食品安全情報blog過去記事

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その他ニュース等

The End of the Debate: Fat Chance
by Berkeley Wellness | July 07, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/end-debate-fat-chance
結局飽和脂肪はOK、バター復活!今や飽和脂肪はあなたにとって良いものになった?3月に心疾患と脂肪についての最新研究を報道するこのような見出しを読んだあなたは、まるで映画Sleeperでウッディ・アレンが200年後に目覚めてステーキやクリームパイやファッジが健康に良いとされているのを発見したのを見ているように感じただろう。多くのメディアが、この研究がこれまでの常識を覆したかのように報道しているが、実際にはそれほど新しいものではない。しかしこれは食事由来の脂肪についての多くの議論をよみがえらせ、多くのヒトを混乱させたことは間違いがない。
以下長い説明(略)
基本:我々は肉のような飽和脂肪の多い食品を制限し、ナッツや魚のような不飽和脂肪の多い食品をもっと摂るよう助言し続ける。心臓によいとされるほぼ全ての食事は飽和脂肪が少ない傾向にある。野菜や果物、豆、ナッツ、全粒穀物がメインの健康的な食事では飽和脂肪が入る余地があまりない。ただ脂肪はダイエットにとっては諸刃の剣であり、満足感を与えるがカロリーが高い。従って適量に。

  • 研究者がゴールデンライスの論文取り下げを阻止するために訴える

ScienceInsider
Researcher sues to block retraction of golden rice paper
By Martin Enserink 17 July 2014
http://news.sciencemag.org/asiapacific/2014/07/researcher-sues-block-retraction-golden-rice-paper
中国の子どもたちでの栄養研究が倫理規定違反だとされた研究者が、論文を救うために裁判所で結果を説明する。栄養科学者Guangwen Tangが、25年以上勤務したTufts大学と米国栄養学会を訴えた。学会は大学の委員会の調査で倫理規定違反が見つかったために論文を取り下げる意向だが、Tangは取り下げは名誉毀損に等しいと主張している。Tangは論文は修正で対応できるという。

  • 小麦生産者のためのゲノムデータの収穫

Science
Harvest of genome data for wheat growers
By Elizabeth Pennisi 17 July 2014
http://news.sciencemag.org/biology/2014/07/harvest-genome-data-wheat-growers
一度は不可能と考えられた小麦のゲノムが配列決定された。2005年に一部のカンザスの農家が最良の品種を交配するために必要だと考えて決心した成果が今週実った。

Natureニュース
ひどく複雑な小麦ゲノムは穀物の歴史を明らかにする
Fiendish wheat genome reveals grain's history
Heidi Ledford 17 July 2014
http://www.nature.com/news/fiendish-wheat-genome-reveals-grain-s-history-1.15577
パン小麦のほぼ完全なDNA配列決定は交配を加速するだろう
本日Scienceに発表された国際小麦ゲノム配列決定コンソーシアムによる一連の論文で、パン小麦Triticum aestivumのゲノムポートレートが明らかになった。
現在の小麦のゲノムは異なる品種の何回にもわたる交配の産物で、それぞれ7対の染色体からなるほぼ同一の「サブゲノム」3組からなる。その42本の染色体は反復DNA配列だらけで、短い配列断片をひとつにまとめるアルゴリズムが非常に困難であった。あまりにも手強いために研究者らは個々の染色体を手作業で単離して配列を決めることにした。
2000年に初めて完全ゲノム配列が発表された植物であるArabidopsis thalianaは、Triticum aestivumの21対の染色体のどの1本よりも小さい。小麦ゲノムは170億塩基からなり、ヒトゲノムの5倍、遺伝子の数は124000である。

  • 思考の糧

Natureエディトリアル
Food for thought
16 July 2014
Nature 511, 264 (17 July 2014)
異なる農法を研究している人たちは分断すべきではない
議論が続いている。先月有機農法で栽培された食品が有用と主張される抗酸化化合物の濃度が高いという解析が発表された。この分野はまだ小さく研究の質はばらばらである。著名な科学者らがこの論文の方法論や解析に批判をしている。
この論文の主張とは別に、より大きな問題がある。この結果のメディアでの解釈に関わらず、この種の研究では答えられない基本的問題がある。
農法は生産物の質や栄養にどう影響するのか、は重要な問題であり慣行農法の改善の余地は大いにある。
さらにこの論文ではフェノール酸やフラボノールのような化合物が多いことと慢性疾患リスクの削減の関連を引用しているがそのような関連があるというエビデンスは、最良であっても一貫していない。問題なのは抗酸化物質の量ではなく、健康にどう寄与しているのか、である。さらに抗酸化物質が多いとしてもそれが有機栽培のせいであるかどうかも不明である。
これらは意味のある議論ではあるが中立が難しい。農法の研究はしばしば別の農法への反対と受け取られ、研究者が分断される。科学は、より栄養のある食品をより多くのヒトにより持続可能な方法で供給する、という中心的課題に取り組むべきである。

  • 食用大麻が産業に成長

ワシントンタイムス
Marijuana edibles burgeoning into an industry
Friday, July 18, 2014
http://www.washingtontimes.com/news/2014/jul/18/marijuana-edibles-burgeoning-into-an-industry/?page=2
医療用大麻が合法化された22州で多様な食用大麻が開発されている。雑誌社は「公式ティータイムの大麻調理法」がベストセラーになっているといい、大麻入りオリーブ油、大麻チンキ、グルテンフリー大麻クラッカーが既に作られている。
大麻の精神活性成分THCは活性化のためには調理した場合のように加熱が必要で吸入した場合より食べた方が強力で長持ちする。クッキーなどで食べる場合にはひとつだけにするよう助言されている。そのような製品で少なくとも1人が死亡し10人は入院しているので適切な用量についての教育が必要。
グルテンフリー大麻クラッカーなんてお土産とかにしちゃったら大変なのでは・・)