食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

23andMe遺伝子検査の英国上陸についての専門家の反応

UK SMC
expert reaction to UK launch of 23andMe genetic testing service
December 2, 2014
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-uk-launch-of-23andme-genetic-testing-service/
King’s College London臨床遺伝学教授Frances Flinter
英国には素晴らしいNHS臨床実験遺伝学研究所がある。遺伝性の病気を持っている可能性のある、あるいは心配なヒトは医師や病院に相談して地域の遺伝センターに相談できる。適切な助言を行うためには遺伝子検査が必要かどうかを明確にする前に、家族歴や親子の調査あるいは他の血液検査やX線検査を組み合わせる。どの遺伝子を検査すべきかを決めるためにはこれらの予備的な調査が必須である。さらに遺伝性検査の結果については臨床遺伝学者や遺伝子カウンセラーが解釈してさらなる検査が必要かどうか、リスクのある家族への連絡が必要かどうかなどの助言を提供する。このような専門家によるサポートのない遺伝子検査は情報量が少ないか、誤解を招くものにすらなるだろう。
St. George’s病院がん遺伝学名誉教授Shirley Hodgson
この種の検査は非常に誤解を招きやすい。結果はある種の疾患のごく僅かなリスクの変化を示すことがあるがそのような情報を理解している医学の専門家によって詳細に説明されなければ誤解されるであろう。プレスリリースでは結果の解釈について専門家に詳細解析を依頼する人は少ないと言っているが、この数字はもっと大きくなり、NHSの時間がそれらの議論に奪われるであろう。通常遺伝カウンセリングが取り扱っていないある種の疾患のリスクが高くなる遺伝子変異が見つかることもあるだろう、そしてそれは悪い結果になるだろう。ほんの僅かなリスクにしかならない遺伝的変異を過剰に解釈して必要のない、不当な不安の原因になるだろう。
University College London進化遺伝学教授Mark Thomas
良かれ悪しかれ消費者に直接販売される遺伝子検査企業は既にある。いずれにせよ科学者や政府は監視が必要で、今や議論すべきはそのような企業が社会や医学の専門家とどう相互作用するかであろう。
King’s College London遺伝疫学教授Tim Spector
遺伝学の力と限界について英国の人々がもっと知るべきだと思う。検査の結果は変わり続けるので予想は真剣に受け止めすぎるべきではない。
Cambridge大学分子遺伝学Eric Miska教授
ゲノム配列決定ができるようになった。しかし我々のゲノム変異のヒト健康や個性への影響についての理解はまだ未熟だ。社会が遺伝情報をどう扱うかについては議論が必要だ。23andMやその他のサービスは人々にヒトゲノムデータの楽しさ、興奮、そしてリスクをかいま見せる。