食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 植物と動物タンパク質摂取と死亡リスクの関連を調べた研究への専門家の反応

SMC
expert reaction to study investigating the association between plant and animal protein consumption and risk of death
August 1, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-the-association-between-plant-and-animal-protein-consumption-and-risk-of-death/
JAMA Internal Medicineに発表された異なるタンパク源を評価した研究で動物タンパク質摂取と死亡リスクの関連、植物タンパク質摂取と死亡リスクの逆の関連が報告された。
オックスフォード大学がん疫学ユニット副部長で疫学教授Tim Key教授
これは二つの長期観察研究の質の高い解析である。この種の研究では見られた結果が実際にそうなのか交絡要因によるものなのかを検討することが重要である。著者らは相当な調整を行っており、いくぶんかの統計学的に有意な関連が残るものの、調整すると関連が弱まる傾向にあり、そのことはこの結果がまだ残る交絡の影響を受けている可能性を示す。
これまでの研究では動物由来食品と植物由来食品と死亡率の関連に特化したものはあまりないが、これまでの長期の主要動物および植物由来食品の研究では広い意味でこの知見と一致する。全体としてはこの研究は健康的食生活は植物性タンパク質を含む植物性食品を強調し加工肉のような動物由来食品の摂取量は低くすべきという見解を強化する。
Reading大学栄養健康准教授Gunter Kuhnle博士
これは13万人以上の人を最大32年観察した質の高い研究で、食事とその他のライフスタイルデータは2年ごとに集めている。実際の論文に提示されている結果はデータに基づいているが、結論は幾分か誇張されていて他のライフスタイル要因の交絡の可能性がある。「健康的」ライフスタイルの参加者を別に検討すると動物タンパク質摂取と死亡率に関連がない。「不健康」なライフスタイルの人では植物由来タンパク質を多く食べることに少しだけメリットがあるが「健康的」ライフスタイルの人にはない。興味深いことに、著者らは「不健康なライフスタイル」の定義に過体重であることを含めている。動物由来食品のほうがエネルギー密度が高い傾向があるためこのことが観察された関連に寄与している可能性がある。
著者らはさらなる解析を行って特に加工肉の摂取が早期死亡リスク増加と関連することを発見している。興味深いことに加工肉摂取はがんによる死亡率とは関連がない。
これは観察研究であり因果関係がしっかり確立できるわけではないことに注意が必要である。この研究は食事ガイドラインの開発のための根拠として寄与する。この結果自体は現行のガイドラインの改定が必要性は示唆しない。全体としては、健康的な食生活を含む、しかしそれだけには限らない、全体として健康的なライフスタイルが良いことを示す。
食品研究所栄養研究者で名誉フェローIan Johnson博士
この研究は概ね植物由来食品からなる食事がより望ましいだろうというコンセンサスを支持するようだがメカニズムについてはほとんど何もわからない。植物タンパク質に保護作用があるのかあるいは動物タンパク質に有害影響があるのか、あるいは他の何かの単なる指標なのかについては明確とはほど遠い。

  • ごま:小さな種子、大きな健康上のメリット

Sesame: Little Seeds, Big Health Benefits
by Berkeley Wellness | August 02, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/sesame-little-seeds-big-health-benefits
ゴマはベーグルなどのトッピングで見たことがあるだろう小さな美味しい種子である。最近流行の亜麻仁やチアのような「スーパーシード」として脚光を浴びていないが、良い栄養源である。種子として食べるだけでなく多くの製品がある。
古代の種子、近年の宣伝
ゴマは古くから食用に医療用に使用されてきた。今日ではインターネットのサイトが万能薬のように宣伝する。言うまでもないがほとんどの主張に科学的根拠はない。しかしゴマを研究して期待できる知見が得られたものもある。いくつかについて簡単に見てみよう
(略)
基本
ゴマは風味が良く健康上のメリットもあるかもしれない。しかしサプリメントは使用しないように(特にいくつかの製品はゴマリグナンが多い)。それらはよく調べられておらず、その影響は、良かれ悪しかれ、多くはわかっていない。

Scienceニュース
Young blood antiaging trial raises questions
By Jocelyn KaiserAug. 1, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/08/young-blood-antiaging-trial-raises-questions
2014年に報告された高齢マウスに若いマウスの血漿を注射すると高齢マウスの記憶力や学習能力が改善するように見える、という研究に啓発されて新興企業が米国で最初の若い健康な人の血液のアンチエイジング効果を調べる臨床試験を開始した。Ambrosia(企業)の共同創設者で研究主任のJesse Karmazinは31才の医師で、若い血漿一回投与と検査のために参加者に8000ドルを請求する計画である。対象者は35才以上の誰でも良い。
しかしこの試験は参加者に要求する費用とデザインの両方で倫理学者や研究者から警告されている。「効果があるという臨床的根拠はなく、基本的に人々の信頼とこのトピックスに関する世間の熱狂を濫用しているだけである」とスタンフォード大学神経科学者Tony Wyss-Corayはいう
(他の類似研究では企業が費用を負担している)
ミネソタ大学の生命倫理学者Leigh Turnerは、この研究は近年政府の臨床試験登録サイトに金儲けのための私立幹細胞クリニックによる科学的に疑わしい試験が数多く登録されていることへの注意喚起であるという。
疑惑は余所に、Ambrosiaの試験は投資家の注目を集めている
(文字通り金持ちが若者の生き血を吸う)