食品安全情報blog過去記事

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論文

  • Health Affairs 1月号:メキシコの平均寿命への暴力の影響

January Health Affairs: Impact of violence on Mexico's life expectancy
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/ha-jha123015.php
2000年から2010年の間のメキシコの平均寿命の傾向を検討し、後半5年の殺人率が男性の寿命を停滞させていることを示した。典型的な殺人は薬物関連。
全州にわたって2000-2005より2005-2010の平均寿命が短くなっているというグラフ。

  • 運動、食事は良くあるタイプの心不全患者の運動能力を改善する

Exercise, diet improves ability to exercise for patients with common type of heart failure
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/tjnj-edi010416.php
JAMA。肥満で高齢の良くあるタイプの心不全患者のカロリー制限や有酸素運動は、息切れせずに運動できる能力を上げるがQOLには有意な影響はない。
平均年齢67才の100人の肥満(平均BMI 39.3)の左室駆出率が保持された心不全(HFPEF:heart failure with preserved ejection fraction)患者を20週間、食事制限、運動、食事制限と運動、対照に無作為に割り付けた。92人が完了し、運動能力はBMIの変化に相関した。体重が減ったのは食事制限で7%、運動で3%、食事と運動で10%、対照で1%
エディトリアル
Lifestyle Interventions to Improve Exercise Tolerance in Obese Older Patients With Heart Failure and Preserved Ejection Fraction
Nanette K. Wenger
JAMA. 2016;315(1):31-33.
http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=2480463
(主に女性で67才で体重100kg以上っていうのは基本的に丈夫なんだなと思ってしまう)

  • 研究は偶発的遺伝子知見を報告することに疑問を提示する

Study raises questions about reporting incidental genetic findings
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/vumc-sr010416.php
JAMAに発表されたVanderbilt大学医療センターの研究者らの研究によると、致死的な可能性のある心拍リスクが増加することを示唆する遺伝子検査の結果はしばしばそれほど不吉ではない。
2022人の患者を調べて不整脈と関連すると考えられる遺伝的変異のある63人が同定されたが彼らの心電図は「疾患遺伝子」を持たない人と違いはなかった。この結果は「遺伝子検査の結果を報告する際には十分な注意が必要であるという警告である、特に心疾患の兆候も症状もない人には。」心電図やその他の患者のデータを見ずに遺伝子検査だけに頼ることは不必要な警告になるだけでなく不適切で高価な治療につながる可能性がある。
誰にでも病気の原因となりうる希な遺伝子変異がある。しかし多くの変異は実際には害はない。

  • 双子研究が23のがんの家族性リスクを推定

Twin study estimates familial risks of 23 different cancers
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/htcs-tse010416.php
双子の片方ががんと診断されたときのもう片方の双子の余剰リスクを推定した大規模研究。23のがんのほとんどで余剰リスクが観察された。JAMAに2016年1月5日オンライン発表。20万以上の一卵性および二卵性双子のデータを検討。全体として研究参加者の1/3が生涯のあいだにがんになった。二卵性双生児のかたほうががんと診断された場合もう片方ががんと診断されるリスクは37%だが一卵性だと46%に増加する。最も強い家族性リスクが見られるのは精巣がんである。
全体としてがんの遺伝性は33%で遺伝性が有意なのは皮膚悪性黒色腫(58%)、前立腺がん(57%)、非悪性黒色腫皮膚がん(43%)、卵巣がん(39%)、腎臓がん(38%)、乳がん(31%)、子宮がん(27%)。
(遺伝性があるということと遺伝子検査で何かの変異がみつかることとの間には大きなギャップがある)

Global mercury regulations to have major economic benefits for US
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/miot-gmr010516.php
PNAS。石炭火力発電などからの水銀の排出抑制は世界中の大気に影響するので米国内だけでの規制より世界的規制のほうが効果は大きい。経済的利益として水銀による心臓発作による医療費とIQ低下による収入の低下を計算。
(IQと収入の関連って日本でそんなに明確に大きな差が出るかな?)

  • 失われたマウス:動物研究にはデータ不足が蔓延している

Natureニュース
Missing mice: gaps in data plague animal research
Monya Baker 05 January 2016
http://www.nature.com/news/missing-mice-gaps-in-data-plague-animal-research-1.19101
数百の生命医学実験報告に基本的情報が欠けている
2つの研究が動物実験の報告に蔓延する欠陥を明らかにした−粗悪な生命医学研究を批判する一連の論文の最新のものである。
主要医学雑誌での臨床試験の報告には研究中に何人の患者が死亡したり脱落したりしたかを述べているが、動物実験ではそのような数字がない、あるいは断りもなく動物の数が減っている。PLoS Biologyに発表されたUlrich Dirnaglらのチームによる研究。
同じ雑誌の二つめの研究ではJohn Ioannidisらのチームがデータを提供せず詳細なプロトコールがないことを批判している。
消えたマウス
Dirnaglらのチームは2000年から2013年に発表された、がんや脳卒中の治療法に齧歯類を使った522の実験を報告した100の論文をレビューし、方法と結果の動物の数を比べた。2/3の実験で脱落動物数についての言及がない。数を報告したもののうち53実験では解析から除外したことを報告しているが理由を説明しているのはたった14であった。
このことが結果に影響するかどうかをコンピューターシミュレーションを用いて調べたところ、もし異常値の動物を除外していたら、単なる偶然が統計学的有意になる可能性が4倍になり治療の有効性が175%誇大になる。
一方Ioannidisらのチームは2000年から2014年のPubMed論文を無作為に検討し、268論文中フルデータを提供しているものは一つもなく、他の研究者が再現するために必要な詳細条件を記したものは1件しかなかったことを報告している。

  • 家での廃棄を減らす

Waste less at home
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/cfb-wla010416.php
消費者の家庭での食品の廃棄がその前のフードチェーンでの損失より大きな環境影響があり、それが最早高所得国だけの問題ではなくなっている。家庭での廃棄を減らすためにはどうしたらいいか?Journal of the Association for Consumer Researchに発表されたブラジルのGustavo Porpinoらの新しい論文はいくつかの解決法を提案している。
(この雑誌の創刊号で食の行動科学に関する研究を集めた、らしい)

  • 照射がブルーベリーとブドウの品質を保持する

Irradiation preserves blueberry, grape quality
5-Jan-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-01/asfh-ipb010516.php
400 Gyでの照射で海外への販路を拡大できる期間の品質維持が可能になる
HortScienceに発表