食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 適度なコーヒー摂取は早期死亡リスクを下げるかもしれない

Moderate coffee drinking may lower risk of premature death
16-Nov-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-11/htcs-mcd111315.php
Circulationに2015年11月16日に発表された研究によると1日約3-5杯のコーヒーを飲む人は、それ以下あるいは全く飲まない人に比べてある種の疾患により早期に死亡する可能性が低いかもしれない。ナース健康研究と医療専門家フォローアップ研究の参加者のデータを解析したもの。全体として適度なコーヒー摂取は心血管系疾患、糖尿病、パーキンソン病のような神経疾患、自殺による死亡リスクの減少と関連し、がんによる死亡とは関連がなかった。

  • 病気の「リスクが高い」ということはそれ自体が病気になる

Being at 'high risk' of ill health has become a disease in its own right
16-Nov-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-11/b-ba111215.php
British Journal of Sports Medicineにオンライン発表されたエディトリアルで、一人の専門家が、ある人をなんらかの病気の「リスクが高い」と分類することがそれ自体で病気になり、健康な人を病気の人にしてしまう。そして医師は患者同様「ハイリスク」の意味や予防対策のメリットがわかっていない。このリスクに関する間違った理解が予防医学と患者の自分の健康に責任を持つ能力を毀損している。ヘルシンキ大学病院の整形外科学と外傷科のTeppo Järvinen教授は、「ハイリスク」という概念が「健康状態が悪い」という認識に歪められるいくつかの事例をあげている。例えば10年前の血圧治療ガイドライン閾値では、世界で最も健康的なノルウェー人のほとんどの成人が心血管系疾患ハイリスクと分類された。また骨粗鬆症の医薬品を処方することで大腿骨骨折にならない確率が97.9%から98.9%になることが示されたとき、医師は熱心に処方を始めた。多分相対リスク50%減という言い方で提示されたメリットが印象的だったからだろう。時には予防のために費やす資源が治療より多いこともある。リスクとリスク−ベネフィットを正確に包括的に共通理解にしないと医師と患者の間で共有された意志決定ができない。
(思い出した、「未病」とか言っている人たちって病気でもない人を病気になるよと脅してサプリとか保険の効かない妙な治療法を売ったりする。)

  • 若い運動選手の能力を発見したりパフォーマンスを強化したりする遺伝子検査はない

'No place' for genetic testing to spot young sporting talent or boost performance
16-Nov-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-11/b-pf111215.php
British Journal of Sports Medicineにオンライン発表されたコンセンサス声明
このような目的で販売されている市販の検査法に科学的根拠はほとんどない
現在39社がスポーツや運動能力や怪我などに関連したDIY遺伝子検査を販売している。2013年には22社だった。宣伝内容は「スポーツ遺伝学に基づいて訓練メニューを個別化」「両親やコーチに子どもの才能についての情報を」などである。39社中34%がどの遺伝子のどの変異を調べるのかわからない。残りについては変異を調べる平均は6個で1-27の間だった。しかし何故それを選んだのかについて良い科学的根拠はない。
(こういうやつttp://cieltea.net/占いレベルなのに高い)

  • ダイエタリーサプリメント:名前は何?ボトルには何が入っている?

Dietary supplements: What's in a name? What's in the bottle?
Donald M. Marcus*
Drug Testing and Analysis
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/dta.1855/abstract
オープンアクセス
ダイエタリーサプリメントの中には栄養を補う(サプリメント)ビタミンやミネラルもあるが本来医薬品として規制されるべき、食事を補うものではないハーブなどもある。法によりFDAには監視権限が弱くこれまで査察した施設では半分以上がGMP違反だった。DSHEA法の改正は議会が反対している。根拠のない効果を謳ったハーブサプリメントは組成も不明でメリットはよくわからないがリスクは明確である。