食品安全情報blog過去記事

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その他

  • スウェーデンのアカデミーはMacchiariniスキャンダルによる「信頼の危機」を止める方法を探る

Scienceニュース
Swedish academy seeks to stem 'crisis of confidence' in wake of Macchiarini scandal
By Martin EnserinkFeb. 11, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/swedish-academy-seeks-stem-crisis-confidence-wake-macchiarini-scandal
Macchiariniスキャンダルについて王立スウェーデン科学アカデミーが強い言葉で新たな完全な独立した調査を求めた。Macchiariniスキャンダルが再燃したのは先月スウェーデンテレビがThe Experimentsという3部からなるドキュメンタリーを報道したためである。番組ではこのイタリアの外科医が患者−一部は命に関わるような重症ではない−に対して彼の先駆的人工気道の重大なリスクについて情報を提供せず、科学論文では彼らの状態について違うように書いてあることを示唆した。「多数の欠陥や倫理的に弁解の余地のないやり方が明らかになっており、スウェーデンの医学研究への信頼性の危機である」とアカデミーは言う。

CRISPR—a weapon of mass destruction?
Feb. 11, 2016
http://www.sciencemag.org/news/sifter/crispr-weapon-mass-destruction
今週米国の国家情報長官James Clapperが発表した世界の脅威の評価で、大量破壊兵器部門の6つのリストの中に「ゲノム編集」が入っている。

  • 大評判の反GMO十代Rachel Parentの真の物語:理想主義者か「ナチュラル」宣伝業者の駒か?

The real story of anti-GMO teen sensation Rachel Parent: Idealist or pawn of ‘natural’ marketers?
David Warmflash & Jon Entine | February 10, 2016 | Genetic Literacy Project
https://www.geneticliteracyproject.org/2016/02/10/real-story-anti-gmo-teen-sensation-rachel-parent-idealist-pawn-natural-marketers/
「考えてみて。へとへとになって学校から帰ってきた。お腹が空いたのでコーンスナックを食べた。表示がないのでわからなかったけれどなんとGMOだった!病気になってしまう!だから私たちは無垢な子ども達を悪徳企業から守るためにGMO表示が必要」
これが世界中で放送されているRachel Parentののスピーチである。彼女はわずか16才のカナダの高校生で、いまや世界的な反GMOの伝道師である。Tedxでのスピーチもある。彼女がGMOに関心を抱いたのは12才の時だという。しかし彼女の公式サイトやトークでは明かされていないことがある。彼女の家族はNutrition Houseというダイエタリーサプリメントナチュラルヘルス製品を販売する大規模チェーン店のオーナーで、親も反GMO活動家である。反GMOの「知る権利」活動はサプリメントの内容物については向けられない。GLPはParentとNutrition Houseに質問しているが答えはない。
子どもを使うことでその意見の間違いを指摘する大人を悪者にしたてあげることに成功している。Parentを盾にして後ろで操る大人たちがいる。
(長い記事)

  • 低用量鉄治療とヒト細胞のDNA傷害の研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study investigating low dose iron treatments and DNA damage in human cells
February 11, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-low-dose-iron-treatments-and-dna-damage-in-human-cells/
鉄を使う治療が細胞を修飾しDNAを傷つけるという報告がPLOS Oneに発表された。
Southampton大学発達生物学講師Claire Clarkin博士
これは単一細胞レベルでの初期の観察研究でさらなる研究が必要。また遺伝子発現を調べているがそれらは必ずしも細胞機能の変化につながるわけではない。しばしば遺伝子の発現の変化は速やかに元に戻り何の影響もない。他のドナーでの再現性の確認も必要
East Anglia大学ミネラル代謝教授Susan Fairweather-Tait教授
この研究には二つの懸念がある。一つは鉄の用量(10 µmol/L)が高すぎる。二つ目はクエン酸第一鉄は生体内で見られるトランスフェリンに結合していない鉄の代表的な形態ではない。鉄はいろいろな形で存在する。初代培養ヒト内皮細胞を10 µmol/Lの鉄で処理するのは「低用量」とは言えない。より低濃度で、クエン酸第二鉄で再現される必要がある。このデータはヒトの生体での状況にはあてはまらない。