食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 新しい報告書:赤ちゃん用ミルクにナノ粒子

Friends of the Earth
New report: Nanoparticles in baby formula
http://www.foe.org/projects/food-and-technology/nanotechnology/baby-formula
米国で販売されているミルクにナノ粒子が含まれることがわかった
FoEがここのところナノを恐怖の対象として活動している。今回はハイドロキシアパタイト(カルシウム)の結晶のようだ。食品中に含まれる全てのナノサイズのものを禁止しろという主張がどれだけおかしいものなのかわからない人を怖がらせている。http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150918#p4

  • 再び、米国の専門家委員会は遺伝子組換え作物は食べても安全、という

Once again, U.S. expert panel says genetically engineered crops are safe to eat
By Kelly ServickMay. 17, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/05/us-panel-releases-consensus-genetically-engineered-crops
約2年前、20人の科学者がGE作物のリスクとベネフィットについて詳細な検討を開始した。このNASの後援による研究が始まってから、GMO表示を巡る議論は沸騰し続けた。しかしその背後で事態は変わっていった。今や農業市場には遺伝子編集技術を用いた新しい植物が溢れている。そして米国と欧州の規制機関はそれらの安全性をどう評価するのかに苦闘している。
本日発表された報告書は膨大な文献をレビューしGMOの議論と正面から取り組んだものである。(中略)
これらの結論(GE作物は食べても安全)に驚く研究者はほとんどいないだろう。しかし人々の懐疑は深い。
規制の混乱
この報告書では最終章を規制の問題に費やしている。米国を含む多くの国の規制枠組みは現代の技術を想定していない。第一世代のGE作物は遺伝子を運ぶのに細菌を使っていた。しかしCRISPRは外来遺伝子を残さずに遺伝子を編集したり除去したりできる。昨夏、ホワイトハウスはバイオテクノロジー製品の評価の法的枠組みを見直すと発表した。
NASは次世代バイオテクノロジー製品の予想とその規制に必要な科学的ツールに関するもうひとつの研究を始めたところで、今年末までには発表される。
(いろいろ略。やたらたくさんコメントがついている。現時点で166。ほとんどが多分科学者ではない人の単なる罵倒だけれど、なんだかな。GMを巡る議論ってこんなのばっかりで。)

  • 幹細胞科学の誇大広告を止めよ、と科学者が言う

Stop stem cell science hype, scientists say
May 15, 2016
http://www.newsobserver.com/news/nation-world/national/article77797322.html
何十年にもわたる幹細胞の宣伝が非現実的な期待を招いている。幹細胞研究の学会が誇大広告をしないよう求める新しいガイドラインを発行した。あなたは細胞療法を他の方法と同じように見る必要がある:リスクは何で、メリットは何か?
国際幹細胞研究学会International Society for Stem Cell Researchの新しいガイドラインは科学者に対して、病気や怪我の治療に幹細胞を使うことの証明されていない期待を宣伝するのはより慎重にするよう求める。
このガイドラインはPeyton Manning、Rafael Nadal、Cristiano Ronaldoなどの有名なスポーツ選手が海外で根拠のない幹細胞治療を試みたというニュースの後で発表された。幹細胞治療を宣伝するクリニックはますます増えているが米国で認められている幹細胞治療法はごく僅かである。
ISSCR Releases Updated Guidelines for Stem Cell Science and Clinical Translation
12 May 2016
http://www.isscr.org/home/about-us/news-press-releases/2016/2016/05/12/isscr-releases-updated-guidelines-for-stem-cell-science-and-clinical-translation

幹細胞誇大宣伝に直面する
Confronting stem cell hype
Timothy Caulfield et al.,
Science 13 May 2016:Vol. 352, Issue 6287, pp. 776-777
http://science.sciencemag.org/content/352/6287/776
(日本は国レベルで誇大広告している気が)

ADA(米国歯科医師会)
Water fluoridation set to return in Israel
April 11, 2016
http://www.ada.org/en/publications/ada-news/2016-archive/april/water-fluoridation-set-to-return-in-israel
議会の委員会が保健大臣の対応を認めたため、イスラエル全土で数ヶ月以内にフッ素添加が再開する見通し。2年前に当時の保健大臣Yael Germanが何十年も続いたフッ素添加を中止して以来。

