食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 化学ハザードの試験法再考

Natureコメント
Rethink how chemical hazards are tested
John C. Warner & Jennifer K. Ludwig
16 August 2016
http://www.nature.com/news/rethink-how-chemical-hazards-are-tested-1.20413
より安全な化学物質や製品を作るのに役立つ3つのアプローチを提案
世界中で、新しい健康や環境への影響についての情報があると安全性規制は改定される。6月には米国で30年前に立法されたTSCAが大幅改訂され、欧州ではREACHが進化している。
科学者や事業者、施策決定者の議論のために三つの提案をする
・化学物質安全性試験の標準化
・最終製品による試験
・試験結果を公開する

  • モスキート銃と重い罰金:如何にしてキューバがジカをこれほど長く寄せ付けないか

Natureニュース
Mosquito guns and heavy fines: how Cuba kept Zika at bay for so long
Sara Reardon 17 August 2016
http://www.nature.com/news/mosquito-guns-and-heavy-fines-how-cuba-kept-zika-at-bay-for-so-long-1.20429
雨が止むと蚊がキューバのBay of Pigsの近くの上流階級旅行者の守衛所にやってくるが、守衛は躊躇することなく机の下の巨大なヘアドライヤーのような装置を取り出して燻蒸剤の厚い煙を撒いて歩く。やがて蚊はいなくなる。キューバの家などで殺虫剤の煙が漂うのを見るのは珍しいことではない。普通の市民によるこのような強力な対策が行われていることがキューバがジカの現地での感染に負けていないカリブ海諸国の最後の国々である理由である。8月11日現在、現地での蚊によるジカ感染はキューバでは3人、近くのプエルトリコでは8766人が確認されている。
(地図あり、フロリダですら6なのに)
キューバの成功は優れた医療制度と政府が35年前に確立したベクター媒介疾患のサーベイランス計画による。1981年にデング熱アウトブレイクで344000人以上が感染した。それをきっかけに感染地域に医療チームを派遣し蚊の撲滅のための殺虫剤の集中的散布を始めた。同時に国の報告システムを作り政府と民間が協力する枠組みを作り殺虫剤散布と子どもも含めて蚊に刺されたかどうかを自分で監視することの教育キャンペーンを行った。最も効果的だったのは自分の所有地で蚊が繁殖したことがわかった場合には重い罰金を科したことだ。
中略
キューバの蚊対策はアメリカのどの国より良くやっているが、完全に効果的ではなかった。一部は資金不足による。1997年のデング熱の再流行は多分ソビエト崩壊による経済悪化で悪化している。さらに米国との通商停止が不利だった。それでも現在成功している。
キューバや他の国のジカ対策には国際協力が重要である。これは全ての人の問題で、世界の新しい課題である。

Scienceニュース
Anthrax genome reveals secrets about a Soviet bioweapons accident
By Kai KupferschmidtAug. 16, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/08/anthrax-genome-reveals-secrets-about-soviet-bioweapons-accident
「生物学的チェルノブイリ」と呼ぶ人もいる。1979年4月2日、ソビエトのSverdlovskの町の秘密の生物兵器施設で事故により炭疽の胞子がまき散らされた。風に乗って南東方向に飛び、約50kmのヒトや動物の病気や死の痕跡を残した。少なくとも66人が死亡し、炭疽吸入によるヒトでのアウトブレイクでは過去最悪のものとなった。
37年経った今、科学者が二人の犠牲者の死体からこの病原体のDNAを単離し断片を組み合わせて全ゲノムを明らかにしてmBioに投稿中の論文がbioRxivサーバーに今日発表された。その結果はソビエト生物兵器は特に抗生物質やワクチンに耐性があるように変更されてはいない普通の系統であることを示す。
炭疽はテロリストのお気に入りの生物兵器で1993年6月には日本のカルトオウム真理教が東京のビルでスプレーしている。幸運なことに間違ってヒトに無害な系統だった。2001年9月にはニューヨークで炭疽粉末が郵送され22人が感染し5人が死亡している。
ロシアは1992年に生物兵器計画をやめたと公式に発表しているが本当にそうなのか、過去のものが悪人の手に渡っていないかについての疑いは残っている。

  • フロリダの最南端の島々の反対が遺伝子組換え蚊の試験を行き詰まらせる

Florida Keys Opposition Stalls Tests Of Genetically Altered Mosquitoes
August 17, 2016
http://www.npr.org/sections/health-shots/2016/08/17/490313999/opposition-in-florida-puts-tests-of-genetically-altered-mosquitoes-on-hold
ジカウイルス対策の新しい武器としての遺伝子組換え蚊のフロリダキーズでの試験的放出が8月5日、FDAによって求められた。しかし反対派の声が大きく、まだ地元が認めていない

The battle against aedes aegypti, the mosquito that spreads Zika
August 17, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/08/160817171732.htm
カリフォルニア大学蚊研究室
いろいろな蚊対策を研究している
Wolbachia細菌感染蚊を放って雌の蚊を不妊にする、耐性を監視しつつ殺虫剤を散布する、水を無くして蚊の交配を阻害する、など

  • Flakkaとは何?恐ろしい幻覚をおこす「ゾンビドラッグ」

What is flakka? The 'zombie drug' that causes terrifying hallucinations
August 17, 2016
http://www.nj.com/trending/2016/08/flakka_fsu_drug_student_eats_f.html
ここ数年多数の奇妙な事件との関連があるとされたデザイナードラッグがまたニュースになった。警察によると19才の大学生がカップルを刺しそのうち一人の顔を食べた時、幻覚を見ていた可能性がある。
Flakkaは合成カチノンのアルファPVPで"gravel"とも呼ばれる。一回分3-5ドルと安価で販売され非常に依存性が高いと考えられている。長期影響は不明。恐ろしい幻覚を引き起こし「興奮性のせん妄」をおこすのが特徴。使用者は暴力的になり非常に強くなった気がして痛みも感じないようだ。

Drug-related deaths in Scotland soar to record levels
17 August 2016
http://www.scotsman.com/news/drug-related-deaths-in-scotland-soar-to-record-levels-1-4206075
National Records of Scotlandから発表されたスコットランドの統計によると、2015年の薬物使用者の死亡は706で前年の15%増。2005年の336人からは2倍以上になった。