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BfRはグリホサートについてのIARCモノグラフをレビューしている−WHO内部での方法の相違対応はいまだ進行中

BfR reviews monograph of the International Agency for Cancer Research (IARC) on glyphosate - divergence procedure within the WHO still in progress
http://www.bfr.bund.de/cm/349/bfr-reviews-monograph-of-the-international-agency-for-cancer-research-iarc-on-glyphosate-divergence-procedure-within-the-who-still-in-progress.pdf
全ての入手可能な研究をレビューして、国の、欧州の、そしてJMPRを含む国際健康評価機関は、現在のデータと使用方法に基づき、農薬有効成分グリホサートはヒトに発がん性はないと評価してきた。IARCが最近グリホサートをグループ2A発がん物質と分類した。この分類は最初2015年3月20日に"Lancet Oncology"に短報として発表されたが科学的詳細は説明されなかった。2015年7月29日にIARCモノグラフ(Volume 12)のグリホサートの完全報告が公式に発表されたので、BfRはこれまで検討されなかった参照文献や評価の知見、質の問題や方法論についてモノグラフをレビューしている。農薬有効成分認可の枠組みでグリホサートの報告国であるドイツはその知見をEFSAとECHAに報告する。WHO自身もIARCとJMPRの評価の違いの理由を同定するための臨時専門家委員会を作っている。このプロセスはWHO内部での科学的相違への取り組みとして知られている。さらにドイツ政府はBfRにIARCモノグラフの科学的レビューを依頼した。
グリホサートの発がん性について、IARCはヒトでのがんの根拠は限られたものしかないと結論している。IARCは入手可能な疫学研究は、グリホサート暴露とリンパ系の腫瘍性疾患である非ホジキンリンパ腫のリスク増加に統計学的関連があるという限られた根拠しかないと述べている。IARCがその分類に置いて動物実験での発がん性に十分な根拠があると指摘している。これらの知見はBfRによっても評価され既にEU有効成分評価の枠組みでの改訂評価報告書で評価されている。この報告書は2013年12月にEFSAに提出され2014年4月にパブリックコメント募集が行われている。このことはIARCもまたこれらの研究と結論の案を入手可能だったことを意味する。
純粋なグリホサート単体ではなく、他の有効成分や共存成分を含む市販製品を使った発がん性や遺伝毒性の可能性についての多くの研究は現在科学の世界での議論の対象である。特に製剤に同時に含まれる他の成分のほうがグリホサートより毒性が高い場合や、実際の化学組成が論文に記述されていない場合には、それらの研究のグリホサート評価のための情報としての価値は低い。
異なる機関が、問題や方法を、異なる情報や実験データの評価にために、異なった評価をすることは科学的リスク評価プロセスの一部である。
BfRはグリホサートの改訂報告書に、認可更新プロセスでIARCモノグラフの詳細評価をすべきというIARCの短報の予備的評価を同封した。
EFSAはIARCの報告の知見を評価する予定である(EFSAのプレスリリース)。
BfRもEFSAにレビューを要請している。
WHOの専門委員会はIARCとJMPRの参照文献を比較し、どれがどちらに考慮されなかったのかを同定し、どの毒性試験が遺伝毒性があるという根拠になったのかを検討すべきである。専門委員会はJMPRに2015年9月に報告書を返す。
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