食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

食事摂取基準:ビタミンAの助言を発表

Dietary reference values: Vitamin A advice published
5 March 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/150305.htm
EFSAは栄養摂取に関する科学的助言のレビューの一部としてビタミンAの集団別参照摂取量を設定した。ビタミンE、リン、ビタミンB12の原案は近くパブリックコメント募集開始予定である。

食品・栄養・アレルギーに関するパネル(NDA)はビタミンAの一日当たりの集団別参照摂取量(PRIs)を設定した。
・男性に750 μg、女性に650 μg
・乳幼児と子供に250 -750 μg
・妊婦に700 μg、これは胎児と母体組織の成長のための必要性を考慮に入れて成人のPRIよりも高い。

EFSAの包括的食品摂取データベースと栄養成分データベースのデータ分析は、EUにおける平均的なビタミンA摂取は1-3歳の子供は409–651 μg/日;3-10歳の子供は607–889 μg/日;青年(10 -18歳)は597–1,078 μg/日;成人は816–1,498 μg/日だと示している。
ビタミンAは健常視力維持と体組織の細胞の成長と完全性に重要である。欠乏によるもっとも明確な影響は、一般的に幼い子供たちにみられる眼疾患である、眼球乾燥症である。ビタミンA欠乏は、低所得国では、呼吸器感染症、下痢、死亡率上昇とも関連している。
ビタミンAは動物由来食品の既成ビタミンA(主にレチノールとレチニルエステル)、あるいは植物由来食品のプロビタミンAカロテノイドとして食事から得られる脂溶性ビタミンである。ビタミンAを豊富に含む食品は、肉、バター、レチノール増量マーガリン、乳製品、卵、そしてジャガイモ、ニンジン、カボチャ、濃緑色葉野菜、赤パプリカ、マンゴー、メロンなどの野菜と果物である。
ビタミンE、リン、ビタミンB12の食事摂取基準に関するパブリックコメント募集は3月9-10日に開始予定である。詳細はこちらで入手可能。
http://www.efsa.europa.eu/en/calls/consultations.htm

  • ビタミンAの食事摂取基準に関する科学的意見

Scientific Opinion on Dietary Reference Values for vitamin A
EFSA Journal 2015;13(3):4028  05 March 2015
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4028.htm
欧州委員会の要請を受けて、食品・栄養・アレルギーに関するパネルはビタミンAの食事摂取基準を導出した。ビタミンAの平均必要量(AR)の設定目安として肝臓1gにつきレチノール 20 µg の濃度を用いた。ビタミンAと肝臓の貯蔵との関係はまだよくわかっていないため、要因アプローチを用いた。このアプローチでは、全身/肝臓のレチノール貯蔵比1.25、体重あたりの肝臓の重量比2.4 %、一日当たりの体内レチノールの分解速度係数0.7%とした。男性には570 µgレチノール当量(RE)/日、女性には490 µg RE/日のARsが導出された。変動係数(CV) を15 %として、男性には750 µg RE/日、女性には650 µg RE/日の集団別参照摂取量(PRIs)が設定された。7–11か月の乳児と子供には、成人と同じ式を用いて体重と肝臓/体重比に子どもの値を適用した。ARは7–11か月の乳児の190 µg RE/日から15–17歳の少年の580 µg RE/日の範囲とする。乳児と子供のPRIsはCV15%を用いて推定し、250から750µg RE/日の範囲とする。妊婦と授乳中の人には、胎児と母体組織のレチノール蓄積やレチノールの母乳への移行に関連しより多くのビタミンAが必要だとし、それぞれ700と1300µg RE/日のPRIsが設定された。