食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 2015年の海の食物連鎖への藻類毒素の拡大は記録を破った

Spread of algal toxin through marine food web broke records in 2015
17-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/uoc--soa121715.php
北米西海岸で有毒藻類の大発生を監視している研究者らが、2015年はこれまでになく広範な検体からドーモイ酸を検出している。また初めていくつかの市販の魚の筋肉からも検出された。毒素が検出される場所・時間・種類が全て拡大。藻類の大発生が長く続き毒性も高かった。

  • 魚油が脂肪細胞を貯蔵型から燃焼型に変換する

Fish oil helps transform fat cells from storage to burning
17-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/ku-foh121615.php
京都大学プレスリリース
マウスに高脂肪食を与え魚油を添加すると体重増加が少ないことをScientific Reportsに発表。さらに交感神経系が活性化されると白色脂肪細胞からベージュ細胞ができることを発見。これは脂肪を貯める細胞が脂肪を代謝する能力を得たことを意味する
著者のKawadaは「日本食と地中海食は長寿に寄与すると昔からいわれてきたが理由は議論が多かった。その理由により良い知見が得られたかもしれない」と加えた
イラスト(魚が魚油で痩せるかのような絵、キャプションが「京都大学の研究者らが魚油が脂肪貯蔵細胞を脂肪を燃やす細胞に変えることを発見した、それは中年の体重増加を減らすかもしれない。魚油は消化管の受容体を活性化して交感神経系を発火させ脂肪貯蔵細胞に脂肪を代謝させる」)も含めて典型的な誇大宣伝、プレスリリースに投与量無し
Fish oil intake induces UCP1 upregulation in brown and white adipose tissue via the sympathetic nervous system
http://www.nature.com/articles/srep18013
コントロールの餌がカロリーの45%が脂肪、普通の餌の群は無し、魚油(DHA 25%, EPA 8%)および(EPA 28%, DHA 12%)が餌の1.2%と2.4%。油脂の酸化防止策等は書いていない

  • 英国が小麦粉に葉酸強化できなかったことが2000以上の神経管欠損の原因

UK failure to fortify flour with folic acid has caused 2000+ cases of neural tube defect
17-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/b-uft121615.php
Archives of Disease in Childhoodにオンライン発表された研究で、英国が小麦粉に葉酸強化できなかったことが1998年以降避けられるはずだった2000以上の神経管欠損を引き起こした、と結論した。英国は米国などの他の国と同様に小麦粉に強化すべき。
(妊娠する予定のある女性に葉酸サプリメントを摂るよう薦めるのは公衆衛生対策としては失敗だったということ。最もリスクの高い人たちが最もそういうことをしそうにない集団なので。水道水へのフッ素添加もそうだが、社会の底辺までカバーして救おうとすると暇と時間のある金持ちの「意識高い」人たちが反対する。)

  • インドの子どもの栄養不良の主要リスク要因同定

Top risk factors for child undernutrition in India identified
17-Dec-2015
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2015-12/htcs-trf121715.php
Social Science & Medicineに発表。インドでは約40%の子どもが発育不良で30%は体重不足である。その予測因子は、母親の身長が低い、母親が教育を受けていない、極めて貧困、食事に多様性がない、母親が痩せている。
時間を無駄にすることなく直ちに対応が必要。
(わかってるけど無視されている。金持ちで技術導入を拒否して自然がどうこう言っているバンダナ・シヴァはインドの代表なんかではない)