食品安全情報blog過去記事

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消費者製品からの化学放出物の安全性閾値に関するEU作業専用ホームページ

A website dedicated to EU work on safety threshold values for chemical emissions from consumer goods
01/04/2015
https://www.anses.fr/en/content/website-european-studies-safety-threshold-values-chemical-emissions-consumer-goods
建築材料、家具、装飾製品は時には有害な化学物質を出す可能性があるので室内汚染源になることがある。フランスを含む欧州数カ国は、これらの消費者製品の一部の揮発性有機化合物(VOCs)排出を制限するために手順書と最小影響濃度(LCIs)を作成した。LCI値の目的は消費者製品から出される化学物質の長期暴露による健康影響の発現を防ぐことである。他の欧州組織や関係者と協力し、ANSESはこれらの手順書とLCIsを欧州でハーモナイズする取組みに参加した。このEUレベルの作業は2011年に始まり、現在では専用ホームページwww.eu-lci.orgの作成により広く入手可能になっている。
建築材料・室内装飾製品・家具は、有害な揮発性や半揮発性物質を放出する可能性があるため、通常、室内環境汚染源となる可能性がある。この状況に直面し、その汚染源からの汚染物質放出を削減するために、フランスを含む欧州各国は建築と装飾製品の各種認定手続きを提案した。この手続きで「低VOC」の建築材料と装飾製品を見極め、消費者に奨励できるようになった。フランスではANSESの行った専門評価作業に基づき、規制により表示条件を規定した。
EUレベルで、共同研究センター(JRC)が建築と装飾材料から放出される揮発性有機化合物(VOCs)の制限手順の調和を提案した。欧州各機関から成る準備グループによるこれらの調和のための提案が欧州協力行動報告書(No. 27 in 2012)に発表された。
これに関連して最近、「最小影響濃度」の概念の調整に関し、2011年から開始したEU作業を促進し広めるホームページを開設した。ANSESは他の欧州機関や関係者(AgBB[1], UBA[2], VITO[3], etc)と共にこの作業を協力して行っている。最小影響濃度(LCI)は建築と装飾材料を含む消費者製品からのVOC放出の長期暴露による健康影響の発現を防ぐために設定された限度量である。LCIは成分ごとに設定されている。
設定したLCIs全てが含まれるホームページは、請負会社とプロジェクトマネージャーが材料を選ぶのに役立つのはもちろん、市販されている消費者製品と、建築と装飾材料関係者全ての人のためのものである。消費者にも役立つ。
ANSESの評価
2004年、ANSESは建築材料が放出する揮発性有機化合物のリスク評価手法を提案するよう健康環境省に求められた。この報告書でANSESは、建築材料と装飾製品からの揮発性有機化合物(VOC)放出の定量評価手法を提案した。2013年9月1日から、フランスで販売されている建築と装飾製品の表示が義務化されている。
だが、フランスで市販されている家具材料は現在この表示義務の対象となっていない。そのためANSESは現在、これらの製品から放出される物質の表示について省庁を支援するための専門評価を行っている。この評価は既に行われた建築と装飾材料の研究の延長であり、家具材料に適用可能な規制設定に使われるだろう。結果は2015年の夏前に発表されるだろう。
[1] Ausschuss zur gesundheitlichen Bewertung von Bauprodukten(建築製品の健康関連評価のためのドイツ委員会)
[2] Umweltbundesamt(ドイツ連邦環境局)
[3] Vlaamse Instelling voor Technologisch Onderzoek(フランダース技術研究所)
追加情報
・欧州最小影響濃度専用ホームページ
http://www.eu-lci.org/EU-LCI_Website/Home.html
有機化合物に関する詳細記述
https://www.anses.fr/en/content/indoor-air-pollution-volatile-organic-compounds-vocs