食品安全情報blog過去記事

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その他

NYT
Testimony on U.S. Nutrition Guidelines Reflects a Complex Debate
By CHRISTINE HAUSEROCT. 7, 2015
http://www.nytimes.com/2015/10/08/us/testimony-on-us-nutrition-guidelines-reflects-a-complex-debate.html?_r=0
多くのアメリカ人は何が健康的な食事なのかという質問と苦闘している。スキムミルクか全乳か?脂身の少ない肉か全く肉を食べないか?「良い脂肪」というものは存在するのか?
糖尿病、肥満、心疾患の多いことについての全国での議論の最中、何を食べればいいのかについての不確実性がアメリカ人を困らせている。最近の話題は政府の次期栄養ガイドラインについてである。5年ごとに更新される2015食事ガイドラインは12月に発表される。このガイドラインは一般への食事助言や学校給食政策などに影響がある。水曜日の議会委員会は健康から政治まで、アメリカ人の食卓に影響するたくさんの懸念を浮き彫りにした。
開会の挨拶で、農業委員会の座長K. Michael Conawayは、ガイドラインへの関心の高さを反映して29000以上のコメントが寄せられたと言った。ConawayはUSDA長官とHHS長官に対して、助言の背景にある科学については透明性を強く求めた。特に消費者は既に矛盾した栄養と健康情報に晒されている時代には。例えばバターと卵については、かつては悪いといわれ今はそうではない。人々はガイドラインに対する信頼を失っているだろう。
(略)
(個々の食品の問題ではなく食生活全体をみるべき、という部分を強調すべきなのだけれど、メディアはいつも特定の食品をああだこうだと言いたがる)

  • 市販のシーフードは安全:業界

Commercial shellfish safe: industry
October 08, 2015
http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/commercial-shellfish-safe-industry/story-fn3dxiwe-1227562304512
野生の魚介類の毒素でタスマニアの人が入院したというニュースを聞いてシーフード好きがシーフードを止めるべきではない、と業界団体が言う
先週州の東海岸で収穫した野生のイガイを食べて3人が致死的な可能性もある麻痺性貝毒の中毒で入院した。州保健当局によると3人は回復している。業界団体は、販売されているイガイについては信頼して良いと主張する。販売されている製品は定期的に検査をしている。
(藻類の大発生で警告が出ていた地域のものを採ったらしい)

  • 重要な期限で欧州の組換え作物を巡る分断は深まる

Science
Europe's rifts over transgenic crops deepen at key deadline
By Tania Rabesandratana 1 October 2015
http://news.sciencemag.org/europe/2015/10/europes-rifts-over-transgenic-crops-deepen-key-deadline
ギリシャ財政問題、大量の難民危機がEUの大きな裂け目を顕わにしたが、GM作物を巡る静かな分断がさらに深化している。4月に発効したEU指令では各国に欧州全域で認可された作物を自国では自主規制できるようにした。今週が最初のGM作物拒否計画の提出期限で、これによりGM賛成と反対政府の分断が目に見えるようになる。
新しい指令は、多くの国がGMを完全拒否していてEUの政治的風景を分かつ、と強力なGM反対者であるグリーンピースの食品政策部長Franziska Achterbergはいう。しかし何年にもわたる膠着状態が終わったことでGM作物の研究や市販が容易になるという一縷の希望もある。
新しい規則では個々の国が特定の作物の自国での栽培を、EFSAが判断しEUが認めていても拒否できる。一つの方法は、EUの専門用語でオプション1と言われるが、種子業者に自国での販売認可を申請しないように要請すすことで、10月3日までにそのような要求を欧州委員会に提出する。(EUの項目参照)
Scienceが印刷される時点で28か国中9ヶ国プラスベルギーのWallonia地域政府がオプション1要請を提出していた。反対の強固さを示すものとして、一部の国ではまだEFSAがレビューすらしていない作物にも除外を申請している。まだ認可されそうもない作物まで含めることで「なにひとついらない」と言っているのだ。ラトビアの農業省代表のJuris Zinārsは「私達の立場は非常に厳密で、私達の地域をGMフリーに維持したい」という。
他にオプション2として自国内で個別の作物やグループを一部地域や全国で禁止することができる。この方法には締め切りはないが、EFSAの科学的評価に矛盾しない説得力のある理由が必要となる。
GM作物支持者はこれをEUにおける科学に基づいた規制への打撃と説明してきたが、これまでの膠着状態よりは認可が簡単になる可能性がある。EUでの意志決定が難しかったために研究も試験も低迷していたスペイン(GMトウモロコシを栽培している)では研究がやりやすくなるかもしれない。しかしながら欧州での広範な拒否は欧州でのGMの応用研究を殺してきた。欧州は基礎研究を行うには素晴らしい場所だが出口がない。いくつかの企業は既にヨーロッパ向けのGM作物の開発は諦めている。ヨーロッパの科学者でGMに関心のある人はいるが彼らが作るのは世界の他の地域で販売されるものだろう。
その一方で欧州委員会はもう一つの、より巨大なGMビジネス:食品と飼料の輸入、を再国有化しようとしている。今年初め、欧州委員会はこれらの製品についても現在は欧州レベルで規制されているが同様のオプトアウト選択肢を提案した。消費者や政府がGM作物の栽培を広く拒絶していても、EUは毎年1人当たり約60kgのGM大豆製品を、主に家畜飼料として、輸入しているのである。欧州議会はこの提案を今月後半に投票する。この提案が通過すれば、欧州大陸の裂け目は橋渡しするにはあまりにも広いということを再び認識することになるだろう。
(栽培と輸入で判断が異なる可能性がある。ただ多くの国では輸入無しにはやっていけないので栽培も輸入も拒否という国がどれだけあるかは???)

