食品安全情報blog過去記事

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害虫に警告を発するGM小麦は野外試験に失敗

Natureニュース
GM wheat that emits pest alarm signals fails in field trials
Daniel Cressey  25 June 2015
http://www.nature.com/news/gm-wheat-that-emits-pest-alarm-signals-fails-in-field-trials-1.17854
昆虫フェロモンを放出するようにした小麦はアブラムシを撃退しなかった
昆虫の警告フェロモンを出す先駆的なGM小麦は野外では効果がなかった、とがっかりした研究者は言う。ロンドンのRothamsted 研究所の研究者は実験室での期待できる結果が野外でも実現し殺虫剤の使用を減らせるようになることを望んでいた。しかし野外では意味のある差はなかった。まったく残念である。
この野外試験は2012年に始まったものだが、反GM活動家が脅迫したり抗議して有名になった。抗議により研究は妨げられなかったが警備のための費用が約280万ドル余分にかかった。Scientific Reportsに発表された論文で、野外試験ではアブラムシの量が少なく、商用だったら殺虫剤は必要ないほどだったが、それでも対照と比較して収量もアブラムシもアブラムシを食べる虫の攻撃にも何の差もなかった。

  • エディトリアル

失敗の中の成功
Success in failure
25 June 2015
http://www.nature.com/news/success-in-failure-1.17855
遺伝子組換え小麦の失敗した試験は、増加する地球の人口に持続可能な食糧を供給しようと戦う人たちに、重要な教訓を提供する
科学において失敗が賞賛されることは希である。歴史は勝者によって書かれるとしばしば言われるが、研究の歴史もそうである。
しかし科学にとって失敗は重要である。歴史に関するもう一つの格言が科学にもあてはまる−失敗を無視するものは失敗を繰り返す。
2012年にRothamsted 研究所の研究者はアブラムシが使う攻撃されていると警告する化合物を放出するように遺伝子を組換えた小麦を植えた。彼らはこの化合物がアブラムシの存在を確信させた昆虫を惹きつけると考えた。しかしこの作物が最初に惹きつけたのはGM反対者の群れであった。GM技術に反対する人たちが想像力に富んだ、しばしば奇妙な、科学的に怪しい主張で、パンから牛の頭が生えている漫画を掲げ、この試験に反対した。試験そのものの費用は732000ポンドだったが、脅迫者から守るための費用が約180万ポンドになった。
実験室では期待できる結果だったが野外では失敗し、Scientific Reportsに発表された。
しかしネガティブな結果ではあったがまだこの試験から学ぶことができる。次は警告フェロモンの放出方法を変えたり害虫の多い地域で試験したりできる。
このニュースはNatureやその他のジャーナリストには期日まで公表しない条件で知らされていたがGM反対者には論文公開後しか提供されなかった。今彼らは知ったのでどう反応するのか考えるだろう。作物は失敗だったがGM反対派も失敗した。研究は行われ有用な結果が得られた。皮肉なことに、もし試験の妨害に成功していたら、彼らは作物の失敗を大喜びで騒ぐことができなかっただろう。GM研究は世界中で続き、あるものは失敗しあるものは成功するだろう。そして根拠に基づいた政策を行いたいと思っている人たちは、科学を行うことと、科学を破棄したいと思う人たちにより引き起こされる追加の困難の両方に苦しみながら苦闘を続ける人たちに感謝すべきだろう。我々全てが彼らの努力の果実−と穀物−を必要としている。

  • Scienceでも

Controversial trial of genetically modified wheat ends in disappointment
By Erik Stokstad 25 June 2015
http://news.sciencemag.org/biology/2015/06/controversial-trial-genetically-modified-wheat-ends-disappointment

  • 破壊者に脅迫されてきたGM野外試験が結果を発表した

Senseaboutscience
GM field trial threatened by vandals publishes results –
25 June 2015
http://www.senseaboutscience.org/news.php/446/gm-field-trial-threatened-by-vandals-publishes-results
新しい研究結果について科学者があなたの質問に答える
2012年5月にRothamsted研究所の研究者らはGM小麦の野外試験を破壊しようとするグループに脅迫された。その時に科学者は破壊ではなく議論を求めるアピールをして、6000人以上が研究者を支持した。その支援もあって結果が本日発表された。植物の改変には成功したが野外での試験ではアブラムシを防止しなかった。
この研究に参加したHuw Jones教授がこの研究の知見や次のステップについての質問に答える。聞きたいことがあったらメールまたはFacebookTwitterで。