食品安全情報blog過去記事

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その他

Natureニュース
E-cigarettes: The lingering questions
Daniel Cressey
26 August 2014
http://www.nature.com/news/e-cigarettes-the-lingering-questions-1.15762
データが不完全で科学者は電子タバコのリスクとベネフィットについて分断している
長い記事
(タバコはとにかく吸い始めない)

  • Joe Schwarczの正しい化学:パラベン恐怖症は不当

Joe Schwarcz’s The Right Chemistry: Paraben phobia is unjustified
By Joe Schwarcz, SPECIAL TO THE GAZETTE
August 22, 2014
http://www.montrealgazette.com/health/Schwarcz+Right+Chemistry+Paraben+phobia+unjustified/10133470/story.html
保存料についての人々の不信は2004年のReading大学Philippa Darbre博士の論文に遡る
各種消費者製品が回収されるという話は最近よくあるが、子どもの日焼け止めローションについての話に私は注目した。「グルコノデルタラクトン」が含まれると報道されている。この物質は私の学部生の時のテーマでよく使っていた。何故日焼け止めのリコールに関係するのか?
化粧品は水をベースにしているため細菌やカビが生えやすい。それは美容上の問題だけでなく健康上の問題になる。従って保存料が入っていることは製品の安全性を保証するものとみなされるはずだが、そうはなっていない。保存料は避けるべきイヤなものとみなされている。この不信は乳がんに極微量のパラベンの存在を記述した2004年のPhilippa Darbre博士の論文に遡ることができる。この研究は大々的に報道されたが対照群がないことなどは指摘されなかった。パラベンは広く使用されているので誰からも検出されると考えられる。Darbre博士はパラベンが存在することはそれが腫瘍の原因であることを証明しないとしながらもエストロゲン様活性があると女性に警告した。彼女が言わなかったのはパラベンエストロゲン活性は大豆や亜麻、アルファルファやひよこマメ、そして人体が自然に作り出すエストロゲンよりも何千倍も活性が弱いということである。
世界中の規制機関はDarbre博士の論文を却下したがDarbre博士はパラベンについての論文を発表し続けている。彼女の最新の論文はパラベンに20週間暴露されたヒト乳がん細胞が実験室の培養ゲルの移動が早いというものである。この in vitroの実験の、化粧品に含まれる0.8%のパラベンの局所使用による影響への妥当性をみるのは困難である。
しかしながら化粧品業界は人々の根拠のないイメージによって「天然」物の使用に舵を切った。これまで何度も言ってきたが、化学物質の安全性や有効性は天然か合成かとは関係ない。
グルコノデルタラクトンはグルコン酸にゆっくり分解され、酸性にすることで微生物の増殖を抑制する。マーケティング上、グルコノデルタラクトンはグルコースからAspergillus niger由来の酵素が作るためハチミツや果物にも存在するので「ナチュラル」と表示された。工業的にはグルコースを発酵させて作る。しかし酸性にするだけでは微生物汚染リスクを排除できないので、子ども用日焼け止め製造業者はキムチに使われるスパイスミックスの助けも借りている。キムチの発酵に使われる微生物はLeuconostoc kimchiiで、この細菌は抗菌作用のあるペプチドも作る。このペプチドを含む“Leucidal Liquid”とグルコノデルタラクトンの組み合わせが保存料として働く。しかし日焼け止めのリコールの事例のように、いつでも効果があるわけではない。
パラベンは保存料としてははるかに有効であるが「ナチュラル」とは表示できない。しかしここにも奇妙なことはあって、パラベンの仲間は天然にも存在する。メチルパラベンはブルーベリーや雌犬も作る。しかしそれらを抽出するのは商業的に見合わない。

  • 食に関する儀式:叩いて、叩いて、かき回して、、繰り返し

Food Rituals: Tap, Rap, Stir…Repeat
by Berkeley Wellness | August 25, 2014
http://www.berkeleywellness.com/healthy-mind/mind-body/article/food-rituals-tap-rap-stir…repeat
エクアドルのKichwa人はguayusaの葉から作った飲み物を夜明けに共同体の火の周りで飲み、ウルグアイ人やアルゼンチン人は友人とマテ茶の入ったひょうたんを共有し、日本人は複雑な茶の儀式で有名である。そして世界中の多くの人々がバースデーケーキを食べる前にろうそくの火を吹き消す。このような食の儀式は社会的結びつきを強化し、同時に美味しく感じさせる可能性がある。Psychological Scienceの一連の研究によれば。そしてその儀式は短く単純なものでも良く、自分自身でやっても良い。
Minnesota大学と Harvard大学の研究者らは食べる前に各種の儀式を行うことの影響を調べた。儀式とは「一定の、一時的で一連の、しばしば繰り返しや普通でない行動を含む象徴的活動」と定義した。
最初の実験では、ひとつのグループは指示されたやり方でチョコレートを食べる:「チョコバーの包装を破らずに半分に折る。半分だけ包装をはがして食べる。それからもう半分の包装をはがして食べる」。別のグループは好きなように食べる。儀式を行った群のほうが楽しく美味しかったと報告した。
二つめの実験では参加者はニンジンを食べる前に儀式のような行動(深呼吸して目を閉じ机を拳で叩く)か無作為な動きを行う。ランダムな動きに比べて儀式群は食べることへのより大きな期待と実際に楽しんだと報告した。さらに儀式の後に食べるのを遅らせると喜びが増した。最後の実験では、儀式を行うことのほうが他人の儀式を見るより食べることの喜びが増した。
儀式は次の経験に大きな影響を与える、と研究者らは言う。儀式は関与や喜びを増すことでしばしば人生をより良いものにする。儀式は単純にあなたをより意識的にさせることで、飲食を含む日々の生活の喜びを増す可能性がある。

