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SMC NZ

  • 母親に傷んだ魚油を与えた後新生ラットが死亡した−専門家の反応

Newborn rats died after mothers fed rancid fish oil – Expert reaction
July 22nd, 2016.
http://www.sciencemediacentre.co.nz/2016/07/22/newborn-rats-died-after-mothers-fed-rancid-fish-oil-expert-reaction/
オークランドの研究者らによる新しい研究で、妊娠ラットに高用量の傷んだ魚油を与えたら子どもの死亡率が高くなった。
この研究は昨年多くの店舗で購入した魚油カプセルが酸化していることを報告した同じグループによる研究のフォローである。妊娠ラットに酸化した魚油、酸化していない魚油、水を与えた。高度に酸化した魚油を与えたラットの子どもは生まれて2日以内に約30%死亡した。対照群の酸化していない魚油の13倍である。主著者であるオークランド大学Liggins研究所のBen Albert博士はこの研究が直接ヒトにあてはめることはできないと強調する。ラットに与えた量は通常ヒトが摂取する量より多く、酸化も市販品でみつけたより進んでいる。
SMCは以下のニュージーランドとオーストラリアの専門家の反応を集めた
オタゴ大学ヒト栄養教授Murray Skeaff教授
Cutfieldらは魚油に純酸素を30日間蛍光灯下で気泡注入し、その高度に傷んだ酸化魚油を妊娠ラットに与えた。この傷んだ魚油は子どもを約30%殺し生き残った子どもの健康も損なった。このラットでの研究は魚油サプリメントを摂っている妊娠女性の健康にどういう意味をもつか?知識に基づく推測は、多分関係ない、だが、質問に答えるには好奇心が必要だろう。ラットに与えた魚油は過激な条件で酸化されているため市販のものとは似ていない。しかしラットの子どもの死亡率の高さは魚油が酸化された時にラットに毒性のある物質ができたことを証明する。それらは何で、ヒトにとっても有害かどうか、そして市販のサプリメントに含まれるのだろうか?これらの疑問にはこの研究は答えない。しかしきっと彼らは答えを探そうとするだろう。
オークランドがん学会研究センター栄養教授Lynnette Ferguson教授
私は彼らが引用している、ニュージーランドで販売されているオメガ3サプリメントのほとんどが酸化しているという主張について非常に懸念している。オーストラリアオメガ3センターのデータと矛盾する。さらにこの論文では光のもとで酸素を30日間注入した酸化油を使っている。これは先の論文で報告されたニュージーランドの汚染濃度よりはるかに高い。データを見れば、酸化していない魚油では僅かな利益が見られている。
CSIROのオメガ3センター上級主任研究科学者で科学アドバイザーのPeter Nichols博士
このオークランドの研究者らによる2015年のScientific Reportsには多くの科学者が驚きがっかりした。その後TGAがフォローアップ解析を行い、油の検査をして酸化していないことを確認している。この新しい研究については高度に酸化した油を用いていて、オーストラリアとニュージーランドで販売されている魚油はどれほど酸化していない。また使用量はヒトなら1日40mLに相当し、過剰である。1日5-10g以上を摂るヒトはそんなにいないだろう。酸化していない油の群は大量に比べて良い点が示されているがこれについては著者はほとんど言及していない。
MPIと保健省の共同声明
魚油サプリメントに食品安全上のリスクはない
MPIの記事参照
(食べものならいやな臭いがしたら食べない、で済む。カプセルとかだと傷んでいてもわからないかも)