食品安全情報blog過去記事

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前糖尿病のレッテルは役にたたない、と専門家が主張

Behind the headlines
Prediabetes label unhelpful, experts argue
Wednesday July 16 2014
http://www.nhs.uk/news/2014/07July/Pages/Prediabetes-label-unhelpful-experts-argue.aspx
BBCが「前糖尿病のレッテルは無価値、と研究者が主張」と報道した。この見出しは医学の教授であるJohn Yudkinと Victor MontoriがBMJに発表した意見に基づく。彼らは「前糖尿病」と診断することは人々を不必要な医薬品を投与されるリスクに曝し医療制度に負荷となる。この意見は現在BMJが連載中の、実際には治療が必要ないヒトにまで治療をしている問題を検討した「過剰医療」シリーズの一部である。彼らは食生活を変える、教育する、健康と経済政策にお金を使った方が良いと主張している。これは意見であり、著者らの意見は研究に基づいたものであるが他の根拠は彼らの見解とは矛盾することもある。
(話を聞いて大事かどうかを判断して検査や薬の投与無しでも様子をみましょうと言ってくれるお医者さんに診療報酬がきちんと支払わられ、それをみんなが尊重できればいいのに。)

  • やや血糖値の高い人を「前糖尿病」とレッテルを貼ることが役にたつかどうかについての専門家の反応

SMC
expert reaction to whether labelling people with moderate blood glucose levels as having ‘pre-diabetes’ is helpful
July 16, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-whether-labelling-people-with-moderate-blood-glucose-levels-as-having-pre-diabetes-is-helpful/
King’s College London糖尿病栄養科学部長Tom Sanders教授
2型糖尿病インスリンへの反応が下がる、血圧が上がる、脂質が異常値を示すなどの前兆から始まる長いプロセスの結果である。血糖値の増加はもはや膵臓が正常血糖を維持できない比較的後半におこる。「前糖尿病」という言葉はメタボリックシンドロームとほぼ同義語として使われるがメタボリック症候群の定義の方が広い。どちらも過体重により影響され減量と運動で改善される。John Yudkinは血糖値が少しだけ高い人に血糖降下薬はあまり役にたたないと主張している。これは血糖降下薬が心血管系疾患のリスクを下げないという多くの試験結果で支持される。これは血圧や血中脂質を下げる薬が一貫して心血管系疾患頻度を下げていることと対照的である。この記事が指摘している重要なことは、多くの製薬会社が宣伝している「グルコース中心」の見解への疑問である。しかし血糖値の高さが白内障、網膜症、腎不全、そして多分認知症リスクには寄与しているだろうことには注意が必要である。40才以上の成人の「前糖尿病」の割合は、肥満の増加に伴って2003年の12%から2011年の35%に増加している。これは将来2型糖尿病が増加することを予見する。血糖値を下げる薬を座して待つよりは、中年の成人に食べる量を減らして運動するよう薦める必要がある。これが最も効果的な予防法だからである。