  • ビクトリアは医療用大麻を合法化する−専門家の反応

SMC
Victoria set to legalise medical marijuana – Expert Reaction
October 8th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/10/08/victoria-set-to-legalise-medical-marijuana-expert-reaction/
オーストラリアでは初めて、ビクトリア政府ががんや慢性痛、てんかん治療用に大麻を合法化する予定であると昨日発表した。
この決定は、薬局で売る一連の商品の栽培と製造に免許を与えることを薦めたビクトリア法律改革委員会の報告書に基づくものである。しかしながらこの試みは。国際麻薬条約の署名国である連邦政府が支持するかどうかにかかっている。
オーストラリア大学心理学上級講師Liz Temple博士
研究の観点からは大麻についてはその医療上の性質や治療効果についてわからないことが多い。知識がないことが医療用大麻計画の履行や実施や有効性などの多くの場面に影響する。特に入手可能な根拠からはどの大麻の系統やカンナビノイドの組み合わせや用量がどの病気に効果があるのか、個人差があるのかがわからない。根拠に基づくことが必須であり、それには時間がかかる。研究が必要である。
国立薬物アルコール研究センター所長Michael Farrell博士
ビクトリア政府の決定のもとになった報告書は非常に良くできたものである。しかしながらもし医療用使用が長期になるのであれば患者には長期使用の影響は不明であると助言すべきである。また患者には長期娯楽用使用では依存性のような有害影響があることも助言されるべきである。痛みの治療に有効だという明確な根拠はなく、メリットがあっても弱く、利益が有害影響を上回るという明確な根拠はない。
ニューサウスウェールズ大学精神科Matthew Large博士
大麻が治療効果があるのではないかという期待は、特に政治家の間で、かつてないほど大きく強くなっている。しかし実際の治療効果のエビデンスは弱い。そして既に明確である精神衛生上の現実的リスクは忘れられているようだ。もし大麻がより広く使われるようになれば、健康上の警告とより良い公衆衛生メッセージが必要である。

  • Ben Carsonは訴えられているダイエタリーサプリメント企業と関係がある

WSJ
Ben Carson Has Had Ties to Dietary Supplement Firm That Faced Legal Challenge
By Mark Maremont Oct. 5, 2015
http://www.wsj.com/articles/ben-carson-has-had-ties-to-dietary-supplement-firm-that-faced-legal-challenge-1444057743
共和党の大統領候補Ben CarsonがMannatechのためにスピーチ
Ben Carsonが10年前に転移した前立腺がんと診断されサプリメントで完治したと話している。

  • きれいにするとき

Natureエディトリアル
Time to get clean
06 October 2015
http://www.nature.com/news/time-to-get-clean-1.18521
ほとんどの国ではヒ素から亜鉛(AからZ)まで、環境廃棄物の厳密な管理がある。しかし医薬品由来の汚染には法的規制値はない。先週初めて国際的に対応の必要性が認識された。国連環境計画が主導した国際化学物質管理会議(ICCM)で決議が採択された。

  • 如何にして科学者は自分自身を欺き、如何にしてそれを止められるか

Natureニュース
How scientists fool themselves – and how they can stop
Regina Nuzzo 07 October 2015
http://www.nature.com/news/how-scientists-fool-themselves-and-how-they-can-stop-1.18517
人間は自分を欺くのが驚くほど上手である。しかし再現性についての懸念が大きくなるにつれ、多くの研究者が自分自身の最悪の本能と戦う方法を探そうとしている
どんなに誠実な科学者であっても自分自身を欺くことがある。ヒトの脳の認知バイアスから逃れることはできない
インフォグラフィクス
研究における認知の間違い
・仮説に合うエビデンスを集め、そうでないものを無視する
・ランダムの中にパターンを見いだす
・期待に背く結果には注意を払うが予想通りの結果には注目しない
・物語の力
バイアスを取り除くための技術
・意識して他の仮説を考える
・研究を始める前にデータの収集や解析法について宣言する
・協力研究者を集める
・データ解析はブラインドで行う