食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 高齢者のテストステロン療法の効果

Effects of Testosterone Treatment in Older Men
Peter J. Snyder et al.,
N Engl J Med 2016; 374:611-624February 18, 2016DOI
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1506119
血中テストステロン濃度が275 ng /dL以下で男性ホルモン低下症を示唆する症状のある790人の65才以上の男性にテストステロンあるいはプラセボを1年間与えた。結果として性機能について弱い改善、気分や鬱に幾分かの改善、活力や歩く距離については何のメリットもなかった。リスクについては結論を出すには参加者が少なすぎる。

これが研究所のプレスリリースになるとこう↓なる

テストステロン療法は高齢男性の性的活動性、歩行、気分を改善する
Testosterone treatment improves sexual activity, walking and mood in older men
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/labr-tti021616.php
(一次エンドポイントで有意差無しなのにサブ解析で有意差がつく場合があるから有効という主張。こういうことがあるから試験を開始する前に何をどう統計解析するのか決めておくというきまりがありNEJMへの報告ではそれに従っている。でも素人には何のことかわからないよね、そういう人たちがサプリメントや保険の効かない治療のカモ。)

  • 塩の科学は分極している、研究が発見

Science on salt is polarized, study finds
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/cums-sos021216.php
食事の塩の健康影響についての報告やコメントを解析したところ集団レベルでの減塩が健康に良いという仮説を支持するのは54%、33%は不支持で13%はどちらでもない。International Journal of Epidemiologyに発表。1979年から2014年までの269報のレビュー。

  • トップアカデミックセンターによる臨床試験の結果報告は貧弱なまま

Reporting of clinical trial results by top academic centers remains poor
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/b-roc021516.php
BMJに発表された報告によると米国の主要大学医学部の臨床試験結果の報告は、倫理的義務があるにもかかわらず、貧弱なまま。主要米国アカデミックセンターの行った完了した臨床試験の結果が完全に2年以内に発表されたのはたった29%で、臨床試験登録ClinicalTrials.govに結果が報告されたのはたった13%。
2007年10月から2010年9月までに終了した51の主要機関による4347の登録試験を調べた。機関による差は大きいが40%以上報告した機関はない。

  • 大麻喫煙者はアルコールの問題を5倍おこしやすい

Marijuana smokers 5 times more likely to develop an alcohol problem
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/cums-msf021616.php
Drug and Alcohol Dependenceに発表された研究によると大麻を使用している成人はアルコールの濫用や依存になる可能性が5倍高い。アメリカの研究。

  • 我々が皆太っているのかについて、研究が新たな光を投げかける

Research sheds new light on whether we are all getting fatter
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uol-rsn021716.php
イングランドの1992年以降のBMIの傾向を調べた研究によると、全ての社会集団、両性でBMIは増加しているものの、既にBMIが最も高かったひとたちがより大きく増加している。Journal of Epidemiology and Community Healthに発表。

  • 環境汚染物質への低用量暴露はヒトの脳に有害な可能性がある

Low-dose exposure of environmental contaminants can be harmful to the human brain
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uu-leo021716.php
Environmental Internationalに発表されたUppsala大学の研究。Uppsalaの約1000人の70才を長期にわたって研究するUppsala高齢者前向き調査(PIVUS研究)の一環。血漿有機リン農薬(p,p'-DDE、トランスノナクロルダン、ヘキサクロロベンゼン)濃度の高いヒトは低いヒトに比べて約3倍10年後までに認知機能不全になるリスクが高い

  • 遺伝子組換えスイートコーンはトウモロコシ葉枯細菌病になりやすいことはない

Transgenic sweet corn no more susceptible to Goss's wilt disease
17-Feb-2016
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-02/uoic-tsc021716.php
全米で遺伝子組換えトウモロコシが採用されるようになって葉枯病のような病気が増えたとして、グリホサートや遺伝子組換えによってトウモロコシが病気になりやすくなるという主張がある。しかしイリノイ大学の作物科学者Martin Williamsのチームらの実験によると遺伝子組換えやグリホサートはウモロコシ葉枯細菌病に影響しない。実際には除草剤グリホサートは雑草がない条件で育てたのに収量を増やした。HortScienceの2015年12月号に発表された研究。