食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 死の飲み物?

The Drink of Death?
by Rebecca Goldin | Aug 3, 2015
http://www.stats.org/the-drink-of-death/
砂糖入り飲料が毎年184000人を殺しているという主張はどれだけ信頼できるのか?
砂糖で甘くした飲料(SSB)−炭酸飲料、フルーツジュース、アイスティーなど−がますます世界中を太らせ病気にしていると批判されるようになってきた。今回タフツ大学の新しい研究によるとSSBを飲むことが世界で毎年184000人を殺している。この「死の飲料」は「米国は世界の炭酸飲料関連死を主導しているが貧しい国が最も苦しんでいる」「研究は砂糖入り飲料がメキシコの暴力犯罪より危険だと推定」といった魅力的に見出しを作った。
メキシコの暴力犯罪には目撃者や根拠があるが、この数字の実態は?この研究の限界を知れば、疑う理由があることがわかるだろう。184000と言う数字は各段階に研究者が決めた数字を入れたモデルによるもので、残念ながらいくつかの段階で何故その数字を選んだのか明確でないものがありそれが結果に大きく影響している。問題点は以下のようなものである:
大きなサンプリングの問題
・調査データのない国のSSB摂取量のモデルからの推定。このモデルは文化の違う国でも同じ年齢の女性は同じ量飲むと推定し、アフガニスタンの20-44才の女性が1日当たり0.4サービングのSSBを摂取しているという驚くべき主張を導き出す。
・187ヶ国中51ヶ国しか調査データがないので世界人口を代表しない
・調査の代表性。サハラ以南のアフリカの1500人の調査結果が大陸全体の4億人を代表するか?
・自己申告は問題がある
・一部のデータは何年も前のものでサハラ以南のアフリカから報告されている唯一のデータは20年前のもの。
得られなかったデータ
・調査でデータが得られなかった割合についての記述がなく、それをどう処理したのかわからない。無応答は調査に大きなバイアスをもたらす。
代用指標
・食品廃棄や飲料以外への砂糖の使用を調整することなくFAOの砂糖流通量データを使用している
時間
・この研究では2010年のSSB摂取を説明したと主張しているが何年も前のデータから2010年の摂取量を推定した根拠がない
しかしSSB摂取量について受け容れたとしても、さらにそれが死亡につながるという根拠に問題がある。
・不確実性を明確にしていない
・SSB以外の砂糖を含む食品について考慮していない
(以下長く続く。略。アメリカ人が炭酸飲料好きだからって世界中が好きなわけじゃないし)

Natureニュース
Obama orders stronger limits on power-plant emissions
Jeff Tollefson 03 August 2015
http://www.nature.com/news/obama-orders-stronger-limits-on-power-plant-emissions-1.18030
気候変動についてのホワイトハウスの最新の対応は米国の電力部門からの温室効果ガスの排出を削減するだろう
米国大統領は8月3日、今後15年の発電部門からの温室効果ガス排出を減らすための画期的規制を発表した。この対応は大統領の環境遺産となる可能性があるが企業や一部の州政府から反対と法的措置がおこるだろう。
この規制はEPAが作ったもので2030年までに2005年に比較して32%の排出削減を要請する。
(石炭火力発電所の閉鎖をもたらすだろう、とのこと)

  • IARCモノグラフ

グリホサート
Glyphosate
http://monographs.iarc.fr/ENG/Monographs/vol112/mono112-02.pdf

(遺伝毒性のところで、「IARCモノグラフに採用される文献は「公開で入手できる科学文献に発表または受理されたもの」か「公的に入手できる政府報告」でなければならない。」許認可のための申請資料は、まとめたものが政府公式文書として公表されているが個々の実験のデータが公表されていないので無視した、とある。だから農薬評価で遺伝毒性陰性と評価された、ガイドラインにしたがった実験は考慮しないと。そして他の怪しい論文(グリホサートのやたら高濃度や農薬製剤を使ったものやセラリーニらの論文が採用されている)の中に遺伝毒性を示唆するものがあるから遺伝毒性だと。これはひどい、としか言いようがない。)

  • 効果のない日焼け止めの件でJessica Albaを責めないで

NEWSWEEK
Don’t Blame Jessica Alba for Ineffective Sunscreen
By Jessica Firger 8/3/15
http://www.newsweek.com/dont-blame-jessica-alba-ineffective-sunscreen-359376
アメリカの消費者はセレブが保証するものはなんでも買う。特に美容と健康についてハリウッド女優が宣伝するものは。我々は彼女らの助言を信頼しているので、だからJessica Albaに怒っているのだ。先週この女優が宣伝している日焼け止めについてファンが効果がないと怒ってツイートした。問題の製品はJessica Albaが共同設立者であるHonest Companyの製品で、無香料無毒性を謳っているが効果もない。シカゴの地元のNBCの依頼で行った調査で、このブランドの製品は皮膚を守る有効成分の酸化亜鉛が標準より少ないことがわかった。通常18-25%なのにこの会社の製品は9.3%である。この製品は宣伝でUVAもUVBも遮断しSPF30で「あなたの必要なものは全て入っていて必要ないものは何も入っていない」としている。しかしここ数日ツイッターには日焼け写真が多数投稿されている。Honest Companyは酸化亜鉛を減らしたが代わりに日光から保護する可能性のあるものを入れたと主張している。ただし何かは不明。製品の組成を変更したのはアマゾンのレビューでクリームがべたべたして不快でいやな臭いがすると不評だったからである。
消費者はAlbaにがっかりしたかもしれないが、その怒りはFDAに向けるべきだろう。FDAは日焼け止めの安全性や有効性を規制していないからだ。効果のない日焼け止めを売っているのはHonest Companyだけではない。
(この会社の宣伝は「合成化合物を使っていない」「ナチュラル」「ナノではない」「珊瑚礁に優しい」「グルテンフリー」など。バズワードだらけだが美容業界はこういうのが好き。)

CBCニュース
Jack Bodie identified as teen who died from suspected fentanyl overdose in Vancouver
Aug 03, 2015
http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/jack-bodie-identified-as-teen-who-died-from-suspected-fentanyl-overdose-in-vancouver-1.3178298
17才の少年と彼の友人は強力なオピオイド入りの「フェイク80s」を摂取したと考えられる
17才のJack Bodieは16才の友人と土曜日の夜に「フェイク80s」と呼ばれるニセのオキシコンチンと信じていたものを摂取して病院に駆け込んだが死亡した。友人は回復し退院した。