食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 規制、認証システムが遺伝子組換え樹木の使用を麻痺させている

Regulatory, certification systems creating paralysis in use of genetically altered trees
20-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/osu-rcs081715.php
Scienceに今週発表された政策解析によると、世界中の無数の規制や認可の必要性が、壊滅的森林の脅威と戦うためのGM樹木の使用を事実上不可能にしている。
この一部
Science
特別号:変わる世界の中での森の健康
Special issue: Forest health in a changing world
20 August 2015
http://news.sciencemag.org/plants-animals/2015/08/special-issue-forest-health-changing-world
地球の陸地の約20%を占める森林についての特集。
人類の影響を受けていない森林はごく僅かしかなくほとんどが自然状態ではないが、それでも「健康」は問題である。
コンテンツへのリンクあり

  • GM –世界に食糧を供給するのに「最も重大な技術」

GM -- 'the most critical technology' for feeding the world
20-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/bc-g-081915.php
前米国国務長官アドバイザーが遺伝子組換え(GM)は世界の増加する人口を支える農業の課題を達成するために最も重要な技術だとAgriculture & Food Securityに書く
分子生物学者でHillary Clinton とCondoleezza Rice の科学技術アドバイザーだったNina Fedoroffが、GM作物の安全性に関する間違った情報と政治による壊滅的影響について警告する。
GM作物はこれまでの交配により作られた作物と同等以上に安全で気候変動の負の影響のなかで食糧を供給するのに必須の技術である。しかし日本や欧州、アフリカの政治システムの中での反対が進歩を妨げ、特に押収の影響はアフリカにとって壊滅的である。
オープンアクセス雑誌なので解禁後以下から見ることができる
http://agricultureandfoodsecurity.biomedcentral.com/

  • 母乳を与えることは乳児を有害化学物質に晒すかもしれない

Breastfeeding may expose infants to toxic chemicals
20-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/hsop-bme081715.php
がんや免疫機能妨害と関連する広く使用されている工業用化学物質−過フッ化アルキル化物質あるいはPFASsが、母乳を与えられる月ごとに乳児に20-30%蓄積していくようだ。
これまで母乳に微量のPFASが含まれていることはわかっていたが、連続採血解析で母乳を長く与えるほど乳児に蓄積していくことが示された、とPhilippe Grandjeanはいう。
Environmental Science & Technologyに8月20日発表。
母乳を与えないよう言う理由はないが汚染物質が次世代に移行されることを懸念している、と著者は言う。
(プレスリリースに濃度の記載なし。Grandjeanは魚の水銀も危険な量だと言っている人なので当然こういう主張になるだろう)

  • 9つのリスク要因が世界のアルツハイマー症例の2/3に寄与しているかもしれない

Nine risk factors may contribute to two-thirds of Alzheimer's cases worldwide
20-Aug-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-08/b-nrf081815.php
Journal of Neurology Neurosurgery & Psychiatryにオンライン発表された根拠の解析研究によると、9つの修飾可能なリスク要因が世界中のアルツハイマー症例の2/3に寄与している可能性がある。この解析はアルツハイマー病の発症は複雑で多くのリスク要因があることを示したが、予防戦略として食生活、医薬品、身体化学、メンタルヘルス、既往症、そしてライフスタイルに照準を合わせることが認知症を減らせることを示唆する。1968年から2014年7月までに英語で発表された研究を探し17000研究の中から93のリスク要因をカバーする323の研究を解析に利用した。予防要因として最もグレードの高いレベル1のものとして、女性ホルモン、スタチン、降圧薬、抗炎症薬(NSAIDs)を同定した。ビタミンCとEとコーヒーは同程度の根拠で病気を減らすのに役立つ。ホモシステイン濃度の高さと鬱はアルツハイマーリスクを相当高くする。また既往症ではフレイル(高齢者の筋力や活動が低下している状態)、頸動脈狭窄、高血圧及び低血圧、2型糖尿病はリスクの高さと関連し、関節炎、心疾患、メタボリック症候群、がんはリスクの低さと関連する。一部のリスク要因は時期と人種に依存するようだ。例えば中年時のBMIが高いことあるいは低いことと教育レベルの低さはリスクを増やすが高齢者のBMIの高さと脳の訓練、喫煙、軽度飲酒、ストレスはリスクの低さと関連する。
研究者らはアルツハイマーとの関連の根拠が強い9つのリスク要因について人口寄与リスクを評価した。9つのリスク要因とは、肥満、喫煙(アジア人)、頸動脈狭窄、2型糖尿病(アジア人)、教育レベルの低さ、ホモシステイン高濃度、鬱、高血圧、フレイル、である。その結果これらが世界のアルツハイマー症例の2/3に寄与していることが示された。

  • テストステロンと「加齢による性腺機能低下」−FDAの懸念

Testosterone and “Age-Related Hypogonadism” — FDA Concerns
N Engl J Med 2015; 373:689-691August 20,
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1506632
FDAは「古典的性腺機能低下症」−Klinefelter症候群や睾丸や下垂体の傷害など医学的理由で性機能が低下している男性に補充療法としてテストステロン製品を認可している。しかし近年、テストステロンは中高年の加齢に伴う性腺機能低下用に盛んに宣伝され販売されるようになってきた。年齢とともに低下するテストステロンを補充することに関する効果や副作用の根拠がなくFDAは企業に臨床試験を要求する。