食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

「うんち錠剤」がC. difficile感染を治療するのに役立つかも
'Poo in a pill' may help treat C. difficile infection
Monday October 13 2014
http://www.nhs.uk/news/2014/10October/Pages/Poo-in-a-pill-may-help-treat-C-difficile-infection.aspx
「冷凍糞便を含むカプセルがC. difficile感染を治するのに役立つかも」とBBCニュースが報道した。この展望は胸が悪くなるような話かもしれないが、だれかの「うんち」を飲むことが命に関わる慢性下痢のような症状を治療するのに役立つかもしれない。この見出しはC. difficileによる抗生物質で治療できない再発する下痢の20人についての研究による。C. difficileは通常無害な腸内細菌であるが抗生物質治療を受けると増殖しすぎて難治性の激しい下痢をおこすことがある。研究チームは患者の4人の健康なヒトの冷凍糞便を含む30個のカプセルを与えた。重大な副作用は見られず20人中14人で8週間のうちに下痢が治った。治らなかった6人中4人は再治療で治癒し合計で20人中18人が下痢しなくなった。自己申告による健康状態スコアも改善した。効果を証明するにはより大規模な試験を行い、安全性についてもしっかり研究する必要がある。この治療法は「自分でやってみてはいけない」類のものである。
(ただ実験動物は普通にうんち食べるので)

  • うんちカプセルが細菌感染を治療する

SCIENCESHOT
Feces-filled capsules treat bacterial infection
By David Shultz 11 October 2014
http://news.sciencemag.org/health/2014/10/feces-filled-capsules-treat-bacterial-infection
Clostridium difficile感染により毎年14000人のアメリカ人が死亡している。この下痢性細菌はしばしば標準的抗生物質に極めて耐性である。科学者がこの細菌と戦うためにヒトの糞を錠剤にしたものを開発した。1950年代から糞便移植が各種感染治療に使われてきたが通常は内視鏡や経鼻チューブでドナーの糞便を患者に入れる。この方法は比較的安全ではあるがリスクはある。今回JAMAに発表された新しい研究では1.6gの合成透明錠剤カプセルに入れた冷凍ヒト糞便がこれまでの移植と同程度に効果があった。チームリーダーのIlan Youngsterは「これはあなたの人生における素晴らしい経験とは言えないだろうが、Clostridium difficile感染やチューブを入れるよりはましだろう」という。
(何で透明カプセルにしたんだというコメントがついているがまあそうかも。これこそが「プロバイオティクス」だよねぇ。)
論文はオープンアクセス
Oral, Capsulized, Frozen Fecal Microbiota Transplantation for Relapsing Clostridium difficile Infection
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=1916296