は太り過ぎや肥満患者の心血管のリスクを高め、安静時血圧への長期運動のメリットを減らすことになる。
p-シネフリンを含むダイエタリーサプリメントが普通に使用されているためANSESは食事による減量のリスク評価後に発表した2001年の主要な勧告を回想する。食事による減量は健康リスクがあり、骨・腎臓・心臓・行動・心の健康に悪影響がある恐れがあり、リバウンドリスクがある。減量が医学的に正当化される状況以外で、医療専門家によるモニタリングなしでの減量食は勧めない。

追加情報
p-シネフリンを含む柑橘類の果物から得たp-シネフリンや成分を含むダイエタリーサプリメントに関連したリスクに関するANSESの意見(フランス語)
http://www.anses.fr/en/documents/NUT2012sa0200.pdf
減量食に関する記事参照
http://www.anses.fr/en/content/weight-loss-diets
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20101201#p8
ダイエタリーサプリメントに関する記事参照
http://www.anses.fr/en/content/what-are-food-supplements