規制対象保健サービスの宣伝について
Advertising regulated health services
07 Mar 2016
http://www.chiropracticboard.gov.au/News/2016-03-07-statement-on-advertising.aspx
委員会は、何度もガイダンスを発表しているにも関わらず、カイロプラクターが基準を満たさない広告(ウェブサイトを含む)をしていることを深く憂慮している。
カイロプラクターと一般の人々の両方にさらに明確にするために宣伝に関する以下の助言を提供する
不適切なメリットの主張
患者は医療を選択する場合には適切な情報を提供されなければならない。広告は虚偽または誤解を招くまたは詐欺的あるいは不当な期待を生み出すものであってはならない。
委員会は多数のプラクティショナーが脊椎の問題や一般的健康と手技の関係や各種の臓器の疾患や感染症を治療できる、あるいは各種疾患や感染症に脊椎が関与しているといった宣伝をしていることを懸念している。
特に問題なのは乳幼児の治療宣伝である。脊椎の手技療法で一般的健康を得られるとか各種の小児の症状や病気に役立つという主張には十分な根拠がない。これには発達行動疾患、ADHD、自閉スペクトル疾患、喘息、夜泣き、おねしょ、耳の感染、消化器の問題などを含む。
質の高い根拠に矛盾する宣伝は許容できない
以下服務規程など
(日本だってそのへんの何の資格もない整体だのマッサージだのが医者で治せない病気が治るといった宣伝しているけど。子どもをそんなところに連れて行くのは論外)

  • 代替医療:人々が必要なのは責任のある批判的評価

Alternative Medicine: What The Public Needs Is Responsible, Critical Assessments
By Edzard Ernst | May 12th 2016
http://www.science20.com/edzard_ernst/alternative_medicine_what_the_public_needs_is_responsible_critical_assessments-172521
Science 2.0にEdzard Ernst教授が書いている
1970年代半ばにドイツのたった一つのホメオパシー病院に勤め、やがて普通の医師になり、研究者になり代替医療に科学の方法を当てはめてきた。代替医療の推進者であるチャールズ皇太子との何度かの衝突を経験し早期退職を余儀なくされ、今は英国とフランスで年金生活をしながら本を書いたり講義をしたりしている。批判者からは巨大製薬企業からお金をもらっていると言われることもあるがそうではない。消費者が毎日見聞きしている代替医療の危険なナンセンスを修正しバランスをとる倫理的義務を感じている。
ここ(Science 2.0)では代替医療について書いていく予定

Do you vaccinate? An ‘outbreak’ of chickenpox hits one community of mostly unvaccinated children
May 17, 2016,
http://kfor.com/2016/05/17/do-you-vaccinate-an-outbreak-of-chickenpox-hits-one-community-of-mostly-unvaccinated-children/
ニューヨーク、ブルックリンのWilliamsburgのユダヤ原理主義者コミュニティで水疱瘡の「アウトブレイク」がおこっている。保健省によるとこれまで乳児から10才の75例が確認されている。そのうち約3/4が予防接種をしていない。

  • 健康宣伝者でがんだと嘘を言っていたBelle Gibsonが100万ドルの罰金に直面

The Bell Tolls For Thee, Belle Gibson: Wellness Advocate (And Cancer-Faker) Faces $1m In Fines
By Simon Miraudo  May 06, 2016
https://studentedge.com.au/article/belle-gibson-wellness-advocate-cancer-faker-faces-1m-in-fines
がんが嘘だったと告白して1年以上経って、消費者局の法的対応に直面
The Ageによるとビクトリア州消費者局がBelle Gibsonを裁判所に連れ出そうとしている。消費者保護法違反で100万ドル以上の科料に直面する。
消費者問題大臣のJane Garrettはそのようなことを二度としないことと経済的ペナルティが要求される、という。Gibsonが病気の人に対して「恐怖」につけこんでお金を儲けたとビクトリア州消費者局は主張する。このスキャンダルに対応して、Gibsonの本を出版した出版社Penguin Australiaは3万ドルを支払うことに合意している。
Landmark Belle Gibson Judgment Has Ramifications For Penguin Publishing
May 16, 2016
http://www.inquisitr.com/3102205/landmark-belle-gibson-judgement-has-ramifications-for-penguin-publishing/
(忘れた頃に動きがある。出版社は著者が嘘を言っていないかどうか確認する責任があるんだそう。)