  • ムギセンノウ騒動、あるいは何故Countryfileがあなたを殺そうとしたわけではないのか

Guardian
The corncockle kerfuffle, or why Countryfile isn’t trying to kill you
Posted by Patrick Barkham Tuesday 26 August 2014
http://www.theguardian.com/lifeandstyle/shortcuts/2014/aug/26/corncockle-countryfile-bbc-packets-seeds-poisonous
BBCがCountryfileで有毒植物を含むワイルドフラワーの種を頒布したことで批判されている。しかし真実はもう少し複雑でそんなに危険ではない
BBC のCountryfileが視聴者に「野生の草花を育てよう」プロジェクトの一環でワイルドフラワーの種を配ったことでTelegraphが非難している。種の中に可愛らしいが有毒なムギセンノウが含まれていたからだ。インターネットを見ればこれは激しい腹痛と嘔吐を引き起こし、死ぬこともあると書いてある。Royal Wootton Bassettでは市民が恐ろしい報告をしたため議会がこれを植えていた公園に慌ててフェンスを張った。しかしこれは騒ぎすぎである。私たちの庭には有毒植物が溢れている、スイセン、月桂樹、アイビー、イチイ、クリスマスローズルピナス、キツネノテブクロ。私たちは何世紀もの間有毒植物に囲まれて生きてきて、有毒植物の中には医薬品として利用されているものもある。ジャガイモのように食べるものですら有毒である。
実際にムギセンノウで死んだ人を見せて欲しい。ムギセンノウには確かに大量に食べれば有毒な化合物が含まれている。そして種子には濃度が高いがとても苦くて硬い。
有毒植物については常識で対応しよう。子どもには庭の木の実や種子を口に入れないように言おう。
(食用でない植物は基本的に食べないように。この記事に引用されている
THE POISON GARDEN website
http://www.thepoisongarden.co.uk/
が面白い
全ての庭はポイズンガーデン。
保護者のための有毒植物ガイド'Poisonous Plants: a guide for parents and childcare providers'という本があるらしい
'Is That Cat Dead? - and other questions about poison plants'というガーデニングの本も
こういうのは地域性があるので日本版も欲しいよねぇ。英国人がエンジェルストランペットをゴボウと間違えて食べるとは思えない)

  • Vandana Shivaとは何者で何故彼女はGMOについて恐ろしいことを言うのか?

Who is Vandana Shiva and why is she saying such awful things about GMOs?
Cami Ryan & Jon Entine | August 20, 2014 | Genetic Literacy Project
http://www.geneticliteracyproject.org/2014/08/20/who-is-vandana-shiva-and-why-is-she-saying-such-awful-things-about-gmos/
インド生まれの環境活動家Vandana Shivaの経歴についての長い記事
GMO反対派の急先鋒でエコ戦争の女神と呼ばれるShivaは1952年インドの富裕層生まれでカナダのGuelph大学で修士、Western Ontario大学でPhDをとっている。自身を量子物理学者と言っているが学位は物理学physicsではなく哲学 philosophyである。300以上の論文を書いたと主張しているがThomson ReuterのWeb of Scienceで検索すると42報しかない。Shivaは緑の革命は失敗したと主張しインドではGMのせいで農家の自殺が増えたと主張しているがどちらも事実は違う。何年もGMO反対活動をしてきて最近転向した英国のジャーナリストMark LynasはShivaを過激派lunatic fringeとしている。LynasのことをShivaは口汚く罵っている。その主張に根拠が無くてもShivaの影響力は大きい。

  • 塩摂取の社会的不平等は残る

Social inequalities in salt consumption remain
26-Aug-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-08/uow-sii082614.php
英国では過去10年に塩の摂取量は減ったが、社会経済的地位の低い人々はより多くの塩を摂っている。BMJ Openに発表
国を代表する19-64才の1027人の男女の英国食事栄養調査(2008-11)のデータを用いた。2000-2001と2008-2011の間に塩の摂取量は1日0.9g減ったが、そのメリットが最も必要な人たちに届いていない。