食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

甲状腺がん発症率の増加における診断の変化の影響:特定の高リソース国での集団ベースの研究

The Impact of Diagnostic Changes on the Rise in Thyroid Cancer Incidence: A Population-Based Study in Selected High-Resource Countries
Salvatore Vaccarella, et al.,
Thyroid
Published in Volume: 25 Issue 10: September 24, 2015
http://online.liebertpub.com/doi/10.1089/thy.2015.0116
多くの国で甲状腺がんの発症率は増加しているが甲状腺がんによる死亡率は一定または減少している。発生率が増加しているのは若い/中年の小乳頭腫に限定されているようだ。各国各時期の年齢調整発症率を比較して甲状腺がんのどのくらいが1980年代に導入された頸部超音波による甲状腺の検査の増加によるものなのか推定した。対象とした国は北欧、イングランドスコットランド、フランス、イタリア、米国、オーストラリア、日本、韓国。
結論として2003-2007年にフランス、イタリア、米国、オーストラリア、韓国の80才以下の女性で甲状腺がんと診断されたうち60%以上が診断の変化によるもの。日本は30%その他の国は50%。
甲状腺がんのスクリーニングは有害であるという根拠はあるが利益がある証拠がないため、過剰診断、過剰治療の危険性に緊急に対策が必要である。