食品安全情報blog過去記事

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論文等

  • 中年時の飲酒と43年間のフォローアップでの脳卒中リスク コホートと双子解析

Alcohol Consumption at Midlife and Risk of Stroke During 43 Years of Follow-Up
Cohort and Twin Analyses
Pavla Kadlecová, et al.,
STROKEAHA.114.006724
http://stroke.ahajournals.org/content/early/2015/01/29/STROKEAHA.114.006724.abstract
1986年から1925年に生まれた集団ベースのスウェーデン双子登録で飲酒データのある65才以上の11644人を解析した。全体として29%が脳卒中になった。1日0.5杯以下の軽度飲酒者に比べて2杯以上のヘビードリンカーは脳卒中リスクが高い(ハザード比 1.34; P=0.02)。中年時ヘビードリンカーのベースラインリスクは75才になるまでよく知られたリスク要因である高血圧や糖尿病より高い。一卵性双子の解析からは大量飲酒は脳卒中発症までの時間を5年短くする。

  • 分子ガストロノミー:生物物理によりより良い調理を

Molecular gastronomy: Better cooking through biophysics
9-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/bs-mgb020215.php
ボルチモアで行われている第59回生物物理学会でChristophe Lavelleが分子ガストロノミーについて発表するというプレスリリース
料理は化学反応

  • 過去の米国と英国の脂肪に関する食事助言は「導入すべきではなかった」

Historic US and UK dietary advice on fats 'should not have been introduced'
9-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/bmj-hua020515.php
Open Heartに発表された研究で、1977年と1983年に米国と英国の市民向けに発表された、冠動脈心疾患を減らすため脂肪の摂取量を制限するようにとの助言はしっかりした根拠が無く、「すべきではなかった」と結論した。
どちらの食事ガイドラインでも全体的な脂肪の摂取量を総エネルギー摂取量の30%まで、飽和脂肪については10%まで減らすように勧めているがどちらも根拠は決定的ではない。
食事ガイドラインを裏付ける根拠の解析がなかったので、研究者らは当時米国と英国の規制委員会が入手できたであろうRCTデータの系統的レビューとメタ解析を行った。データベースの包括的検索により2467人が参加した7つの食事介入を含む6つの試験を同定した。いずれも1983年以前に発表されていて、食事中の脂肪と血清コレステロール、冠動脈心疾患の発症をみている。6つのうち5つは飽和脂肪については考慮しておらず1つを除いて一次予防ではなく二次予防である。プールされたデータでは全原因による死亡は740で冠動脈心疾患は423であった。「処置」と対照に全原因による死亡の差はなく、冠動脈心疾患による死亡でも差はなかった。「処置」群で血清コレステロールの低下が観察されたがこれが死亡率には全く影響していない。当時のエビデンスには女性が含まれていない、食事ガイドラインについて調べたものではないなどの欠点がある。
さらに現在のメタ解析の結果でも冠動脈心疾患やそれによる死亡を減らすための食事中脂肪についての助言は支持されない。
食事助言にはレビューが必要なだけではない、されるべきではなかった、と著者は言う。
しかし関連するエディトリアルではRoyal Berkshire NHS Foundation Trust のRahul Bahlは注記している。「最も最新のエビデンスレビューでも現在の食事ガイドラインの根拠となるエビデンスは「極めて限定的」であると結論されている。しかしこのことは同定されているリスク要因が真のリスク要因ではないことを意味しない。食事の脂肪と心疾患については疫学研究や地域相関研究が関連を示唆している。さらに公衆衛生政策には一般的にRCTは必要とされない。心血管系疾患の主な食事原因として飽和脂肪を過剰に悪役にして炭水化物のような他の栄養素によるリスクへの注意を怠ってきたことは確かであろう。ただ悪役を別の悪役にしたところで解決策にはならないだろう、と彼は強調する。
(食事に関しては根拠の強さの程度に比べて主張が強すぎることが多い。〜しないと病気になる、といった脅迫型のメッセージは特に)

  • エネルギードリンクは生徒の多動を相当増やす

Energy drinks significantly increase hyperactivity in schoolchildren
9-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/yu-eds020515.php
Academic Pediatricsに発表されたYale School of Public Healthの研究によると砂糖入りエネルギードリンクを飲む中学生はそうでない中学生に比べて多動や不注意が66%多い。

  • ストレスを与えられた若いミツバチがコロニー崩壊の原因である可能性

'Stressed' young bees could be the cause of colony collapse
9-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/qmuo-yb020615.php
あまりにも早く成長を求められることが世界中で見られるミツバチの破壊的減少を説明する主要因子である可能性。PNAS。
コロニー崩壊疾患(CCD)が世界中で脅威となり科学者や農家が少なくとも10年は主要課題としてきたが決定的な原因はまだわかっていない。ミツバチは通常2-3週齢になってから採集を始めるがコロニーが餌不足だったり病気だったり他の原因で大きいミツバチがいなかったりすると若いミツバチが餌を探しに行く。Queen Mary University of London (QMUL)の研究者たちが数千匹のミツバチの生涯を追跡したところ若いミツバチは採集に失敗することが多く最初のフライトで死にやすい。若いミツバチが採集に行くことはCCDのような、コロニーの劇的減少につながる。
(CCDはミツバチの過酷労働問題説。ネオニコ反対活動をしている養蜂家がミツバチを酷使して他人のせいにしているブラック経営者に見えるという・・。)