食品安全情報blog過去記事

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論文

  • WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization
Volume 93, Number 8, August 2015, 513-588
http://www.who.int/bulletin/volumes/93/8/en/
エディトリアルが「ブータンに学ぶ国民総幸福度と健康」で豪州の著者による好意的紹介。(スピリチュアルな幸福感があれば物質的豊かさを疎かにしてもいいと政治が考えることの危険性についてもう少し警戒したほうがいいのに。)
Estimating the burden of foodborne diseases in Japan
http://www.who.int/bulletin/volumes/93/8/14-148056/en/
熊谷さん
Estimates of annual incidence were approximately 92.5, 31.7 and 80.7 cases per 100 000 population for gastroenteritis caused by foodborne Campylobacter, Salmonella and EHEC, respectively
(食中毒被害の大きさの推定は難しいし外国との比較もなかなかできない。公式報告が過小であることだけは間違いないけれど)

High-dose vitamin D supplementation not associated with benefits for postmenopausal women
3-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/tjnj-hvd073015.php
JAMA Internal Medicineに発表されたRCTの結果によると、閉経後女性の高用量ビタミンDサプリメントは骨ミネラル密度、筋肉の機能、筋量、転倒への利益とは関連がない。
ビタミンD濃度が低いと骨粗鬆症に寄与するが至適ビタミンD濃度についての合意がない。この研究では1日800 IU(低用量)と月二回50,000 IU(高用量)のビタミンD3とプラセボを比較した。

  • 週にほんの少しの運動でも60過ぎには大きな効果がある

Even a little weekly physical activity goes a long way for over 60s
3-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/b-eal073115.php
推奨より少ない量でも死亡リスクの減少は明確
British Journal of Sports Medicineにオンライン発表された根拠の解析によると、60才以上では、週に500MET分以下の運動でも全く運動しない人に比べると22%死亡リスクが低いことと関連する。週に250MET分、1日15分の運動でも健康にメリットがあり、運動しない人にとっては最初の15分が最も影響が大きいように見える。

  • 体重の増減を繰り返すダイエットはがんリスクの増加とは関連しない

Yo-yo dieting not associated with increased cancer risk
3-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/acs-ydn080315.php
American Journal of Epidemiologyにオンライン発表されたこの種のものとしては最初の包括的研究で、何度も意図的に体重の増減を繰り返すことは男女の全体的がんリスクとは関連がない。1992/3年に始まった132000人の男女が参加するがん予防研究II栄養コホートの体重の増減とがんいついて検討した。17年間でがんの発症は25000以上。
体重の増減は意図的に10ポンド以上(4.54kg)減量して元に戻ったのを一回と計算して20回以上のサイクルと全く変わらない場合でがんリスクに差はない。

  • ワクチン懐疑派をいかに説得するか−そしていかに説得できないのか

How to convince vaccine skeptics -- and how not to
3-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/uoc--htc080315.php
子どもに予防接種を受けさせることに疑いを抱いている多くの人々は、予防接種を受けるように説得することができる−ただしある特定の方法で議論が提示された場合にのみ。UCLAイリノイ大学Urbana-Champaignの心理学者チームがPNASに発表。
何が気持ちを変えないのか?両親にワクチンへの恐怖について語ることは情報にならず間違う。何が変えるのか?はしかが恐ろしい病気であり予防接種で子どもを守れることを思い出させる。315人の米国成人を対象にした研究。
(恐怖心に「寄り添う」のは間違いでより広範なリスク比較が大事っていうのはわかってる。その上でリスク比較を否定し共感と寄り添いを主張するのが「扇動家」。)

  • 40-65才のオーストラリア人女性の閉経期症状のための補完代替医薬品の使用

Use of complementary and alternative medicines for menopausal symptoms in Australian women aged 40–65 years
Pragya Gartoulla et al.,
Med J Aust 2015; 203 (3): 146.
https://www.mja.com.au/journal/2015/203/3/use-complementary-and-alternative-medicines-menopausal-symptoms-australian-women
5850人の女性に接触して参加に同意を得たのは2911人、英語のアンケートに回答したのは2020人。閉経後の女性が54.90%、オーストラリア生まれは80.43%。閉経期の血管運動症状へのCAMの使用は13.22%。最も多いのは植物エストロゲン(6.29%)、次いで月見草オイル(3.91%)、ニンジン(1.73%)。他の症状へのCAMの使用は32.23%で、閉経後、高齢であることが関連要因。
豪州女性はVMSに効果がないことがわかっているCAMを使用している。特に高齢女性の魚油やグルコサミンなどのサプリメントの使用にはもっと賢明である必要がある

代替閉経期医薬品は女性をリスクに晒す
Alternative menopause meds putting women at risk
Sherele Moody | 3rd Aug 2015
http://www.themorningbulletin.com.au/news/alternative-menopause-meds-risk/2726532/
50万人のオーストラリア人女性が閉経期症状にCAMを使用していると推定されるが、それらは最良でも効果がなく、最悪だと危険である。