食品安全情報blog過去記事

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あなたの朝の元気づけの一杯についての多くのこと:コーヒーのもたらすリスク評価の課題

Quite a few things in your morning pick-me-up: coffee poses a challenge to risk assessment
16.06.2016
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2016/22/quite_a_few_things_in_your_morning_pick_me_up__coffee_poses_a_challenge_to_risk_assessment-197783.html
6月15日に世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が行ったコーヒーのリスク分類を受けて、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は食品のような複雑な混合物のリスク評価は消費者には限られた情報価値しかないことを指摘する。「各食品は通常、一般的にほんの僅かではあるが、発がん性の可能性のある物質を含む可能性がある。だが同時に、健康を促進する物質も影響を与える」とBfR長官Dr. Andreas Hensel氏は述べた。「コーヒーや肉のような食品は、通常複雑な混合物すぎて発がん性について消費者に実用性のある一般的な言明はできない。」本日発表された研究の中で、IARCはコーヒーを「ヒトに対する発がん性について分類できない」(グループ3)と分類した。
様々な健康を促進する物質のほかに、コーヒーは単独ではヒトに発がん性物質として作用する可能性のある、ある種の活性成分も含んでいる。例えば、フラン、アクリルアミド、多環芳香族炭化水素(PAHs)である。さらに、カフェインは健康に悪影響がある恐れがある。だが、入手可能な研究全体では、コーヒーの発がん性の可能性は証明されていない。他の食品と同様に、個々の活性成分と全体としてのその食品の影響が異なることには2つの理由がある。一つには、食品には他の物質の潜在的な有害影響を軽減する、あるいは中和する物質が含まれている可能性がある。他方、望まれない物質の含有量が低すぎて典型的な摂取量での入手可能な研究では有害影響が見られない可能性がある。
設立以降、IARCは発がん性の可能性のある989の化学物質、物質、食品、活動を調査してきた(IARCによる、2016年2月時点)。その中で、「おそらくヒトに発がん性がない」というグループ4に分類されたのはたった一つの物質である。IARCの分類は許認可手続きとは独立して行われている。健康リスクの可能性を評価するBfRとは違って、IARCは物質のハザードの可能性を評価するだけである。リスク評価はハザードの可能性に加えて、実際の摂取量(暴露)も考慮する。
IARCは、熱い飲み物、マテ茶、コーヒーに関するモノグラフの概要を発表した。その中で、IARCはコーヒーを「ヒトの発がん性に関して分類できない」(グループ3)と分類し、「ヒトに発がん性の可能性がある」(グループ2B)とランク付けしていた1991年のコーヒーの分類を格下げしている。
コーヒーの発がん性の可能性の分類とは無関係に、BfRは消費者に対してカフェインの健康リスクに繰り返し注意している。成人では、カフェインは、神経質、不眠症、心不整脈、高血圧、胃腸の問題を引き起こす可能性がある。
成人では、短期間で最大200mgのカフェイン摂取は安全だと考えられている。これはおよそフィルターコーヒー2カップに相当する。一日の間では、成人はその約2倍の量を飲むことができる。妊婦と授乳中の女性はコーヒーを飲むのは2カップ未満にするべきで、子供は完全にコーヒーを避けるべきである。コーヒーへの感受性は人により大きく異なる。例え1杯のコーヒーでもある種の人には不眠症になる恐れがある。過敏症の人は、特に大量のコーヒー摂取を控えるべきである。