食品安全情報blog過去記事

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アスパルテームの研究知見発表

Aspartame study findings published
19 March 2015
http://www.food.gov.uk/news-updates/news/2015/13719/aspartame-study-findings-published
FSAは本日Hull York医科大学により行われたアスパルテームを食べて症状が出ると申告している人々とそうでない人々での反応を比較した研究の知見を発表した。この研究はピアレビューのあるオープンアクセス雑誌PLOS ONEに発表された。
この研究ではアスパルテーム過敏症だと自己申告している人々がアスパルテームを含む/含まないシリアルバーを食べた後の反応に差はないと結論した。この研究では心理学的検査、臨床観察、臨床生化学、メタボロミクス(代謝の過程で生じる小分子の科学的研究)を含む各種要因を調べている。
この論文はCOTが2013年12月にレビューし、「この結果は公衆衛生保護のためになんらかの対応が必要であることを示さない」と結論している。
FSAの主任科学アドバイザーGuy Poppyは「最良の科学的根拠はアスパルテームが安全に食べられることを示しているものの、多くの人がアスパルテームを含む食品や飲料を摂取すると有害反応が生じると報告している。この説話的根拠のために、報告されている影響をさらに調べることが適切であった。アスパルテームは既に認可された添加物であるためHull/York研究はアスパルテームの全体的安全性を評価するためのデザインではない」という。
この研究ではアスパルテームを食べると反応すると報告する人々と問題なく食べるという同等の対象者とをリクルートした。この種の研究は研究チームも参加者も食べているバーが試験対象の物質を含むかどうかわからないようにデザインされている。二重盲検試験では、結果を歪める参加者の予断を排除する。
2013年12月にEFSAは全ての入手可能な科学研究をレビューして完全リスク評価を行ってアスパルテームについての意見を発表した。EFSAの意見は「アスパルテームとその分解産物は現在の暴露量ではヒトが摂取して安全である」と結論した。
FSAはこの研究の結果をEFSAと共有する。

  • 報告書

The effect of aspartame on self-reported aspartame sensitive individuals compared to controls – a double-blind randomised placebo-controlled study
http://www.food.gov.uk/sites/default/files/aspartame-final-report.pdf
アスパルテーム過敏症だと自己申告するヒト48人が参加。アスパルテームを含む/含まない二種類のシリアルバーを別々に、最低1週間は間隔をあけて食べて検査をしている。
アスパルテーム過敏症自己申告者(SRAS)と対照群はベースラインレベルで若干心理学的・代謝的特徴が違う。SRASはややストレスが多く、自分の感じることを考えたり報告したりすることが困難である。参加者は頭痛・気分の変化・熱い感じ・吐き気・疲労・めまい・鼻づまり・視覚の問題・チクチクする感じ・お腹が膨れる感じ・空腹・喉の渇き・幸福感・興奮について0-100で4時間に渡って10回ランキングした。研究者がいると影響されるのでいないところで評価し封筒に入れて封をした。
SRASはどちらのバーでもより多くの症状を報告した。さらにどちらのバーであっても最初の場合に高いランキングをした。
生化学応答にアスパルテームの有無で差はなかった。
SRASのベースラインパラメーターは
平均年齢50.53 ± 16.24、BMI 30.14 ± 5.71
参加者募集で関心をもったのは268人のSRASだったがインフォームドコンセントが得られたのはたった53人(21男性, 32女性)で、拒否の主な理由はアスパルテームを食べることへの恐怖であった。49人の対照を選択し、途中で参加中止したヒトがいたため試験を完了したのは両群48人になった。
さらに25人(女性20人男性5人)のSRASと対照でノセボ効果の調査を行った。
ディスカッションのところで、この研究についてはメディアで広範に取り上げられたにもかかわらず、SRASのヒトを50人募集するのに2.5年もかかった、とある
結論としてはアスパルテームによる影響は観察できなかった。明確だったのはSRASのヒトは何を食べても症状を多く報告する、ということ。

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20131205#p5の件
食品添加物が〜とこだわるヒトは他のことにもこだわる印象はある。ただ日本だと痩せているヒトをイメージしてしまうがさすが英国、BMI 30なのね。アスパルテーム以前に食生活を見直したほうがいいって言うときっと怒られるんだろう)