食品安全情報blog過去記事

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論文

A Case of Iced-Tea Nephropathy
N Engl J Med 2015; 372:1377-1378April 2, 2015
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc1414481
アーカンソー州の病院からの報告。
56才の男性が2014年5月に衰弱、疲労や痛み、血清クレアチニン濃度の上昇(400 μmol per liter)などで来院。過去の記録から2013年10月は110 μmol、2014年2月は220 μmol。尿の沈渣に大量のシュウ酸カルシウム結晶がある。腎臓結石の既往症はなく腎疾患家族歴もない。8オンス(226ccくらい)のコップで16杯のアイスティーを毎日飲んでいた。腎不全は悪化し透析が必要になった。
腎臓の生検では多数のシュウ酸結晶があり好酸球を伴う炎症がみられた。
シュウ酸の多い食品によるシュウ酸腎症はスターフルーツルバーブ、ピーナッツで報告がある。他の要因としては胃のバイパス手術、ビタミンCの過剰摂取、エチレングリコール中毒などがあるがこの患者にはあてはまらない。
紅茶16杯からのシュウ酸摂取量は1500 mg以上になり平均的アメリカ人の摂取量152-511mgや、栄養糖尿病学会の推奨量40-50 mg以下より多い
(何故そんなに飲んでいたのかが不明なのだが、日本紅茶協会ががん予防だの放射線被曝対策だの書いててげんなりするttp://www.tea-a.gr.jp/health/。言われている、報告がある、だけで主張するなら紅茶を飲むと透析になるって書かないといけないでしょ。)

  • 自宅での漂白剤への受動暴露と子どもの感染率の高さに関連

Passive exposure to bleach at home linked to higher childhood infection rate
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/b-pet040115.php
Occupational & Environmental Medicineにオンライン発表された研究。オランダ、フィンランド、スペインの6-12才の9000人以上の子どもについて、保護者に子どもの過去12ヶ月の感染症と自宅で掃除のために漂白剤を週に最低1回使うかどうかを尋ねた。スペインでは漂白剤の使用は72%とよくあるがフィンランドでは7%と少ない。受動喫煙などの要因を調整後、親が定期的に漂白剤を使うことと子どもの感染症の多さに関連があった。
観察研究であるため決定的な結論は出せないが著者は「私達の家に微生物がいてはいけないという宣伝広告により植え付けられた間違った信念により、家庭で殺菌消毒製品を頻繁に使うことが影響しているかもしれない」と加えている。
(除菌とか抗菌とか、効果はないのに害はあるものがたくさん売られている)

  • 世界的に心血管系疾患による死亡は増えているが死亡率は減少している

Deaths from cardiovascular disease increase globally while mortality rates decrease
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/ifhm-dfc040115.php
NEJM。188ヶ国のデータを解析した結果、1990年から2013年の間に心血管系疾患による死亡は1230万人から1730万人に41%増加しているが、同時期に特定年齢集団の死亡率は39%減少している。

High-fat dairy products linked to reduced type 2 diabetes risk
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/lu-hdp040215.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表された、1990年代初期のMalmö食事とがん研究の参加者の45-74才の27000人の食習慣を研究した。20年経って2860人が2型糖尿病になった。脂肪の多い乳製品を多く食べることはも最も少ない場合より23%リスクが低かったが肉を多く食べることは脂肪含量と関係なく2型糖尿病リスクの増加と関連した。
低脂肪乳製品に砂糖入りのが多いから?あるいは脂肪悪玉論流行に乗って低脂肪を選ぶような人は他の食品からも糖を多く摂っている可能性があるからでは?)

Eating eggs reduces risk of type 2 diabetes
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/uoef-eer040215.php
American Journal of Clinical Nutritionに発表されたEastern Finland大学の研究。Kuopio虚血性心疾患リスク要因研究(KIHD)の2332人の42-60才の男性を19.3年フォローした研究。432人が2型糖尿病と診断されている。週に4つ卵を食べる群は週に1つしか食べない群より37%2型糖尿病リスクが低かった。
(プレスリリースのタイトルは言い過ぎ。フィンランドって卵あんまり食べないんだ)

  • アルコール研究が驚くべき結果を導き出した

Alcohol study yields surprising results
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/uob-asy040215.php
European Psychiatryに発表されたBonn大学病院と英国の研究者が共同でイングランドマンチェスターにある各種総合病院のデータを用いて調べた研究で、総合病院のアルコール依存性患者はアルコール依存でない患者の何倍も死亡率が高く平均約7.6年早く死亡する。
(別に驚かないけどなぁ)

  • 胎盤は妊娠女性と胎児のヒ素暴露を反映する、Dartmouthの研究が示した

Placenta reflects arsenic exposure in pregnant women and fetuses, Dartmouth study shows
2-Apr-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-04/dc-pra040215.php
Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiologyに発表された飲料水のヒ素濃度と母親と胎児の関連についての研究。652人の女性の胎盤中総ヒ素濃度を測定し、妊娠中の尿中濃度と出産後の母親と子どもの爪のヒ素濃度と比較した。また胎盤ヒ素濃度が井戸水やコメの摂取によるヒ素暴露と関連するかどうかも検討した、母親から子どもへのヒ素の移行について計算した。結果は胎盤ヒ素濃度は母親尿中濃度や爪、飲料水などと正の関連があった。