食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 魚は十分あるか?

Are there enough fish to go around?
14-Oct-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-10/uoy-ate101414.php
Marine Pollution Bulletinに発表されたヨーク大学の研究で、天然の魚資源の減少ともっと魚を食べようという健康的な食生活助言の間のギャップを強調した。
多くの水産養殖業は環境負荷が高く、持続可能な生産方法に革新が必要。
(魚の餌が魚である養殖は持続可能ではない)

  • 新たな配列決定がトマトの遺伝子の歴史を明らかにする

New sequencing reveals genetic history of tomatoes
October 14th, 2014
http://blogs.ucdavis.edu/egghead/2014/10/14/new-sequencing-reveals-genetic-history-of-tomatoes/
北京中国農業科学アカデミーが主導する研究者チームがnature geneticsに360のトマト品種の配列に基づく交配の簡単な遺伝的歴史を発表した。この研究にUS Davisのトマト遺伝資源センターが重要な役割を果たした。
この研究で野生の先祖が100倍も大きいトマトになるために2つの独立した遺伝子セットが関与していることがわかった。またトマトゲノムの特定領域が遺伝的変化の中で意図せず削除されている。
Genomic analyses provide insights into the history of tomato breeding
Tao Lin et al.,
Nature Genetics (2014) doi:10.1038/ng.3117
http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/full/ng.3117.html
(ところで農産物に機能表示だとか言ってる人たちはどこで線をひくつもりなんだろう?まさか小さな緑の苦いトマトと真っ赤で大きいトマトが同じだと言うつもり?)

  • 中国生産物の異物混入事件が社会的信頼を損なう

Social trust eroded in Chinese product-tampering incident
14-Oct-2014
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2014-10/uoic-ste101414.php
イリノイ大学の研究者が中国での人々のリスク認知とその行動に異物混入事件がどう影響するかを調べた。中国ではWuchang rice(高価な香り米)により安価なコメを混ぜて販売することが普通に行われている。西安の225人にインタビューしたところ半分以上が製品の異物混入を知っていたが内容についてはあいまいである。情報源は友人や家族などの口コミである。人々はコメの偽装の安全上のリスクについては理解していないがリスクは高いと認識している。この場合政府、規制、メディアなど社会への信頼は損なわれている。政府が信頼できないのでどんな(怪しい)情報でも頼ってしまう。Wuchang riceは生産量80万トンに対して1000万トンが販売されている。
International Journal of Food Safety, Nutrition and Public Healthに発表
(コメの偽装って日本でも普通にあった。生産量より販売量が多かった。)

  • 規制されていないエネルギードリンクは子どもたちに害を与えている可能性がある、WHOが警告

independent
Poorly regulated energy drinks could be harming children, WHO warns
Tuesday 14 October 2014
http://www.independent.co.uk/life-style/food-and-drink/news/poorly-regulated-energy-drinks-could-be-harming-children-who-warns-9794563.html
カフェインを多く含むエネルギードリンクが子どもや若者に広く消費されていて将来「公衆衛生上の問題となるかもしれない」とWHOの専門家が警告する。
研究者らはこれらの飲料が積極的に、感受性の高い子ども向けにマーケティングされている。酒やタバコとは違って子ども向けの販売規制は行われていない。WHO欧州支部のJoão Breda博士らは、科学コミュニティにはエネルギードリンクの公衆衛生上の有害影響についての懸念がある、という。欧州では成人の1/3、子どもの1/5、青少年の2/3がエネルギードリンクを飲んでいる。さらにエネルギードリンクを飲む18-29才の70%はアルコールと混ぜている。健康上の懸念にも関わらず、エネルギードリンクの販売は増加している。

ヨーロッパにおけるエネルギードリンク消費:リスク、有害健康影響および対応のための政策の選択肢のレビュー
Energy drink consumption in Europe: a review of the risks, adverse health effects, and policy options to respond
João Joaquim Breda et al.,
Front. Public Health, 14 October 2014
http://journal.frontiersin.org/Journal/10.3389/fpubh.2014.00134/abstract