食品安全情報blog過去記事

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論文等

All cause mortality and the case for age specific alcohol consumption guidelines: pooled analyses of up to 10 population based cohorts
Craig S Knott et al.,
BMJ 2015;350:h384
http://www.bmj.com/content/350/bmj.h384
1998-2008イングランド健康調査のデータを用いて、異なる年齢集団での飲酒と死亡率の関連を探り飲酒の年齢別限度の適切性を検討した。結論として低用量飲酒が死因と良い関連が見られる理由の一部は対照群の選定が不適切であることと交絡要因の補正が不十分であることによる。全く飲まない人に比べて飲酒と死因に良い関連が見られるのは65才以上の女性のみで他の年齢や性では全く保護作用が見られない。

Mesothelioma in southern Nevada likely result of asbestos in environment
10-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/iaft-mis021015.php
Journal of Thoracic Oncologyに発表されたデータによるとネバダ州南部のClark やNye郡の55才未満の人や女性の悪性中皮腫は予想より多く、発がん性鉱物繊維の発見された地域と同様である。

  • スーパーマーケットの販促は健康的な食品より健康的でない食品の販売を増やす

Supermarket promotions boost sales of less healthy foods more than healthier foods
11-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/uoc-spb020915.php
約27000家庭の購入した全食品飲料記録を調べ11000以上の食品に栄養プロファイリングによる健康スコアをつけて解析したAmerican Journal of Clinical Nutritionに発表された研究によると、英国スーパーの値引き販促は健康的でないものを多く薦めているわけではないが、セールの時の売り上げの増加は健康的でないもののほうが大きい。健康的でない食品のほうが保存が利く場合が多く、備蓄されやすいため。また社会経済的地位の高い家庭の方が貧しい家庭より値引きに反応する。これは保管場所と使えるお金の多さによると考えられる。

  • BMJの調査は公衆衛生科学者と砂糖企業の関係を明らかにする

BMJ investigation reveals network of links between public health scientists and sugar industry
11-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/bmj-bir020915.php
栄養助言に関する政府の委員会に参加している公衆衛生科学者が、肥満に責任があると考えられる製品を作っている企業の資金提供を受けていることをBMJが明らかにした。
英国の栄養に関する科学助言委員会Scientific Advisory Committee on Nutrition (SACN)、医学研究評議会のヒト栄養研究ユニット(HNR)などに参加している科学者がCoca-Cola(飲料会社)、 Mars(チョコレート会社)、 Nestlé(世界最大の食品会社)、Sainsbury's(小売業)、 the Institute of Brewing and Distilling(醸造企業協会), Weight Watchers International(減量法を売っている)などからの研究資金を提供されている。
(販売もダイエット法も含めて食品関係全部ダメって言ったら何が残るんだろう?農産物のほうがもっと露骨に販売促進のための研究費出しているけど。)

  • The Lancet Diabetes & Endocrinology:専門家が現在の肥満治療の価値について疑問

The Lancet Diabetes & Endocrinology: Experts question value of current obesity treatments
11-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/tl-tld021015.php
現在の肥満治療の真言は「食べる量を減らして運動量を増やす」であるがこれが十分ではないと肥満専門家が言う。彼らは肥満は食事と運動だけでは治療できない生物学的原因のある慢性疾患だと主張する。肥満の人は数ヶ月減量することはできるが80-95%が再び体重が増える。現代の、運動しない、食品の宣伝されている環境では多くの肥満の人が肥満に適応した生物学的調節機構をに抗えない。過体重の人はライフスタイル変更が可能だが慢性肥満の人には無理なように見える。
(食欲抑制装置埋め込みのような方法が必要と。しかしそこまで太っている人は日本ではあまりいないのは何故だと思っているんだろう)

  • 「飲む量を減らそう」キャンペーンはなぜとどうやってに集中すべき

'Drink less' campaigns should focus on why and how
11-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/uos-lc021115.php
British Journal of Health Psychologyに発表されたSussex大学のDominic Conroy博士らの研究によると、若い人の飲酒量を減らすためのキャンペーンは、飲み過ぎによる危険性を警告するより、酒を減らすことのメリットを強調し、どうすれば減らせるかを伝えた方がいい。

  • がんについての間違った警報が人々に将来の症状をチェックすることをやめさせる可能性がある

A cancer false alarm could discourage people from checking out future symptoms
11-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/cru-acf021115.php
Cancer Research UKの科学者らがBMJ Openに発表した研究によると、がんかもしれないという症状で医師に相談した患者の80%以上は診察後問題ないとされるが、その後またがん疑いの症状が出たときに、先の判断に過剰に安心してしまって、あるいあまり親切にしてくれなかったという経験から、相談を遅らせる可能性があることが示唆された。患者には、次も相談を躊躇わないよう確認することも含めて、適切でバランスの取れた情報提供が必要。