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カビ毒がアフリカの子ども達を毒している、と新しい報告書が言う
Scienceニュース
Fungal toxins are poisoning Africa’s children, says new report
By Catherine MatacicFeb. 18, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/02/fungal-toxins-are-poisoning-africa-s-children-says-new-report
アフリカとアジアの一部の子ども達が「見えない」流行の犠牲になっている−食品中のカビ毒が成長や発育を阻害している可能性があるとIARCの新しい報告がいう。主要毒素はアフラトキシンとフモニシンで、ベニンからケニアの子ども達の食事の大部分を占めるピーナッツ、キャッサバ、トウモロコシに危険な量存在する。
これらの毒素が肝がんの原因で高濃度では死亡の原因となることは長く知られてきた。しかし今回初めて子どもの発育に有意に寄与することが複数の研究で示された。
著者の一人でオタワのCarleton大学のカビ毒性学者J. David Millerは「これは先進国ではほとんど知られていない大きな問題である」という。「米国や西ヨーロッパでは子ども達をこれらの毒素から守るために膨大なお金が使われている」
これらの毒素は世界中に存在し、米国や欧州が違うのは人の食品には厳しい基準があることである。米国では20 ppb、欧州では2ppbである。農地は厳重に処理され作物は毒素が残らないように処理されている。基準を満たさない食品は家畜の餌にしたり焼かれたりする。米国の食品製造業者は毎年カビ毒管理のために5億から15億ドルを使っている。
しかし食糧不足が慢性的な国では処理できる農家はほとんどなく規制は緩い。最良の商品は輸出される。USDAの植物病理学者Peter J. Cottyは「私がモザンビークのNampulaに行き、最も質の良い穀物をヨーロッパに送るために女性達が床で穀物を手で選別しているのを見て、涙を禁じ得ない」という。「そしてその穀物は欧州に拒否されて、50 ppbまでは認められているトリの餌として売られる。先進国ではこの濃度は人が食べることを認められない」。しかしNampulaではしばしば数千ppbというもっと高い濃度の食品を食べるしかない。
研究者らはどうして毒素が子どもに影響するのかを正確に知っているわけではないが、血中毒素バイオマーカーの高い子ども達は同年齢の他の子どもに比べて背が低く体重が少ない。また成長も遅い。
この報告では問題のコントロールについての助言もまとめている。
Millerはこの問題は科学の問題でもあるが社会の問題でもある、という。