食品安全情報blog過去記事

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論文

  • より多くの女性がリスクを理解しないまま調合ホルモンを使用している

More women now using compounded hormones without understanding the risks
19-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/tnam-mwn021715.php
Menopauseにオンライン発表された二つの大規模調査の解析によると閉経期にホルモンを使用している女性の28-68%はいわゆる「生物学的に同等な」調剤ホルモンを使用しているが、それら未承認未検査治療法のリスクを理解していない。
FDAが認可している医薬品と違って、調合ホルモンには系統的調査はない。そこで中高年女性の大規模インターネット調査を用いて解析を行った。毎年5700万から7500万の閉経期用ホルモン療法が処方されていると計算されるがそのうちFDAが認可したホルモン療法は3600万で残りの2800万から3900万が調剤ホルモンであると推定される。しかし女性たちは何が処方されているのかわかっていないようだ。ある調査では「特定の薬局で調合される生物学的に同等なホルモン療法はFDAに認可されているか?」と尋ねたところ、正解であるノーと答えたのはたった14%であった。
2000年にWomen's Health Initiative研究での有害事象報告がニュースになってからホルモン補充療法の使用は減少し、その結果女性たちは「ナチュラル」や「生物学的同等」と宣伝されている調合ホルモンを使用するようになったようだ。そちらのほうが安全だと思っているが多くはFDAの認可したものと同じである。
アメリカの特有の調剤薬局システムの問題がある。日本の場合「漢方薬局」みたいなところで医師ではない人によって「処方」される「薬」と似ている。ただそういうところでは医薬品そのものを使うことはそれほど多くはないだろうが米国の調剤薬局ではそれが可能。)

  • 子どもの入学を遅らせることが成績の悪さに関連する

Delaying children's school entry linked to poor academic performance
19-Feb-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-02/uow-dcs021915.php
未熟児で生まれたり早生まれの子どもの親は、十分大きくなってからのほうが良いと考えて入学を1年遅らせたがる。しかしJournal of Developmental Medicine and Child Neurologyに発表された論文によると1年遅らせることは成績が良くなることはなく逆に悪くなることと関連した。

  • 日陰でも皮膚がんになり得る

Science ニュース
You can still get skin cancer in the shade
By Sarah C. P. Williams 19 February 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/02/you-can-still-get-skin-cancer-shade
Yale 大学の放射線研究者Douglas Brashは紫外線による皮膚細胞のDNA変化を時間を追って調べていたところ、紫外線照射を中止しても3時間以上DNAの変異が継続することを発見した。そしてマウスとヒトの皮膚細胞で、これがメラニンに依存することを示した。メラニンはUVのエネルギーを吸収しDNA傷害を抑制するが、メラニン励起状態になって何時間も後に細胞が暗いところにあっても、励起状態メラニンから放出されたエネルギーがDNAを傷つけ続ける。Scienceにオンライン発表。このことは励起状態メラニンのエネルギー転移を緩和する介入が可能であることも示唆する。

  • 染髪料が犯罪者追跡に使える

Science Shot
Hair dye could be used to track down criminals
By David Shultz 19 February 2015
http://news.sciencemag.org/chemistry/2015/02/hair-dye-could-be-used-track-down-criminals
犯罪現場に残された髪の毛からヘアカラーによる容疑者特定の可能性がAnalytical Chemistryに発表された。表面増強ラマン分光法により正確に染髪料のブランドを同定する。非破壊検査なのでその毛髪はさらにDNA検査にも使える。