食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 研究:グローバリゼーションはあなたが思うほど我々が何を育て何を食べるかに影響していない

Study: Globalization hasn't affected what we grow and eat as much as you might think
5-Oct-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-10/uom-sgh100516.php
PLOS ONEに10月5日に発表された研究によると、グローバリゼーションの影響は予想されるほど栽培するものや食べるものに影響を与えいていない。あなたが食べるものは主にあなたの住む場所に依存する。
いろいろな種類の植物が入手できるようになったが国毎の生産や消費のパターンはまだこれまでの経緯に大きく依存する。

  • 食品科学者:我々はもっと多くの食品偽装を検出できる

Food scientists: We can detect much more food fraud
5-Oct-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-10/fos--fsw100516.php
Current Opinion in Food Scienceの特別号にNIR(近赤外)分光法を用いた食品偽装検出法についてのレビューが掲載されている。
食品の改変の種類については、食品やその成分を偽る食品偽装Food Fraud、安価な代用品をこっそり混ぜる食品への異物混入Food Adulteratio 、産地や品種などを含む食品の真正性Food Authenticity の3種類に分類している。

  • ヒトの寿命についての主張が議論をよぶ

Human age limit claim sparks debate
Linda Geddes 05 October 2016
http://www.nature.com/news/human-age-limit-claim-sparks-debate-1.20750
解析の結果ヒトは115才以上の長生きはしないだろうと示唆するが一部の科学者は寿命に限界があるとみなすのは早すぎるという
Jeanne Calmentは娘や孫より長生きして122才で死亡した。彼女は約20年前に亡くなったが世界で最も長生きした人だと考えられている。しかし医学の進歩であなたが彼女の記録を破れるだろうか?
Natureに発表された世界のデータの解析から、ヒトには寿命がありCalmentの記録を破るのは難しいだろうと示唆する。しかしこれに疑問を提示する科学者もいる。19世紀以降ヒトの寿命は延び続けてきた。110才を超えて生きる人たちの報告がヒトの寿命に上限はないのではないかという考えを生んだ。他の人たちは寿命の延長は最終的には止まるだろうと言う。
Jan Vijgらは38ヶ国のヒトの死亡率データベースを解析し、寿命が最も延びたのは20世紀初期で1980年代にはプラトーになりつつあることを示した。また特定の年に最も長生きしたヒトの年齢を解析し、同様に1970年代から90年代初期までは急速に延びたものの1990年代半ばからは停滞していることを観察している。ただし一部の国(日本を含む)ではまだ延びているためこの解釈に反対する科学者もいる。
(日本人含むアジア人は欧米人よりもともと少し寿命が長いのではないかと。何歳が限界なのかはわからないけれど、まだ延びる余地があるので、発がん物質などは子どもに対しては安全側に管理しているという側面もある。子どもの感受性が高いから、だけではなくて。昔のヒトは60才で「高齢者」扱いされたけど今はそんなことない。今80才まで生きるのが平均的だと思っていても子ども達が年をとったときには90才になっているかもしれない。そうすると想定される「がんによって失われる年月」が増える。その前に経済的危機に見舞われる可能性も高いのだけれど。)

プレスリリース
Maximum human lifespan has already been reached, Einstein researchers conclude
5-Oct-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-10/aeco-mhl100316.php

Science
Is there a limit to the human life span?
By Jennifer Couzin-FrankelOct. 5, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/there-limit-human-life-span

  • がん患者およびがんでない人の砂糖入り飲料からの砂糖摂取量:NHANES研究

Sugar intake from sugar-sweetened beverage among cancer and non-cancer individuals: the NHANES study
Tung-Sung Tseng et al.,
http://tcr.amegroups.com/article/view/9589
NHANES 2003-2013の20才以上の22182人のデータを用いて1日に80g以上の砂糖を砂糖入り飲料(SSB)から摂っている人の割合をがん既往者とそうでない人で比べた。がんでない人では17%、がんサバイバーは8%がSSBを高摂取だった。但しこの違いは年齢などの要因で調整すると有意ではなくなる。
(NHANESのデータを用いた「関連がある」研究の無意味さを如実に例示する論文なので紹介。)