食品安全情報blog過去記事

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子ども肥満計画−専門家の反応

SMC
Childhood obesity plan – Expert reaction
October 20th, 2015.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2015/10/20/childhood-obesity-plan-expert-reaction/
昨日の午後政府が広範な子ども肥満対策を発表した
この対策は既存計画の拡大と新規の22のイニシアチブからなる。焦点は妊娠や幼少期から始まる各ライフステージでの食品・環境・運動にあたっている。この計画の中心となるのはB4学校健康診断で肥満と診断されたこどもの95%に対して適切な医療専門家による評価と介入を行うことである。保健大臣Jonathan Colemanはこの計画の発表において「過体重または肥満は今後12ヶ月以内にニュージーランドの予防可能な健康リスクの中でタバコを抜いて首位になると予想されている」と述べた。「肥満には単一の解決法は存在しない。だから我々は政府・民間・地域・学校・家族全体での一連の介入を開発した」
SMCは以下の専門家のコメントを集めた。
オークランド大学集団栄養とグローバルヘルス教授Boyd Swinburn教授
WHOは何十年も肥満対策に有効な方法のエビデンスを集めてきて助言を含む報告書を書いてきている。この計画はそれらの助言とあまり似ていない。総理大臣の主任科学アドバイザーであるPeter Gluckman卿がWHOの子ども肥満を終わらせる委員会の共同委員長を務め9月に素晴らしい報告書(ECHO)を発表している。政府の計画には新しいポジティブなものもあるがECHOの水で薄めた弱気な引き写しでしかない。
オタゴ大学Dunedin医学部長Barry Taylor
不健康な体重の子どもと家族への支援は歓迎できる。一部の方針は賢明だが一部には根拠が無く、健康上の結果ではなくプロセスを目標にするものは疑問である。不健康な食品の子どもへの宣伝が規制されないのは残念だ。
ビクトリア大学ウェリントン教育学部上級講師Barrie Gordon博士
多面的対策は良い。スポーツと身体教育には混乱があるようだ。それは同じではない。悪魔は細部に宿る。例えば教師に対して誰が専門的学習を提供するのか、その内容は?
AUT栄養教授Elaine Rush教授
この計画は広範なガイドラインと標的を絞った個人対策を含む。WHOのECHOは規制枠組みを強調し他の政治的対策の中では食糧安全保証問題を検討すべきで学校での身体教育(スポーツではない)を含むべきとしている。これらに効果があるという根拠は?
22のイニシアチブのうち半分はガイドライン、リソース、自主規制である。これらが効果的だという根拠は?人々に野菜を食べようと言うことはできるが、それが入手できなければ食べられない。
スポーツについて3つの対策があるがスポーツは全ての人に適するわけではない。こどもにとってはそれは遊びで基本的動作スキルを得ることである。
オークランド大学集団健康学部グローバルヘルス、食糧政策、肥満、NCD予防上級研究フェローStefanie Vandevijvere博士
私は本当にとてもがっかりした。Peter Gluckman卿がECHO最終報告書を書いて最近発表したのに、政府がそれに従うことを拒否したことに。
病院などからの砂糖入り飲料の排除以外に肥満の原因となる食環境の真の問題に何の対策もない。ジャンクフードの宣伝についても自主規制では効果がないことがわかっている。
(皆さん厳しい規制を望んでいるようだ。お菓子の種類も多く特に規制があるわけではない日本の子ども達−子どもだけじゃないけど−の肥満が欧米より何故少ないのかは研究しないのかなぁ。)